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【イベントレポート】北海道宇宙サミット2022 ライトニングトーク 宇宙プレイヤーが最新情報をプレゼン!

北海道宇宙サミット2022では、宇宙事業に関わる5社が最新情報をプレゼンテーションしました。概要をご紹介します。

SPACE COTAN株式会社
代表取締役社長兼CEO 小田切義憲氏

SPACE COTANが運営する北海道スペースポート(HOSPO)には、既存施設としてインターステラテクノロジズ(IST)が高度100 kmの宇宙空間に到達するロケットの打ち上げに成功した「Launch Complex-0(LC-0)」と、全長1,000メートルの滑走路があります。

HOSPOは東と南に海が開かれていること、拡張性の高さ、十勝晴れと呼ばれる天候の良さ、周辺環境へのアクセスの良さで宇宙港の適地だと言われています。

現在はロケット発射場「Launch Complex-1(LC-1)」整備の準備が進んでおり、9月には着工式を行い本格的に土木工事がスタートしました。それに続いて、次の発射場である「Launch Complex-2(LC-2)」の整備も進めていくところです。

将来的にはポイントtoポイント(P2P)と言われる、宇宙を経由して人がA地点からB地点に行くという、航空機の代わりにロケットを使うビジネス、これがまもなくアメリカで始まります。

すぐに人を乗せられる段階ではないですが、貨物輸送はおそらく来年、再来年ぐらいに始まります。その後は人を乗せて、日本からニューヨークやロンドンまで約40分で行けるようになり、日帰り圏内になるという時代が遠くないうちにやって来るはずです。そうなったときに向けて滑走路が使えるように現有滑走路の近傍に3,000メートル級の滑走路を新設することも検討しています。

北海道は日本で一番広く、国土の約2割の面積を誇ります。敷地が広い分、当然そこには人がいます。そこで育っていく子どもたちが、宇宙産業が地元にあると感じ、勉強して宇宙に関連する仕事をやっていただけけるような時代が来るといいなと思います。

インターステラテクノロジズ株式会社
代表取締役社長 稲川貴大氏

ISTは今、従業員としてメンバーが100人まで増えてきています。現状は観測ロケット「MOMO」の生産継続と超小型衛星打上げ用ロケット「ZERO」の開発がかなり佳境に入ってきています。「ZERO」は2段式の液体ロケットで、部品点数がちょっと良い自動車くらいありながら、F1カーを作るような難しさがあり、技術的にはぐっと高くなるイメージです。

小型ロケットは世界中で注目されていて、アメリカでは先行して開発に成功した例もありますが、アメリカ以外ではまだ出てきていません。

小型ロケットがなぜ注目されているかという答えの一つは「自由性」です。ロケットは輸送業なので、大型ロケットは大きい荷物や複数の荷物を一度に一カ所に送ることができますが、機会が非常に限られています。

小型ロケットだと、小さい荷物を特定の場所に送ることができ、ある程度時期を指定できる自由度があります。お客様に合わせてオリジナルにカスタマイズできる、お客様専用で配達できるところに大きな強みがあります。

加えて、我々は上から下まで、全てを自社で完結させる垂直統合型の開発スタイルを採用しています。それによって低コストを実現し、手が届きやすいロケットを作ることができます。ロケットの部品も自社で設計、製造できるものは作っています。協力会社さんもたくさんいらっしゃいますが、自社のサプライチェーンの中で開発しています。

「ZERO」の開発は、今年の後半から来年にかけて非常に大きな試験があります。上手くいけばあと半年、一年ぐらいで打ち上げに関する大きな進捗を出せると思っておりますので、今後も引き続き注目いただきたいです。

開かれた宇宙開発ということで、秘密にせずにどんどん多くの方に入ってもらいながら開発したいなと思っておりますのでご支援ご協力をお願いいたします。

Our Stars株式会社
代表取締役社長 堀江貴文氏

ISTがロケットを作り、そのロケットで人工衛星を打ち上げますが、人工衛星でも非常に革新的な試みをやろうとしています。宇宙はインターネットと違ってインフラが非常に重要で、ロケットがそのインフラに当たります。

ロケットを打ち上げないと人工衛星は飛ばせないので、ロケットを所有している企業が最初に先行して人工衛星をバンバン打ち上げていく。スペースX社のスターリンクがそれを証明していて、もうすでに3000機以上の衛星が上がっています。そのようなことを、より革新的な技術でやろうというのがOur Starsの構想です。

3つ考えており、フォーメーションフライトによる衛星通信サービス、超低高度リモートセンシング衛星による地球観測サービス、そして無人のスペースラボを当面の事業の柱としたいと考えております。

フォーメーションフライトでは、巨大なアンテナを宇宙空間に作ります。今までの人工衛星と大きく違うのは、一つひとつがピンポン玉サイズのアンテナと電磁石が入ってるすごくシンプルなモジュールになっていて、これを箱にギュッと詰めて打ち上げ、宇宙空間で展開する点にあります。

軌道上でフォーメーションフライトをするために電磁石で自分たちの位置を調整して自律的に制御してアンテナの形にすることで、原理的に超巨大なアンテナを人間の細胞のように宇宙空間で展開することができます。

