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海外転職に語学は必要ない、とは言うものの

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中検4級は海外転職に有利かどうか、という質問をいただきました。ご質問、ありがとうございます!今回も全力でお答えさせていただきますね。

海外転職=語学

と考える人はまだまだたくさんいるようです。しかし実際に、3カ国で5社転職した私は決して語学堪能ではありません。
中国に転職するときの電話面接でも、私は「中国語はニイハオとシェイシェイしかわかりません。その他は現地で勉強するつもりです」と正直に話しました。

その結果「学習意欲が素晴らしい!」と電話の向こうで拍手喝采でした。ホントに大丈夫なのかな、とかえって不安になりましたが、翌日には採用通知を受け取り、就労ビザの手続きに入りました。

(しかしこの後、私は落とし穴にハマることになります。以前の記事で書いたのですが、面接や仕事で語学スキルを求められなくても、生活全般には語学スキルが必須だったという実体験です。詳しくは以下の記事をご参照ください。)

日本人は語学スキルについて考えるとき、資格試験の有無でとらえることが多い印象です。なぜならそれは、可視化できるデータだから。
逆に、資格試験以外での語学スキルのアピールは全然伝わらない。

例えば私の場合、シンガポールで3年半働いてました、と面接で言っても「ふーん」と反応はイマイチ。ところが、TOEIC850ですって言うと「おお!」ってなるんですね。だいたい毎回このパターンなんだけど、ちょっと寂しい気もするのが本音です。
TOEICよりシンガポールで働く方が難易度高いと思っているのは私だけで、少なくとも面接では伝わらないってことの証明なので。

さらに切実だったのが、初めて日本で転職しようとしたハーフの友人のパターン。
日本語も英語も中国語も話す、シンガポールで生まれて育った友人が笑顔で放った衝撃の一言。
「いやあ、ハーフですって面接で言っても全然ダメだから、TOEIC受けることにしたよ」

なんとまあ。ネイティブにも可視化できる証明を求めないとジャッジできない日本企業って。いつも穏やかでニコニコしている友人の代わりに私は激怒しました。「まあしょうがないよね、ここは日本だもん」友人は私よりよっぽど日本に造詣が深い。むむ。
ちなみにその友人はとても優秀なので、TOEICを受ける前にサクッと内定しておりました。

これが日本における語学スキル可視化でアピールしないといけない現状です。そのため、転職を考える人が「まず資格検定を受けなきゃ」という発想になるのは、当然の流れだと思います。

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それでは続いて、日本以外だとどうなるんでしょうか。こちらもまた実体験をもとに振り返ってみたいと思います。
海外転職での面接で、日本人として日本語ネイティブスピーカーであることを熱心にアピールすることはもちろん、なにもかも未経験でそれでも面接を通過して内定を勝ち取りたかった私は「ビジネス日本語も完璧です」みたいなことまで言ってました。つまりこれは敬語のことです。日本でのアルバイトや就業経験があれば、ほぼみんな毎日使っている丁寧な話し言葉です。

これがまた、効果絶大だったんですよね、当時は。日本人と日本語、そして日本式の接客スキルは世界でも最高水準で素晴らしいものだと広く認知されているため、「日本での接客経験とビジネス日本語ができたら十分だね」と面接で高評価をもらいました。
日本語ネイティブであることも、ビジネス日本語(敬語)についても、資格や証明は何も必要ありませんでした。ただ、謙虚にへりくだらずに、アピールしている間は堂々としていることだけは、面接中に気をつけていました。

というわけで、海外転職においては、日本人であることそれだけで強力なカードを1枚手にしていると考えてみてください。
日本人で日本語ネイティブであること以上の語学スキルを日本で身につけるのは難しいし、資格検定はあくまで習熟度確認みたいな役割です。
自分の語学スキルが今どのあたりに達しているんだろうか、という確認作業のために、中検受験という機会を活用することを個人的にはおすすめしたいです。

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海外転職や海外移住において、語学スキルはもちろんあるに越したことはありませんが、それ以外にも重要なものがたくさんあります。
実務経験や専門性、異文化の中でひとりの外国人として周りと上手くやっていけるかどうか。自分のスキルや特技のたな卸し、みたいなものをやってみて、自分が持っている能力や個性をどのように効果的にアピールできるか、この部分を集中的に考えてみてください。

未経験からの海外転職は不安と波乱だらけですが、乗り越えた分だけ新たな発見や楽しみに出会えます。
質問者さんのこと、応援しています!


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