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【#9】ママが本業。夫が代表取締役、妻が役員になる働き方「旦那はいつもこころ強い味方です」

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女性の「働く」を考えるマガジン。

第9回目は米澤かなこさん。

—3児のママでありながら、フード&ビューティープランナー・フードレメディスト(SIZE inc.クリエイティブディレクター)として手に職をつけてお仕事をしているかなこさん。(@kanako_yonezawa
笑顔の裏には働き方に悩んだ過去と、かなこさんらしい美しい信念がありました。「食」を仕事にするまでの経緯や子育てと向き合いながら築き上げた今の働き方とは一体どんなものなのでしょうか。お話をお伺いしました。

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—今の仕事をする前は何の仕事をしていたのですか

10代の時、モデルの仕事を通してヘアメイクさんに憧れて美容学校に入りました。片親だったこともあり、女性が手に職をつけることの大切さを感じながら育ちました。
美容学校で様々なスキルを学んだ後、都内で美容師として勤務。念願叶って希望していたサロンで働くことができました。しかし拘束時間が長く、帰宅するのはいつも深夜。同期も少なく、相談できる人もいなくて徐々に辛くなっていきました。考えが甘かったのかもしれませんが、悩んだ結果退職をしました。その後はカフェでアルバイトをして暮らしていました。

思い返せば、その頃からマクロビやビーガンなどの本を読んだり、オーガニック系のカフェを好んで行ったりしていてオーガニックの食に対しての興味は高かったと思います。

—そこから現在のような「食」に繋がる仕事を始めたのですか?
25歳で結婚、出産。家族ができて食の大切さをより強く感じるようになりました。
マクロビの勉強を始めたのは子どもが生まれた25歳頃のこと。後にお料理の師匠となる先生のセミナーを見つけ「ここで学びたい!」とピンときてすぐに申し込みました。講師になれるセミナーを受講し勉強をしながら、中美恵先生のアシスタントもさせていただいていました。

お友達の奥さんのサプライズ誕生日パーティーでオーガニックフードのケータリングをしてほしいと頼まれるなど、友達づてで仕事を頼まれることが増えていきました。その頃からママ向けに食の大切さを伝えるワークショップや昔ながらの季節の手仕事教室なども開催するようになりました。ケータリングやお料理教室など、「食」に関わることをまとめて「米澤食堂」と名付けました。

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—今のメインのお仕事内容は何ですか?
フード&ビューティープランナーという肩書きで仕事をしています。食を通じて、子どもたちの未来やお母さんの笑顔のためにできることをしています。
米澤食堂では昔ながらの手仕事…梅干しやお味噌つくり、ぬか床作りなど、発酵食品をお伝えしています。ケータリングではご依頼内容によって調理をする場合もあれば、ディレクション(コーディネーター)のみを担当する場合もあります。ご依頼いただくのは、ファッション系の展示会や撮影時のケータリングをさせていただくことが多いです。

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—ikumamaというママ向けキュレーションサイトもディレクションされていると聞きました。

妊娠、出産を経験し母という立場になってから「お母さんのためになにかをしたい」という気持ちがすごく芽生えました。育児は本当に大変だからお母さんを癒せるためのなにかができたら…と思い、ikumamaに携わっています。お母さんのためになるなら、食でもいいし美容でもいいんです。

ikumamaで活動する以前に「MAMA育PROJECT」を立ち上げ「ママの笑顔は家族を幸せにする」をコンセプトに活動していた時期もありました。
ヨガの先生とベビーシッターさんを呼び、ママはゆっくりヨガを楽しみ、レッスン後に私がつくったマクロビのお料理をみんなで輪になって食べてもらうイベントを企画したこともあります。

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お母さんが笑顔だと、家族も笑顔になります。
お母さんたちが、ハッピーになったり、リラックスできたり、学べたり、、どんな事を企画したら、お母さんたちが笑顔になれるかな?といつも考えています。

子育てに手がかかるのは、今だけです。小学生になれば、親と過ごす時間も減ります。手をかける時期から目をかける時期に移行していきます。でも、どんな時も子育ては本当に大変です。悩まないお母さんはおそらくいません。みんな通る道だと思います。

出産後の生活がどんなものか、リアルな生活を教えてくれる人が周りにいませんでした。産後1〜2ヶ月くらいは心も体も相当辛いです。寝れないし、心も体も大きく変わります。雑誌やSNSを見ると楽しそうなイメージを持ちがちですが、実際に母親になったらそれどころじゃない(笑)現実を知らなくて見えていなくて、リアルなものが伝わっていなくて、そのギャップに苦しむ人もいるのではないでしょうか。

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—子育てとの両立をするための働き方はどうつくったらよいでしょうか?
現在はikumamaのディレクション、米澤食堂、フリーランスでのモデル活動を中心にしています。
出産や妊娠のタイミングにより稼働工数は柔軟に変えています。
週2−3日稼働にすることもあれば、週の半分仕事、週の半分子育てをすることもあります。
私の場合はスポットで働くことができるという点と周りの人たちが子どもをいることを受け入れてくれる人が多かったことに助けられました。

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—働き方で悩んだこと、つまづいたことはありますか?
長女が1歳になる頃、結構心身ともに参ってしまいました。仕事もしたいし、外に出たいのに子連れだと出にくく悩んでいました。子どもを預けて働きたいという気持ちになっていたんです。
そんな時、母親から言われた一言で我に帰りました。
「あなたは今一番人生で大事な仕事してるでしょ」
って。誰に言われるでもなく、自分が子どもを欲しくて、自分が子どもを産む生き方を選んだのに。勘違いをしていたんです。自分で選んだ生き方から逃げようとしていた。

