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【#8】あえての事実婚の選択。女として母としてひとりの人として人生を楽しむ生き方・働き方(From GUAM)

こんにちは。

ご訪問いただきましてありがとうございます。

ほっとマガジンです。女性の生き方と働き方を考えるため、魅力的だと思う女性にインタビューをしています。生き方や働き方を考えるひとつのきっかけをお届けできたら嬉しいです。

※毎度長文なので、Instagramアカウント開設しました。

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8人目はグアムの企業にてマーケティング部長を勤めるあやかさん。20歳の時から父がオーナーを勤める六本木の飲食店で店長を勤めたり、ご自身でマーケティング会社を経営したり、様々な働き方を経験してきたあやかさん。プライベートでは結婚と事実婚を経験し、現在2児の母でもあります。色とりどりな人生を歩んできたあやかさんが、なぜ今前向きに人生を楽しんでいるのか。あやかさんが大切にしている考え方をお伺いしました。

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【仕事について】

ーグアムの企業にてマーケテイング部長でのお仕事内容を詳しく教えてください

アンダーウォーターワールド水族館やシーグリルレストランのPRや企画、営業をメインに行っています。どうしたらもっとグアムに訪れた人が足を運んでくれるのか、どうソーシャルメディアを駆使するかなど、ミーティングをする充実した日々です。

グアムには日本人観光客が多いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、大きく分けて4つのマーケット…日本人、韓国人、ローカル、その他があります。

勤務先は社員120名程度の規模の会社で、現在4人のチームで動いています。韓国人とローカルの各マーケティング担当、そしてアシスタントで4人、全員女性です。アメリカテキサス州在住の上司とは週に1回程度のオンラインコンファレンスで戦略を練っています。

最近はOTA(※オンラインツアーエージェント)にも力を入れていて、お客さんを呼び込む施策を考えています。

※OTA とは実店舗を持たずにインターネット上だけで旅行商品の取引が完結する旅行会社のこと。例)楽天トラベルやじゃらん、Booking.comなど

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何がきっかけになるかわからない、彼氏とはじめてのグアム旅行

ーグアムに来たきっかけは何だったのですか?

当時付き合っていた彼氏です。20歳の時、私は父がオーナーを務める飲食店で店長を任されていました。お客様は海外からの方も多く、教養のある方も多くいらっしゃいました。

このまま父の家業を継ぐことしか知らない人にはなりたくない、英語を話すことができたらもっと可能性が広がるのではないか、などと考えていたところへ、彼氏の一言。銀座でバーテンダーを勤めていたその彼は「海外で学びたい」と言ってきたのです。

しかし肝心の本人は海外旅行の経験がなく、海外に行くという一歩を踏み出せない人でした。

海外に行くことは山手線に乗るように、バスに乗るように、シンプルなこと。ただ飛行機に乗ってしまえばいいんです。海外旅行をおおごとに考えている彼に、ことの簡単さを伝えたかった。まずそれを分かってもらうために、近くの海外「グアム」に一緒に行ってみることにしました。

しかし、行動に移したい気持ちとは裏腹に、彼は旅行中もまったりモード。

その間、私はひとりで観光やショッピングに出かけました。そしてゆっくり流れる時間と、全く英語が話せない私に優しく対応する現地のホスピタリティーにすっかり魅了されてしまったんです。

思い立ったらすぐ行動をしたい私は、2週間後に再びグアムに行きました。グアムに行くきっかけとなった彼はプロポーズもしてくれましたがお別れする決断をしました。

高校のときからの付き合いで恋人であり親友であり結婚も視野に入れていましたが、彼は自分で行動をすること、自立することをしない人でしたので、この人と一緒に人生を歩むことが自分の成長に繋がらないと気がついた時、私の気持ちはすっかり冷めていました。

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ひとりで再び訪れたグアム。2回目の旅の目的は「どうやってビザを取得するか」「どこに住むか」でした。まだ若かったので多少知見が浅かったのはありますが、とりあえず半分勢いで行きました。

そこでは良い出会いがありました。某ホテルの社長さんと知り合い、グアムで働きたい想いを伝えると、「そういう理由なら安くホテルに泊めてあげる。君の夢を応援してあげるからおいで」と言ってくれました。とても嬉しかったです。

肝心の就労ビザは取得が難しいということがわかり、グアムの大学に進学することにしました。高校を卒業してからそのまま仕事をしていたため、大学に行きたかった気持ちもあり、迷いなく決めました。とはいえ、英語は話せません。

