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rumirin
[短編]星空への誘い①
ここはどこなんだろう?私は辺りを見回した。
茶色い土の地面に、七色の光があちこちに浮いている。
宇宙のようでいて、そうではない、そんな異質な空間だった。
「ようこそ、星空の世界へ」
声のした方を見ると、黒縁眼鏡をかけた三十代ぐらいの男性が立っていた。
「星空の世界……?」
私は首をかしげる。
「ええ。ここは宇宙でも地球でもない、どこの世界にも属さない狭間なのです」
「あの光は何ですか?」
私が七色の光を指さすと、男性は目を細めて光の方を見た。
「あれはあなたの記憶の欠片ですよ」
記憶、と聞いて私はふと自分が自分自身について何も思い出せないことに気づく。記憶を取り戻せば、ここにいる理由も分かるのだろうか。
「私は、どうやったら自分の記憶を取り戻せますか?」
すると、男性は困ったように眉を下げて言った。
「私はおすすめしませんけどね……。あなたが全てを思い出すのを」
「それは……何故ですか?」
何か悪いことでも起こるのだろうか?それに、何故この人は私の記憶について知っているのか。
「あの七つの光はね……あなたが繰り返した転生の全てなんですよ。急に七つの一生をその身に受けたら、あなたはどうなってしまうんでしょうね……」
男性は私を脅したいとかではなく、ただ純粋に心配しているようだった。
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