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身体障がい当事者が初めて給料を貰って感じたことがあるんでちょっと聞いてもらっていいですか?

どうも、ホッシーです。


皆さんいかがお過ごしですか?

三寒四温とはよく言ったもので、寒い日もありながら徐々に春に様変わりしている昨今。

テクノツールやOriHimeを含め、仕事を始めて早いものでもう3ヶ月ぐらい経ちました。


突然ですが、皆さんは初めて貰ったお給料で何を買いましたか?


時計?服?または化粧品でしょうか?


僕はと言えば、初任給の使い道はずっと前から決めていました。

とりあえず自分の欲しいものを買い、そして大切な人へ贈り物をして、あとは貯金に回す。

僕は初任給でずっと欲しかったヘッドホンを買い、狙っていたスニーカーを抽選で無事に買い、そして母親に誕生日プレゼントを送りました。

Sacai×NIKE Vapor Waffle
Sacai×NIKE×KAWS Blazer Low



狙っていたスニーカーを自分の稼いだお金で買えたんです。

自分の稼いだお金で人にプレゼントを送ることが出来たんです。


すごくすごく嬉しかったんです。


でも、その喜びを素直に表現したいだけなのに、どうしてだか自分が稼いだお金ということが心に暗い影を落としているんです。


今日はそんなホッシーのモヤモヤと、そこに対して自分が思ったことをちょっと聞いて貰えませんか?


きっかけ


大学時代からの友人の一言


大学時代からのとある友人に、


「ついにワイにも職が見つかったやで〜!」


と話したら、


「おっ!ホッシーもやっと社会人か〜!」


と言ってくれたわけですね。


めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。

大切な友達がいて、自分を祝ってくれて、すごく応援してくれているんです。


嬉しいはずのこの一言なのに、ほんのちょっとだけ引っかかっちゃった言葉があったんです。


「やっと」


そうなんです。


同い年の人達は、バイトなり何なりで既にこういう欲しいものや生活に必要なものを、自分が稼いだお金で買う喜びをとっくの昔に感じ終えているんです。

そして僕より2,3年前に就職して、もう今では何人かは責任ある立場に就いたり、転職したり、プライベートな部分で言えば、家庭を築いたりしていて、僕よりも先に行っている状態でありながら、また何段階も違う悩みや喜びといった感覚を覚えているんですよね。


同じ当事者の友人からの一言


他方で、支援学校時代からの友人からは


「いいよなぁ、ホッシーは。働く場所があって。」


と言われました。


そう。


実は重度障がい者を取巻く労働環境は、事業所などで最低賃金以下で働いている人(それが悪いことという意味では全くないです)や、そもそも機会がなくて仕事にありつけていない人が今でもまだまだたくさんいるんです。

(障がい者雇用のデータはこちらから→ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000178930.pdf

症状によってはみんな仕事以前に生きていくということに一生懸命な人もいます。

だからこそ、一般の企業で自分のように働いていて、しかも「テクノツールとOriHimeでダブルワーク」みたいなことをしている当事者はレア中のレアだし、「何か秀でたものを持っている人」と見なされるんです。


自分の居場所はどこなんだろう?


同年代の人たちと比べたら、同じことをやってきたはずなのにいつの間にかすごく周回遅れな人生を歩んでいて、どう頑張っても彼らと同じラインには立てない。

かといってマイノリティ側にいると、自分のやってきたことが極端に特別視されたり、そもそも僕はマイノリティの輪の中にうまく入れた経験が無いが故に、他の当事者の人たちのことをちゃんと理解できないということもありました。


個人的な話をすれば、こういう状態が物心ついたときからあって、どこでもない場所に一人ぽつんとさまよっている感覚がずっとあります。

自分は特別な唯一無二の生活をしたい訳ではなくて、多くの人のように「自分で職を選んで、なんの貴賤もない普通の生活がしたい」だけなのに、自分のやってきたことややっていることが全て「チャレンジ」として見なされてしまう。

だから、同じような感覚を持ちながら、共に切磋琢磨して歩んでいく仲間がいないという寂寥感と、自分が今どういう状態にあるのかという不安がいつもいつも拭えないなぁと思っています。


もちろん、一括りにできるほど人の人生は「これが普通」と集約できるものではないし、その選択どれをとっても善し悪しで比べられるものでは絶対に無いのは分かっているんですけどね。


今の世の中にどんな問題があるんだろう


それでもやっぱり僕は、未だに障がいというファクターがあるだけで自分の思い描くような進路を選べないことや、選ぶにしてもたくさんの壁や準備が必要な状態に「分断」を感じています。