ESL(endlish as a secondlanguage)という英語学習のためのスクールに通った後、大学に進学しました。

大学進学の費用はすべて今まで自分で稼いだお金から払いました。貯金がたくさんあったわけではありません。稼ぐ、使う、稼ぐ、使う、の繰り返し。それでも日本を離れ、進学をすると決めました。

グアムへ行くことに周りは大反対でした。グアムの公用語は英語とチャモロ語※。英語のなまりもあるし、活きた英語は学べないと言われました。また、グアムのゆるい空気に触れると日本に戻ってこれなくなるのでは、と心配されました。

※チャモロ語はアメリカの本土に移住した人々とその子孫の一部にも使われている。スペイン語が語源。マリアナ諸島などで話されている

それでも私は、ダメだったらまた戻ったらいい、なにかあったらすぐに帰れる距離感がちょうどいい、と考えてグアムに住むことを決めました。

25歳で結婚、出産、そして子育てと仕事

ーその後25歳で結婚、出産されたのですね。どんなお仕事をされたのですか?

子どもが1歳になるまでは子育てに専念していましたが、次第に仕事をしたい気持ちが強くなっていきました。とはいえ、子どもになにかあった時のことを考えて責任感のある仕事は避けたかった。

始めた仕事はビーチの前での売り子。ジェットスキーやバナナボートを売る仕事で、基本給+歩合制でした。基本給はかなり低く、売らないことには稼げない給与体系でしたが約2年ほど勤務。子どもが3歳になった頃、フルタイムでビジネスシーンに復帰したい、もっとしっかり働ける仕事を探そうと思うようになりました。

PR部を発足、マーケティングは独学で学ぶ

ー子育てが落ち着いてからの仕事は何をされたのですか?

職場の復帰先はグアムプラザホテル。宿泊部でホテルマンのアシスタントになりました。会社はどんどん成長していきましたが、PR部がないことに疑問を感じました。成長を遂げるホテルを世の中に認知させていくポジションが必要です。

「宿泊部は今いるメンバーで充分だと思うのでPR部を作らせてください!」と上司に提案。そこでひとりでPR部を立ち上げさせていただくことになり、マネージャーとして活動を始めました。そこから8年間、PRとアドバタイジングの仕事に携わることになります。

未経験にもかかわらず、様々なお仕事を任せてくれた上司やホテルのオーナーには大変感謝しています。

わからないことはすべて独学で一生懸命勉強しました。例えば、アメリカのマーケティングを学ぶ会であるアメリカマーケティングアソシエーションに参加し第一線で働いている方から世界のマーケティングを学びました。グアムのマーケティングのどこが遅れている点なのかを知り、大変勉強になりました。様々なイベントへも積極的に参加し、人脈も作りました。

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ーグアムの観光の現状を聞かせてください

最近はグアムの観光業も変わってきています。グアムの若者がアメリカ本土に一旦出て勉強し、戻ってきて起業する人が増えました。そのおかげでオシャレなカフェやレストランが増えたのは嬉しいことです。

グアムのお土産も変わってきています。今まではどこかの国が作ったお土産にグアムのシールを貼っているだけでしたが、今店頭に並んでいるグアムのシールが貼られた商品は正真正銘グアムで作ったもの。グアムで作っているものしか「グアムプロダクト」として認められなくなりました。どんどんグアムは変わってきています。

グアムの主要産業はずっと観光業がメインでした。グアムの料理や文化を世界にもっと広めようという動く若者たちが増えました。

ーホテルでのPRのお仕事後、日本に3年間いたとお伺いしました。その時は何の仕事をされていたのですか

約3年ほど前、日本に一時帰国をしました。母が癌で余命宣告をされ、当時のパートナーが心臓病や鬱を発症、様々な家庭の事情が重なったため、融通がききやすい働き方として「起業」を選びました。雇用をしてもらう選択も考えましたが、今思えば、一度グアムに行き戻ってきた私の雰囲気が雇用には不向きな印象だったのかもしれません。今までやってきたことの延長線上なので、事業の立ち上げや事業を軌道に乗せるまでに時間はかかりませんでした。

事業内容は飲食店のマーケティングや人材紹介をメインに、できることはなんでもやりました。社員は3名ほどの会社を、母が亡くなった後のマンションをオフィスにして、暮らしていくのに必要な分だけ仕事をしました。



【プライベートについて】

ー1回目の結婚では入籍をし、2回目の結婚は事実婚を選んだあやかさん。なぜそのようなスタイルを選択されたのでしょうか。

グアムでは事実婚は珍しくありません。2回目の結婚を事実婚にしたのは、ほかに大切にしたいことがあったから。自分の叶えたい夢もあったし、自分の生き方も子どものことも大切にしたかった。

