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🔨 職人工房訪問記

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民藝品をつくる職人さんの工房を訪問して、目に見えない部分を文章にしたためます。 意外にどこを基準に選べば良いのかわからないのが、民藝品や暮らしの道具です。素材やつくり手について…
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#ものづくり

職人をたずねて|2023年振り返り

職人をたずねて|2023年振り返り


今年はつくり手に会えて
みなさんの姿に心が洗われた

人と人との間だけではなく
人と天然との間に教えられ、学び
答えを得ながら
確実に一歩一歩進む姿が
心に残っている

仕事はとても堅実で
才能やセンス、感覚という
アーティスティックなものとは
かけ離れた
素材との着実な会話の蓄積だった

素材から何かを受け取って
決して力づくではなく
必要な時間を知りながら
それに従い仕上げていく

まわりに

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#2  安土草多 | 硝子

#2 安土草多 | 硝子

くもりのないつるんとした表情を目にすることが多い硝子のグラスや皿の数々。

あの透明な世界の中に、くもり、ゆらぎ、気泡がのこる独特の技法で唯一無二の世界観をつくりだす硝子作家がいる。

岐阜県は飛驒高山。
心地よい風が吹き抜ける盆地の丘の工房で、それらは生み出されている。

時間をかけない

半径1メートルほどだろうか。
作業に必要な一通りの機材を円状に配置。工程ごとに行ったり来たりして、ひとつの

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#1  下本 一歩 | 竹・炭焼

#1 下本 一歩 | 竹・炭焼

規則正しい雨音が心地よい立夏。
高知市内から30分ほど車を走らせた。

目指す工房は、四国を象徴するような小高い山を、果て無くぐるぐると登った先にある。
のちに身体が後傾するほどの急斜面を登ると、使い慣らされた炭窯と木造りの工房がみえてきた。

ここで、炭焼の技術を活かしながら竹の道具をつくるのは、下本一歩さん。

この場所は、一歩さんの祖父母の暮らしていた村。今は合併して高知市の一部となったが、

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