そこから子どもと一緒に楽しもうと、スタンスを変えました。
外出しにくいではなく、仕事がしにくいではなく、何でも子どもと一緒にやったらいいじゃないかと視点を変えました。こどもたちと一緒にワークショップに参加したり、「子連れでいいよ」と言って下さる方々とお仕事をさせて頂きました。。

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—本業はママ、とはっきり言うかなこさんが印象的でした。正直、子育てと働き方には皆様、様々な意見を持っていて言いにくいこともあるのではないかと思うのですが…

「本業はママ」と言えること。これはまわりの皆さんのおかげです。
子どもがいる方々みんな、子どもを授かった瞬間から親であることに違いはありません。ただ、私の場合は、子どもといる時間を考えてから仕事の作り方を考えていくスタイルが今はバランスがいいと感じています。
“今は“納得できる形です。子どもが成長し子どもの世界が広がったら、私も働く時間をもっと作ると思います。
今はできる限り子どもを優先して、後悔のない子育てをしたいと思っています。

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何に重きを置くかは人それぞれです。働くことを1番に考える人もいるでしょうし、どれだけの期間、子育てと向き合うかどうかも人それぞれです。
何が正解というのはない。自分が一番納得できて後悔しない働き方をつくりたいというのは譲れない想いです。
やりたい仕事があっても、子どもたちがいるため夜は出られない、など物理的に難しくて諦めることはあります。最終手段、シッターさんを頼むことがありますが、本当に稀です。

—女性が会社の代表になり、旦那さんが役員というケースもあれば、(※過去記事参照)かなこさんのように旦那さんが会社の代表でかなこさんが役員というケースもあります。旦那さんが代表でよかったことは?またよくなかったことは?
私が苦手なことが、彼は得意です。数字にも強いし、仕事や視点が細かいです。私が苦手なことを補ってくれます。いざという時に旦那さんがサポートしてくれます。

チームで働いているような感覚です。仕事も子育ても、ひとりでやるのではなくて、一緒にやっている気持ちを持っています。

—旦那さんを味方にする、支えてもらうためのコツってありますか?
褒めるようにしています(笑)あとは常にありがとうと思うことと、それを意識的に口に出しています。

夫婦の時間も作るように意識をしています。母である前に女性です。2人でデートに行ったり、くだらないことで夜中に3時間くらい話したり(笑)
子どもも、両親が仲がいいほうが良いと思うんですよね。

—理想的なパートナー像ですね(羨)
—仕事はどのように広げていったのですか。

友人からの紹介で広がっていきました。
がっつり働いている方からしたら甘い考え方なのかもしれませんが、有り難いことにご縁で仕事をいただいています。

—好きなことを見つけたい時、働き方の選択に迷った時、どのようにしたらよいでしょうか

心地よいなと思う方向に進んでいけばいいと思います。無理をすると絶対にボロが出ます。一緒にいて心地よいなと思う人と、心地よいことをする。関わる人というのはすごい大事だと思います。考え方が似ていると仕事もしやすいです。
考え方が合わないと思う人と無理に仕事をしようとするとやっぱりうまくいきません。やりたいと思ったことって得意なことだったりするんです。そのほうがステップアップしやすいです。自分の心がワクワクするほうを選んでいったらいいと思います。

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—これから好きなことを仕事にしたいという人へ向けて。やりたいことというのは、移り変わっていくものなのですか?
移り変わっていきます(断言)
ヘアメイクを目指していた時は確かに美容に関わりたかったし、今も美容は大好きです。ケータリングを多くやっていた時はメニューやディスプレイを考えるのも楽しくて夢中でやっていました。
でも今やりたいことは、少し変わってきました。


—働きやすさってどうやったら作れるのでしょうか。自分らしい働き方を考える女性に、アドバイスをするとしたら?
私が言えることではないかもしれませんが、自分の気持ちに正直に好きなことをする。心地よいことをする。気持ちってすごく大事です。
美容師の仕事を辞める時、毎日のように母親に泣きながら電話していました。やっと働きたかったサロンで務めることができたのに、辛くて、悔しくて、申し訳なかった。
その時、母は一言「辞めてもいいんだよ」と言ってくれました。
子育てをして思うことですが、親は子どもの心と体が健康で生活してくれれば、それで幸せなんです。心と身体が健康でなければ、何も始まりません。くじけたり諦めたりするのもひっくるめて、受け入れてくれます。

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やりたいことは必ずなくてはならないものではないと思います。できることをやって、やりたいことに耳を傾けていたら自ずと道が繋がって、広がって、仲間が増えていくと思っています。
今、何の仕事をしているかではなく、その人自身(=個)を見られる世の中だと思います。個でお付き合いをしているうちに、いつか仕事に繋がっている、というものではないでしょうか。私がまさしくそのパターンです。


ー貴重なお話をありがとうございました!


#編集後記

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インタビューをする中で印象的だったのはかなこさんが繰り返し言っていた「甘いと言われるのかもしれませんが」とか「”今は”こう思う」という言葉の選び方が印象的でした。彼女が考えて悩んで生きてきたからこそ生まれた、言葉の選択なのでしょう。芯の強さが輝いていました。

他人の働き方について「甘い」などと口を出してくる人は必ずいますが人には人の事情があります。「甘い」は勤め先(お金をいただいている会社やクライアント)の要望には応えなくてはいけませんが、独立した働き方をしているのであれば他人の基準に合わせる必要はないのだろうと感じました。生きたい生き方から逆算した働き方を設計。優先順位は人によって違うし、こういう働き方の考え方もありですよね。


かなこさんの働き方も、”今は”ママが本業。それに合わせて働き方を逆算して考えていく。そして3年後、5年後の本業はママのままかもしれないし、かなこさんが会社の代表をやっているかもしれないし、わかりません。

ー最後まで読んでいただきましてありがとうございました。


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