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結婚って難しいなと思いますがどうですか?人ってどうしても甘えが出てしまうものだと思います。最初は愛し合って結婚しても、相手に求めることがだんだんと多くなってきてしまう。なにかをしてくれることが当たり前のような気がしてきてしまう。

好きだから一緒にいたいと思ったはずなのに、なんだかちぐはぐしてくるんです。私はこれだけ仕事をしているのに、これだけ家事をしているのに、なんでやってくれないのだろうって。ひとりひとりではなくて、セットで考えるから、相手に欲が出るのだと思います。

家事をしてくれたら感謝するべきなのに、家事を分担しようと思うと「手伝ってくれてありがとう」ではなくて「なんで私ばっかりやっているのだろう、なんでやってくれないのだろう」という不満に変わってしまうのです。


ー日本でも最近は事実婚が増えてきた印象ですが、子どものことを考えて籍を入れる選択をする人もいるように思います。グアムでは子どものいる家庭も事実婚を選択する傾向がありますか。

入籍か、事実婚かの選択に子どもの有無はあまり関係ありません。

むしろ結婚していないほうが母子家庭の手当がありメリットが大きく、あえて事実婚を選択をする人もいます。グアムは育休制度も整っていて保育しやすい島です。

ただ私の場合は早く仕事がしたくて、2人目の出産の時は産後10日で職場復帰しました。アメリカでは出産後2週間程度で戻ることが多いです。病院も1日で退院します。


ーグアムの保育事情はどうですか?

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働いている女性は保育園に子どもを預けて働きます。日本では待機児童などがしばしば問題になるようですが、預けにくいという話は聞きません。

日本と違う点で言えば、貧富の差があります。グアムでは日本に比べると子どもを早く産む傾向にあります。家族が子どもの面倒を見て若者が働くというスタイルは、どこか昔の日本に近しいものがあります。


ーそのほか、日本とグアムで恋愛観や結婚観の違いは感じますか?

日本人は愛してるとすぐ言うけれど、アメリカ人はなかなか愛していると言わないという話を聞いたことがありますか?

like とloveのニュアンスが日本人とアメリカ人では違います。日本人はすぐにlove(=愛している)に近い表現をしますが、アメリカ人はloveという表現をする時は慎重になります。loveは愛情表現の重みが大きいからです。

ー母子家庭の手当があり、周りからも事実婚の理解があるのであれば、結婚をするメリットを感じなくなりそうです。結婚(入籍をするパートナーシップ※以下結婚)を選択する人はどういう理由なのでしょうか?

一生一緒に生きていこうという意志が明確にあれば、結婚を選んでいる気がします。だからと言って事実婚が良いとか悪いとか、一緒に暮らす意志が弱いとか、そういうものではありません。

グアムは家族が大きくなるということにも寛大です。再婚も多いので旦那さん側の家族と奥さん側の家族が一緒になり家族が大きくなるということも許容されやすいです。家族が大きくなることは幸せなことだと考えているようです。

結婚をするか事実婚をするかの判断基準に周りの目を意識する人はいないのではないでしょうか。誰の目を意識するでもなく、自分の考えで選択をしています。

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ー仕事とプライベート(子育て含め)を両立する上で大切にしていることはありますか?

仕事とプライベートのオンとオフはきっちり分けるようにしています。シングルマザーになった現在も、私が楽しく生きることができている理由のひとつです。

女子会もデートもするし、話を聞いてみたいと思う人がいたら男女問わずご飯や飲みにでかけます。「ママなのに」と言う人もいます。それでも、オンとオフにそれぞれ全力投資することで私自身も人生を楽しめるし、子どもの前でも笑顔でいられると思っています。

ー日本とグアムでの「働き方」の違いはどこで感じますか?

グアムは家族に優しい働き方ができます。職場でも家庭の事情を理解しようとしてくれるため、家族を優先する働き方も普通です。

例えば、学校から急に呼ばれて対応しなくてはいけない時。重要な会議が入っていなければ、「ごめんね、〇〇で学校に行かなきゃいけない」と理由を説明すれば、会社を抜けて学校に行かせてもらうことを許してもらえる環境です。

アメリカでは子どもが13歳未満の子どもがひとりで外出させてはいけないという義務が親にあります。そのため従業員の休憩室で子どもが待っていたり、親が仕事の休み時間に子どもを迎えに行くこともよくあることです。

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ーグアムで働くことのデメリットをあえてあげるとすれば何ですか?

