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【書籍】子どもたちに民主主義を教えよう

本書の中で印象に残っていること

本書は、みんなが可能な限り自由に生きられる学校を実現するために、どのように対話を使って解決をするか、というのが一貫したテーマになっています。
以下、印象に残った点をいくつかまとめます。

一人一人が可能な限り自由に生きられる学校を目指すには?

学校では、生徒、教員、保護者の考え方・価値観が多種多様なため、対立が生まれます。
可能な限り自由に生きられる学校を実現するために、それぞれが当事者として、対話を通して解決に向けた答えを出していくことが必要です。

その際に、全員で合意した目標に立ち返り、目標に向かっているのかどうかを確認することが必要です。対話をしている最中はいろいろなアイデアが出てくるので、意見対立が起こります。その時に、「これって何のためにやるんだっけ?」というところで合意できていれば深刻な対立に発展しづらいです。

子どものうちから対話を通して対立を解消するという経験をする、その子供たちが社会にでていくことで、日本を民主的に成熟した国への成長させることにつながります。

多数決の問題点

日本は制度上は民主主義国家であり、国民の声は聴くけれど、そこから同合意形成していくかまではあまり十分に練られていません。

物事を決める際に、学校では、多数決という方法が多様されています。
「民主」とは、「民に主権がある→できるだけ多くの声を反映する」と解釈することができますが、多数決は、対話をせずに少数派を切り捨てています。それは本来の民主主義の観点からすれば、ずいぶん低次元の話をしていることになります。

多数決は、A案でもB案でもどちらでもいい場合は有用です。
例えば、制服を変える際に、制服の自由化、標準バッグをどうするか、価格帯をどのあたりにするかといった議論は、利害の対立が起きるため多数決を使うべきではありません。一方、校章のデザインは利害の対立がないため多数決で決めることも可能です。

「思いやり」で対立は解決できない

相手の気持ちを考えましょう、思いやりを持ちましょうといった言葉を学校で教えられた方も多いと思います(私自身もそうでした)。日本の学校では心の教育が重視されているといえます。

対立を明確にし、平和的に解決するためには、お互いの利益を損ねないためにはどうしたらいいか対話を重ねないといけません。その一連のプロセスを一切飛ばして、「思いやり」「美しい心」「愛」といったもので解決するのは乱暴すぎるといえます。本来は、感情を切り離して理性的に考えることが必要なはずです。

ウクライナ戦争でも、「戦争反対!プーチンはひどい!ウクライナの人たちがかわいそう!」と吐露するだけでは問題解決にはつながりません。なぜロシアが攻めたのか、どんな条件なら譲歩を引き出せそうなのか。プーチンが一番こだわっていることは何か。どのタイミングで交渉すれば被害を最小限に食い止められるのか、等を考えなければ対立関係は一向に解消しません。
相手の気持ちを考えましょう、思いやりを持ちましょう、といったことは大切かもしれませんが、問題の解決のためには、感情を切り離して理性的に考える必要があります。

トラブルが起こらない社会を目指すのではなく、トラブルが起こった時に解決できる人材がたくさんいる社会を目指すべきです。

まとめ

子どもを育てる身として、とても参考になった一冊でした。
人間関係において、誰かと対立することはあると思いますが、感情を切り離して理性的に考え、対話を通じて互いが納得する答えを探す、というのは今後より意識していきたいなと思います。
それは、自分の子どもに対しても同様で、学校だけでなく、家庭においても、話し合いで解決するというのはしっかり実践していきたいなと思います。


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