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【イベントレポート】北海道宇宙サミット2022 Session4 フロントランナーが語る、宇宙エンタメ最前線

登壇者

一般社団法人Space Port Japan代表理事 山崎 直子氏
ソニーグループ株式会社 事業開発プラットフォーム 新規事業探索部門 宇宙エンタテインメント推進室 事業企画リーダー 見座田 圭浩氏
株式会社日本旅行 事業共創推進本部 宇宙事業推進チーム マネージャー 中島 修氏
株式会社 ナンバーナイン 代表取締役社長 小林 琢磨氏
日本テレビ放送網株式会社 アナウンス部 辻岡 義堂氏(モデレータ)

日本テレビアナウンサーの辻岡氏

辻岡氏:
13年ぶりの宇宙飛行士選抜、箸にも棒にもスプーンにもフォークにもかかりませんでした。日本テレビの辻岡義堂がモデレータを担当します。見座田さんから自己紹介をお願いします。

見座田氏:
ソニーグループ株式会社の宇宙エンタテインメント推進室で『STAR SPHERE』という「宇宙をこれまで以上に身近にして、宇宙の視点を発見、獲得していくこと」を目指すプロジェクトを行っています。

Sony Group Portal - STAR SPHERE | Space Inspiration Project

ソニーは、クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たすというビジョンを持っており、それを宇宙でやりたいと思っています。今、宇宙を身近にするための人工衛星を作っており、今冬には打ち上げたいです。写真を撮って「綺麗だな」で終わるともったいなく、発展性もないので、撮影に色々な意味合い、価値をつけようと取り組んでいます。

辻岡氏:
中島さんもよろしくお願いいたします。

中島氏:
株式会社日本旅行で宇宙事業を担当しています。旅行会社ではありますが、2011年からJAXAの仕事に携わった関係から宇宙事業推進チームを作り、北海道スペースポート(HOSPO)との仕事など色々なことをしています。

我々はロケット開発もできませんし、人工衛星を作る技術もありませんが、旅行観光業の会社として培ったノウハウを生かして人と宇宙の架け橋になることが、宇宙ビジネスへ領域を拡大していく一つのミッションと考えています。

辻岡氏:
続いて、小林さんお願いします。

小林氏:
漫画大好きっ子38歳、No.9(ナンバーナイン)の小林です。弊社は「すべての漫画を、すべての人に。」をミッションに掲げているデジタルコミックエージェンシー、電子書籍に特化した漫画の出版社です。

WEBTOONというスマホに最適化された縦読みフルカラーの漫画があり、今の漫画業界ではすごく注目されています。No.9は国内トップクラスのWEBTOON制作スタジオで、会場で配布された袋に「晴天のデルタブイ」のチラシが入っていますが、その漫画を作っています。「晴天のデルタブイ」はインターステラテクノロジズ(IST)に取材し、実話に基づくフィクションになっています。本日登壇していた堀江さんが美少女化して出ているところが、ポイントです。

オンラインで参加したSpace Port Japan代表理事の山崎氏

辻岡氏:
山崎直子さんよろしくお願いします。

山崎氏:
2010年に国際宇宙ステーションの組み立て補給ミッションに参加して、スペースシャトルに搭乗しロボットアームを操作して、宇宙から見る地球にとても感動しました。その後、今度は宇宙と地上を繋ぐ活動をしたいと、中島さんと宙ツーリズムに取り組んでいます。Space Port Japanは、HOSPOの皆さんと一緒に取り組んでいます。

Space Port Japanは2018年に設立しました。北海道や日本中の色々な自治体が会員になっています。和歌山県、大分県、沖縄県の下地島空港など、スペースポートの候補地と一緒に整備を加速することを目的としています。アメリカでは14のスペースポートが認可済みです。他にもイギリス、イタリア、アジア諸国、韓国、オーストラリア、シンガポールなど色々な国が誘致しています。

その中でHOSPOはISTが宇宙に到達した垂直型の打ち上げ射場があり、これから滑走路を延長する中で水平型の施設も備え、世界的にもとても珍しい複合型のスペースポートになることを期待しています。

辻岡氏:
宇宙エンタメの可能性についてはどうお考えですか?

