脚本を書くということについて

僕の所属してる黒ヒゲキャラバンでは、脚本家が沢山居る。多分、福島で1番多いだろう。

そして、書いてもらった脚本はキチンと公演に繋げる。これも、うちらの劇団が1番出来てると思う。

首都圏ではそういう劇団も珍しくないけど、まだまだ地方では少ない。大体の劇団には座付の脚本家、演出家がいる。もちろんそれは基本の形だし、悪いことじゃない。

ただ、脚本を書いて公演をするというのは、物凄く物凄く人生において多くのものをもたらすと思ってるので、その特権を自分だけが独占するのは勿体無いなってところからシステムを改築したのが今のやり方だ。

役者さんもやはり沢山の演出家に出会う事が理想だと思う。相対化はとても大切で、ずっと同じ演出家だと、その人の価値観に染まってしまう。染まりたいなら良いのかもしれないけど、役者として成長したいならやはり、自分にフィットしたやり方や考え方を見つけるのが大切で、選択肢は多い方がいい。

演出家側としても、役者さんには、様々な演出家と比べて欲しいと思う。自分自身にもある程度の緊張感は課しておきたいし、僕のやり方に価値がないと判断されたら、存分に見限ってほしいと思う。役者さんには伸び伸びと育って欲しいし、そのお手伝いをしていきたい。

話がそれたが、脚本を書いて公演をするということは簡単そうに見えてそうでもない。というのは、システム的に作らないと中々出来ない。

公演には「ある一定のクオリティー」が求められる。だけど、脚本や演出は数をこなさないと上達するものではない。だけどまず、システム的に「最初の一歩」を踏み出せる劇団は実は少ないと思う。大体は、特権的に1人の人がその場所に居る。僕らは、それを瓦解出来た所が大きいと思う。

人は成長する生き物だ。

僕らの劇団では沢山の脚本家が産まれた。そして急速に育っている。僕ももう20年ぐらいはもの書きしてるけど、嫉妬するぐらい面白い作品が飛び交ってる。

今回の「GO TO 黒ヒゲキャンペーン」でも3本の新作が出る。毎年10本近く新作出てくる劇団ってのはそうはないと思う。「多ければ良いってもんじゃないよ」って声も聞こえてきそうだけど、経験の多さはそのままクオリティーに直結すると僕は思う。なので、スピード感を持って、確実に、「書いたものを公演出来る場」を提供していきたい。それが僕の仕事だ。

その人にしか見えない世界を見たい。聞きたい。感じたい。一人一人には必ず、大きな宇宙が存在しているのだから。


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