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【詩】地図

はじめは一本道だった
でも、私の歩みでは辿り着けない場所だと思った
立ち止まって
手当たり次第に見つけたニ、三の分岐を進む
どれも楽しそうな道に見えたが
どれも先々で途切れていた
ふと脇道に目をやる
勾配のある山道で
今度こそはと飛び込んだ
刺さるような険しい足場や
息の詰まる湿った空気
鬱陶しく空を覆う木々が囲み
今はその隙間から見える天体だけが私の目印

地図は

思い出したようにポケットから取り出した紙切れを広げる
そこには無数の目的地と
アミダくじのような先の見えない選択肢と
果てしなく間延びした道程と
視線を戻せば暗がりから目を凝らす獣たち
いつからだろう
単純に見えた一本道が
出鱈目に書き加えられた線によって
どこに向かえばいいのかわからない

地図は

役に立たないと丸めてポケットに戻した
これは理想を空想した絵空事
地図を模したラクガキで
私の歩む道の先を知るものなど誰もいない
道を閉ざしたのは私
道を開くのも私
不安や迷いが遠回りさせても
ここから目指せる場所はある


地図は


まだない


地図は


私の轍

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