仕事のペースがまったりとしています。会議の時間に遅れるとか資料の提出期日を守らないとか、日本では考えられないこともよく起こります。

最初はなぜ遅れるのかとイライラしていました。でも、お互い感覚が違うから相手もなぜ私が怒っているか理解できないんですよね。相手が理解できるレベルじゃないのではなく、私が理解をさせる力を持っていないのだと思うようにしています。

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ーグアムでの生活面でデメリットだと思うことはありますか?

”医療”についてはひとつのデメリットになりうるかもしれません。

例えば、医療が整っていないため、3年前に母が癌になった時、こちらに呼ぶのではなく、家族全員で日本に引っ越しをしました。また、旦那が心臓病を患った時、フィリピンにまで治療に通いました。

ー今までいろんな話を聞かせていただきましたが、総じてグアムで働いてよかったと思いますか?

よかったと思います。グアムで働き、暮らし、心が穏やかになりました。日本は365日ずっと仕事のことを考えています。子育てしている時も、家事をしている時も頭の片隅にはいつも仕事があります。

グアムでは仕事を家に持って帰りません。仕事と家庭をはっきり分けています。

自分と自分の家族のために働いているという目的がぶれません。日本人に欠けているものだと思います。日本人は会社のために死ぬじゃないですか!こちらでは、家族のために生き、死にます。過労死のニュースはグアムの人からすると信じられないでしょう。

目の前の仕事量が多すぎる時、「できないものはできない」とはっきりとボーダーを設けています。グアムのビジネスマン達はプライオリティ(優先順位)をしっかり理解しているのでしょうね。私も理解するまでは、自分に厳しく仕事をしていました。グアムの人の考え方と日本人の私は違う、と思っていました。分娩台の上でも、熱があっても働きました。多少の無理は目をつむり仕事を第一に働いていたんです。

でも、気がついたことは、本当に大切なのは自分で、大事な仕事や事柄というのはあとからでも必ずついてくるということ。もちろんうまくすべてこなすのが一番ですが、もし仮に完璧にこなせなかったとしても、大切な仕事は結果が重視され、極端に言うと、捨てても戻ってくるんです。アンプロフェショナルに聞こえるかもしれませんが、これは様々な経験をして余裕ができて、やっと気がついたことです。

「これもやらなきゃ、あれもやらなきゃ」って残業をしていた時期もありました。完璧にこなしてこそ、良い商品がつくれると思っていたのです。良い商品をつくる抑えるべきポイントをおさえて仕事をする。時に、切り捨てるポイントの見極めも大切です。

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ー日本とグアムの「生き方」の違いはどこで感じますか、また日本人に足りない点はどこでしょうか?

繰り返しになりますが、グアムは家族に対して本当に優しくてあったかい。宗教の影響もあるかとは思いますが、大切なものの優先順位は第一に家族で、親戚や親友もそれに含まれます。

正直、日本人の感覚からしたら、まったりした島にいる人の意見なんて参考にならない、と思う方もいると思います。ただひとつお伝えするならば、グアムは人間の根本的な本質を思い出させてくれる場所だと思っています。

ビジネスをバリバリやっている人も中にはいますが、みんな人間らしく、楽しむことも忘れていない。これは日本人ももう少し持っていてもよいものなのかな、と感じます。

ー貴重なお話をありがとうございました!

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母として、女として、ひとりの人としての人生を、それぞれめいっぱい楽しんでいるあやかさん。

初めてお会いした時の凛としていてチャーミングな印象が忘れられず、もっと話が聴きたいと思い今回skypeでお話を伺いました。生き方は顔に出ると言いますが、生き様はわかりやすく人を惹き付けると感じます。

母であり女であることを一生ずっと楽しむのはさすがになかなか難しい。人生のそのときどきで優先順位って変わっていいと思います。今は母を楽しむ時期、今は人としての生き方を考える時期、など分けて考える。どの顔も楽しむあやかさんが素敵でした。

日本はちょっと苦しいと思う時があります。芸能人が出産後すぐに復帰したら子どもが可哀想とか。日本とグアムの常識が違うように、自分と今となりにいる人の常識は違って当たり前なのだろうと、あやかさんのお話を伺いながら感じました。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。自分の価値観を見直し、生き方や働き方を考えるひとつのきっかけになれたら嬉しいです。

※補足メモ
グアムには2016年、過去最高の約153万人が訪れ、うち半数が日本からで最多だった。働き手の30%が観光業に携わる。ビジネス収入の6割が観光業を営んでいる。日本人の観光客は激減したが、韓国のLCC(低価格航空会社)や中国の航空会社が路線を開設し、地域全体の観光客数としては増加傾向にある。2016年のサイパンを含むマリアナ3島では53万人、グアムは153万人が訪れ、いずれも過去最高を記録した。

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