宇宙は全てが非日常、全てがエンタメ

山崎氏:
宇宙は全てが日常から変わります。非日常を味わえるという意味で、全てがエンタメだと思います。国際宇宙ステーションでも色々な科学実験をやりますが、日本はアート実験などに力を入れてきました。水の玉に絵の具を入れると立体型の墨絵のようなものができたり、LEDをくるくる回すとずっと回るので綺麗な軌跡が撮れたり、様々な発想でアート実験、エンタメの先駆けが行われてきています。

日本旅行 事業共創推進本部 宇宙事業推進チーム マネージャーの中島氏

辻岡氏:
中島さん、旅行会社としてどのような意識から宇宙に興味を持ったのですか?

中島氏:
一番分かりやすいのは宇宙へ行くこと、遊びに行くことだと思いますが、安全、安心、快適さの問題があります。山崎さんも「宇宙酔いじゃなく地球酔いがきつかった」と話されていますが、そういう点も含めて改善する必要があります。

我々はその手前で、宇宙は遠い世界、SFの世界と思っている人たちを宇宙に繋げる架け橋になろう、それが成熟すると旅行業として月、火星に行くという人類の活動領域を広げることもできるのではと考えています。

辻岡氏:
宇宙旅行はもう着々と近づいていると見てよろしいですか?

2021年は“宇宙旅行元年” 民間飛行士の数が国の飛行士の数を抜く

山崎氏:
昨年、前澤友作さんと平野陽三さんも国際宇宙ステーションを訪れました。昨年は民間の宇宙飛行士の数が、国の宇宙機関から派遣された人の数を初めて抜きました。“宇宙旅行元年”と呼ばれていますが、その傾向はどんどん強まると思います。

ソニーグループ 事業開発プラットフォーム 新規事業探索部門 宇宙エンタテインメント推進室 事業企画リーダーの見座田氏

辻岡氏:
ソニーが宇宙に関心をもったきっかけは何だったのですか?

見座田氏:
ソニーの中で宇宙が好きなメンバーが集まり始めています。ソニーならではのやり方で何ができるのだろうと考えた結果、人工衛星を作り、エンターテイメントとクリエイティブの力を掛け合わせてソニーらしいサービスを作ろうと取り組んでいます。

辻岡氏:
宇宙は過酷な環境だと思いますが、音楽を聴くなど何かソニーの家電に助けられたことはありますか?

山崎氏:
宇宙船での生活は慣れると日常になってきます。撮影機材も地上から持っていって使えます。特別だと思っていたけれど、それがニューノーマルになるという不思議な感覚があります。

辻岡氏:
音楽を聴くこともあるのですか。

山崎氏:
もちろんです。電子機器に音楽を何百曲と入れられるので、空き時間にイヤホンで聴いていました。

辻岡氏:
漫画業界も宇宙に関心を持ち始めた経緯を教えてください

小林氏:
漫画業界では宇宙漫画にハズレなしと言われていて、有名作品がたくさんあります。「宇宙兄弟」「プラネテス」などです。

「プラネテス」が一つのきっかけになっています。10年以上前のSF漫画で、フィクションとしては全然問題ないのですが、SFなので事実と違う描写も当然あります。あまりにも有名すぎてそれが普通だと思われていることもあったので、改めて今のリアルな宇宙業界、宇宙について発信できるものを、と作りました。

辻岡氏:
スペースポートなどがどんどん具体的になり、社会が宇宙に関心を持つと漫画の売れ行きに影響するのでしょうか?

ナンバーナイン 代表取締役社長の小林氏

小林氏:
「晴天のデルタブイ」は、宇宙飛行士にならなくても宇宙に携われることをもっと表現したかったので制作しました。宇宙が注目されても、行ける人は一握りしかいませんが、ロケットを作る、エンタメに携わるなどでも宇宙業界に関われます。「晴天のデルタブイ」ではロケットを開発する人たちを主人公にしています。宇宙に興味がある人が増えれば増えるほど、「晴天のデルタブイ」が売れると思うので嬉しいです。

辻岡氏:
宇宙漫画が社会に宇宙を広めるきっかけにもなる可能性がありますね。

小林氏:
「晴天のデルタブイ」は、ロケットを打ち上げるところまでがシーズン1で、その後は宇宙に行く話になると思うので、何か漫画にできそうな話があったらぜひ教えていただきたいです。

辻岡氏:
宇宙旅行は、何年後くらいに実現するのでしょうか?