どうしてこの分断が起こるのだろう。

これについてはいろいろと僕の中では仮説が立っていて、


・提供された場所の中で生活している

・どう採用したらいいのかわからない


という2つが主な原因だと思っています。


提供された場所というのは、例えば生活や就労に関わる施設や制度など障害を持っている人たちが普段利用する福祉を指します。

障がいが重度であればあるほど

支援学校→家 or 施設 or 就労支援作業所

みたいな進路の流れがあります。
その中から一般の高校に通う人や、大学に通うという人はほんのひと握りです。

彼らはずっと障がいの無い人たちが作った「この人たちに必要であろう」という福祉の枠の中で生きていて、そこから出ることはよっぽどの努力がない限りは無理に等しいと思っています。


(もちろん、自分も普段から福祉の恩恵を受けているので「こんなものいらねぇよ!」なんてことは思っていなくて、すごく助かっている身だということは前提にあると思って読んでください。)


そしてもう1つ、これが1番大きいと言っても過言ではないと思うのですが、

「障がい者を採用しなければならないのはわかっているけれど、うちの会社にどう採用したらいいのか分からない」

というのも要因にあると思います。


多様性の尊重と言われて久しい社会で、自分たちも障がいのある無しに関わらず人を雇いたいんだけど、人員的な問題やどんなサポートが必要なのかわからない、そもそもどの仕事を与えたらいいのかわからないという状態にある会社は少なくないんじゃないかと思っています。


マイノリティと呼ばれる人たちは何か秀でたものが無いといけないのか?


先程も書いたように、マイノリティの中にもいろんな人がいます。

もちろん、イケイケゴーゴーでどんなことにも果敢に挑戦する人もいれば、生きていくことに必死な人もいるわけです。

いろんなことに果敢に挑戦してすごく知名度を上げている人もいれば、自分のようにひっそりと鳴かず飛ばずな生活をしている人もいます。

だけど、これは障がいのある無しに関わらず、多くの人は特別秀でたものがあるというわけではないけども何も無いというわけではないみたいな、「普通の感覚」を持っていると思うんです。

でも、体に重いハンデがあるだけで、その自分の思う普通の感覚のまま生きていくことが出来ず、何か人並み以上に努力しないと一般的な生活のラインに立てない。

そうして「生きていくために人よりももっともっと頑張らないといけない」と焦って苦しんでいる人もたくさん見てきました。

本当はそんな風に思い詰める必要はないのに…




こういうことを自分は「給料を貰う」ということを通して考えたわけです。


自分が心に決めたこと


というわけで、


ここに書いたことはすべて「今までの話」です。

今こういう問題があって、こういうルーツがある、というだけで、これから先のことはどうにでもできると僕は思っています。


なので、そんな今だからこそ言える、これからホッシーがやっていくことを最後に聞いてもらいたいです。


まずは当事者から機会を作っていく


僕が上に書いたような現状を打破していくための方策として、まずは自分たちがやりたい仕事をできるように、当事者である自分たちの手で仕組みを作っていきたいと思っています。

僕と同じような当事者の人達が、やりたいなぁと思う仕事にちゃんとありつけるように、

「こういう仕事にこういうツールを使えば、たとえ外に出られなくても自分ならできる」

とか

「このポジション今まで無かったから先に作っちゃおう」

みたいな感じで、今ある仕事・ない仕事に対して、自分たち障がい当事者がどうしたら参加出来るかを当事者からマジョリティに発信して、行動して、居場所を作っていくことがしばらくの僕の仕事です。


あと、自分がいつか寝たきりになったとしても正社員と同じぐらいの仕事をして給料を貰えるような仕組みも作りたいです。笑


特別じゃなくたって選択肢が当たり前にある状態を


これはたぶん10年後の話になると思いますが、上のような方法で当事者が働ける仕組みを作った後は、

「自分のやりたい仕事の選択肢が当たり前にたくさんある」

という状態に持っていきたいです。


ツールや環境を整えて、労働形態を作るというロールモデルをいくつか作ったら、あとはそれを多くの企業や場所に応用していくための仕組みを作ることで、どんな状態でも働けるという場所をたくさん作っていきます。


僕が悩んだり絶望したこの気持ちを、後に続く当事者の人たちに感じて欲しくないし、自分が欲しいものを買える喜びを、今の僕の年齢よりももっと早く感じられるような環境を整えたいです。


具体的な内容は、たぶんこれからホッシーが出していく情報で分かってくると思いますので乞うご期待ください!





10年後とかに、

「いやぁ、この企業よりあっちの方が給料よくね?」

とか

「うわぁ〜、今の自分じゃここで働くには学歴足りひんから学歴ロンダリングでもしたろかなぁ〜笑」

なんていう声が比較的重度な障がい当事者から出たら大成功だと思っています。(あんまいい印象はないけど…笑)


今自分がやりたいことは、思っているより遥かに多くの課題があって、それを草の根的に一つ一つ潰していかないと成り立たないなぁと思っているけど、やっていく過程はきっと価値あるものだと思うので頑張ります!!

一緒に歩んでくれる仲間も絶賛募集していますので!!


それでは、今回はこの辺で!


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