「ZERO」のような小型ロケットで打ち上げられるサイズなので、実現できると全地球で、地上局のアンテナが低出力でもブロードバンド通信ができます。

超低高度リモートセンシング衛星は、通常高度600キロから800キロの軌道に入れますが、これを100キロ台の超低高度の軌道に投入します。この高度で撮影をすると、民生用のレンズやカメラで、今の偵察衛星とか地球観測衛星と同じくらいの解像度で画像を取得することができます。

人工衛星自体が軽く安く作れるので大量に打ち上げることが可能になり、コンステレーションできるとなれば、時間分解能が上がる。つまり、ほぼリアルタイムで全地球を撮影でき、リアルタイムGoogleEarthみたいなことができる。

そうするともちろん安全保障にも使えますし、あらゆるオブジェクトがどのようにして地球を移動しているのかなどを観測できるようになります。例えばクジラ一頭にIDをつけて、クジラがどのように地球を動き回ってるのかとかといったことが分かるかもしれません。Our Starsの人工衛星は様々な用途が考えられますということで、プレゼンを終わらせていただきたいと思います。

室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター
内海政春氏

スペインやポルトガルがまだ見ぬ地を目指して探索していた大航海時代。今、我々は宇宙に向かってこの探索をやっていると思っていて、宇宙大航海時代と言われています。

昨年は宇宙に行った人数が、宇宙飛行士よりも民間人の方が初めて多くなりました。訓練された宇宙飛行士でなくても、誰でも宇宙に行く時代がいよいよ到来しました。

宇宙のフロンティアが拡大する中で、室蘭工業大学は3年前に「2019年ものづくりビジョン」という理念を作りました。その一つとして、北海道に宇宙基地を作るという内容があります。今まさにHOSPOがそれを体現しています。

室蘭工業大学は北海道の室蘭市にあり、ここから西に約300㎞ぐらい離れておりますが、高速道路を使うと3時間ぐらいで来ることができます。室蘭工業大学は白老町に大きな実験場を持っています。ここでロケットエンジンやジェットエンジンなどの実験ができます。北海道の大学だからこそ、地の利を生かして大規模な実験ができる点が我々の強みです。

最近はISTとロケット「ZERO」のエンジン用ターボポンプの共同研究・開発を進めておりますし、3年前から室蘭工業大学の中にISTのエンジニアが常駐して開発を進めています。大樹町とも包括連携協定を結んでおり、本学のサテライトオフィスを町内に開設させていただいています。

このように室蘭と十勝地方、大樹町の強い結びつきでロケット開発、スペースポート開発に貢献していきたいと思っております。

北海道の宇宙産業の振興、地域づくりに貢献するために最も大事なことは、やはり人材育成です。航空宇宙を勉強し、航空宇宙分野で働きたい人たちが活躍できる場を用意することがとても重要です。

北海道は成長産業である宇宙産業がどんどん拡大していますので、我々はそういった宇宙産業に関わる優秀な人材を送り出す。これが大学の一つの使命だと思っています。

サステナブルな発展と成長の最終形は“人“だと思っていますので、人材育成がキーポイントです。

アメリカのシリコンバレー構想で言いますと、もともとこの構想はスタンフォード大学から始まっています。大樹町にスペースポートができて宇宙版シリコンバレーを作り上げるとなると、人材を供給する仕組みがないとうまく回らないのではと考えており、やはりこういったアカデミックなサポートとしても、その辺を下支えできれば良いと思っています。

日本スペースロー研究会
弁護士 北村尚弘氏

宇宙×弁護士の日本スペースロー研究会を紹介させていただきます。
弁護士有志が立ち上げた宇宙ビジネスに特化した団体です。ビジネスが盛り上がるためには法律、政策を伴わないと成り立たないだろうという点で、事業者を法的政策的な側面からサポートすべく作った団体です。

宇宙ビジネスの法律がそもそも存在しないので、新しい法律の制定に向けて一緒に働きかけましょうとか、既存の法律を宇宙ビジネスに適用する際の不都合を解消していく検討をしています。

今、弁護士24名とJAXA 職員1名で成り立っており、各メンバーの専門分野は様々なので、それぞれが知見を持ちよって問題解決している状況です。研究テーマを簡単に説明しますと、「宇宙法入門」「サブオービタル飛行」「知的財産」「資源開発」「環境」「海外向け情報発信」「宇宙保険」などを各チームに分かれて事業者と勉強会を行っています。

北海道宇宙サミット2022全編
https://www.youtube.com/watch?v=tlT_RPJ6AUQ&t=133s

HOSPO整備へふるさと納税募集中

大樹町、SPACE COTAN株式会社は、HOSPO施設の拡充のため企業版ふるさと納税や、個人版ふるさと納税を募集しております。
「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョンに共感いただける皆様のご協力をお待ちしております!

〈ふるさと納税詳細〉https://www.town.taiki.hokkaido.jp/soshiki/kikaku/uchu/hokkaidospaceport.html
〈ガバメントクラウドファンディング〉
https://camp-fire.jp/projects/view/637366?list=search_result_projects_popular

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