中島氏:
未知ですが、確実にそういう世界はやってくると思います。会社内でも「宇宙ってなんだろう」「よくわからない」と思う社員もいるので、「遠い世界ではない」「こういう仕事ができる」と、リテラシーを上げる取り組みをどんどんしていくことで、近づいてくると思います。

辻岡氏:
会場から山崎さんに質問が来ています。宇宙に行った際「これを持っていけば良かった」「これをやればよかった」と思うことはありますか、と届いていますが、いかがでしょうか?

山崎氏:
電子機器は安全をチェックした上で持っていきますが、手持ちの「GoPro」のような取り付けておけるカメラが欲しかったです。良い景色やシーンがあったときにカメラを持ってきて撮ろうとするとシャッターチャンスを逃してしまいます。常に撮っておけるものが欲しかったです。
90分で地球を一周してしまうので、特にズームで撮りたいときはパッと撮らないと間に合わないです。

辻岡氏:
面白い質問が来ています。「宇宙に興味がない、仕事への結びつきが想像できない、という人を仲間に入れたいとき、皆さんはどう口説いているのか、どう関心を持たせようとしてるのかを聞きたい」ということです。

小林氏:
「晴天のデルタブイ」を読んでいただければ全て解決すると思います。面白い漫画です。

見座田氏:
面白かったです。読むと宇宙に興味を持って自分もやりたいと思う人が増えるのではないかと思いました。

小林氏:
大学生が開発者を目指す話で、エンタメとして身近に見られる物語です。今は先行公開になっており、来年2月にLINEマンガとeBookJapanで配信が始まり一般の方も見られるようになります。

辻岡氏:
宇宙に興味がない方に今後宇宙旅行をプレゼンすることがあるかもしれませんが、苦労話などはありますか?

中島氏:
ロケット打上げを見ていただくことが一番です。私も元々興味がなく、宇宙をやりたいと思ったきっかけが、十数年前にJAXAの打ち上げに種子島で立ち会ったときでした。みんなに来ていただいて、見て、感じていただく。一生ものの感動体験だと思っているので、「宇宙ってすごい」と感じてもらえると思っています。

辻岡氏:
日本旅行さんは打上げを見るツアーはやっているのでしょうか?

中島氏:
一般向けのツアーも実施しています。一般の方に裾野を広げたいと取り組んでいます。まずは体感していただきたいという思いです。
意外に涙される方が多いんです。20回も参加したスタッフが毎回涙していたりします。昼の打ち上げも昼の良さがあり、夜はすごく綺麗な星空にロケットがいきなり明るく光ってそのまま星になっていくのが見えます。宇宙と繋がっていることが体感できるので、ぜひ日本旅行で来ていただければ嬉しいです。

辻岡氏:
宇宙に全く関心が無い方に対して、見座田さんはどう対応していますか?

見座田氏:
私は関心のあることと組み合わせて口説いていますね。ゲームや漫画、アニメと掛け合わせると、多分宇宙がちょっと身近になって少しでも興味が出るかと思います。

辻岡氏:
山崎さんは宇宙に関心がない方にどうアプローチされていますか?

山崎氏:
宇宙に行ったときに私達の故郷だなと、すごく懐かしい感じがしました。私達も元々は宇宙から生まれているので、故郷を訪ねるような、自分のルーツを探りに行くような気持ちです。宇宙を知ることは自分自身を知ることなのかなとすごく思います。

辻岡氏:
最後に皆様から一言ずつご挨拶いただければと思います。

見座田氏:
宇宙エンターテインメントがテーマだったのですが、Session2で堀江さんがエンタメを含めてまちづくりのお話をしていました。大樹町、帯広でも宇宙エンターテインメントを作っていきたいと思っております。興味のある方はぜひタイアップしていただきたいです。

中島氏:
私達はソフトコンテンツ、おもてなし、ホスピタリティ産業の会社です。その中でも宇宙を舞台に頑張っていけることを実現したいです。一緒に進めていける方々はお声掛けください。

小林氏:
「晴天のデルタブイ」は、現場の方々にたくさんインタビューして、嘘のない、リアルな宇宙漫画を作ろうと頑張っています。大樹町が舞台なので、ぜひ応援してほしいです。

山崎氏:
地域にスペースポートがあることは、すごく素敵なことです。そこを通じて宇宙と地上を繋ぎ、皆さんのアイデアで一緒にエンタメ、文化を作っていきましょう。

北海道宇宙サミット2022全編
https://www.youtube.com/watch?v=tlT_RPJ6AUQ&t=133s

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