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ASDは「認知の世界」を生きている②高機能自閉症と知的な遅れを伴う自閉症の違い

すごく忙しくしていて、続きの記事が遅くなってしまいました。
気が付くと、うちのASD疑惑息子も3歳2カ月に。

頭に残る音を言葉に出すことが増えました。
もちろんコミュニケーションではなくエコラリアがほとんどですが、こちらが言ったことをその場で返す「オウム返し」的な感じではなく、わたしたちが頭に歌が残ったりするとつい口ずさんじゃうのと同じレベルで歌ったり言葉を話すことが多い気がします。

エコラリアもすごくなるとアニメのセリフをそのままずーーっと口にしたりするらしい。いっくんはそこまで強烈なエコラリアではなく、目にしたものにつなげて何かをうたうことも多いです。
鳥の声を聞いたら「ピピピピピ、チチチチチ♪」と歌ったり、カエルの声が聞こえたら、「ぐわ、ぐわ、ぐわ、ぐわ、ケケケケケケケケ…」となどしてますから、認知につなげて音を出している段階なので、ここから言葉としても発達していきそうだなぁと楽しみにしています。

さて、前回の続きです。

以下、引用は上記の本より。

高機能自閉症(アスペルガー症候群)の体験世界


・探索活動を推し進める脚力(知的ポテンシャリティ)が相応にあるため認識を発達させていく。ただし、コミュニケーションによるものではなく、ほとんど自分の脚だけで歩むところに特徴がある。

・自分の関心さえ向けば「ひと」の行動にも観察の目を向け、そこから間接的に学習する探索力(知力)は持っている。そこが知的な遅れを伴う自閉症との大きな違いである。

・高機能のASD児は言葉は発達するが言語発達の道筋がコミュニケーションではなく外国語学習のような形でなされる。もっぱら一方的に観察しながら頭で言葉を覚える。 同じ理由で発音は正確だがイントネーションに乏しい硬くてモノトーンなしゃべり方が特徴的に見られる。

いっくんに関しては、硬いロボットみたいな喋り方になりそうもない、すごく可愛い、高めの音で歌うような喋り方です。今のところは(笑)
いつかどこかでロボットになってしまうのだろうか(笑)

ちなみに将棋の名人たちはASD的な人が多い印象がありますが、インタビューの話し方とかまさにそんな感じがします。記憶力や集中力の高さという特性を生かすことができますし。
それでももちろん名人レベルは超高知能群ですね。

言葉の習得に伴って、認識的な世界にも足を踏み入れることができる。混乱性の世界からは脱することができるので、同一性保持への極端なこだわり、常同行動、自己刺激行動が少ない。

高機能群はここで、愛着形成がしっかりとできていると、人を信頼して好きになることができ、感覚やコミュニケーションにおいて共有することができるようになるため、感覚の過敏性も薄くなるそうです。

いっくんはこだわりとか常同行動や自己刺激行動は少ないし、たくさん甘えてくれるので、あ、そうそう、と思いましたしとても安心しました(*^^*)

あとは一般的な定義や他人と感覚を共有した形で言葉を習得しない、というところは、うちの夫に対してもずっと違和感で持っていました。彼なりの言語感覚で言葉を定義して話すことがあり、そこを共有できないので良く誤解が生じます。

「ふつうはそういう言い方しないよ」とわたしが言っても、「は?」みたいな反応をします(笑)

形容詞などの概念的な表現だと余計ですよね。でも言葉ってそれくらい曖昧なものです。

知的な遅れを伴うASDの場合


まず、自閉症に関わらず知的な遅れがある場合の子どもたちは、
・発達全般に遅れがある傾向(歩きだすのが遅いなど)
・身体的な機能に遅れがあり、不器用

などがあるようです。

そのうえで自閉症(関係の発達水準が低い)の特性がある場合は、
・模倣ができない。人に関心がない。
というのが高機能者との違いとして大きいようです。
そのため愛着の形成も難しい。皮膚への感覚過敏が大きいとさらに大変なのではと思います。

そして、最も大きな違いが
「怖れが強い」ことです。
知的な認知に遅れがあると、感覚世界が強烈過ぎて、とにかく「怖い」そうです。
そのため、パニックなどもおこるし、気持ちを落ち着けるために常同行動をしたり、自傷行為をしたりということが起こります。
そして、変化は怖れに繋がるので、変化でパニック、ということになり、変化への適応ができない。

いっくんは踊りなどは1歳代からやったり、人のすることにも関心を持ってジーっと見て、真似をしていました。
そして、愛着と怖れも大丈夫です。
新しい場所も人も怖がらないし、物の並び順とかまではこだわらないし、何をするかを事前に知らせなくても大丈夫。
そして、パニックはほとんどないし、切り替えもできます。

ここが、個人的には安心できたところです。


自閉症を伴わない精神遅延の場合

補足的に、ダウン症とか、知的な遅れのみの子の場合はどうなるかというと、この恐怖感が自閉症の子よりも弱いので、わりと育てやすい、ずっと赤ちゃんみたい、とか、純粋な感じ、という感じの子が多いようです。

コミュニケーションも、話は出来ないけど、言っていることは伝わるし、こちらも何をいおうとしているかがわかる、と。


犬はなぜ「犬」なのか

話を高機能自閉症に戻します。
テンプルグランディンさんは『自閉症の脳を読み解く』の中で、自己の言語感覚についていろいろ言ってます。

例えば、言葉を常に映像に切り替えてから認識している。とか。
犬って聞いたらいろんな犬の映像を頭に浮かべてからようやく犬と理解する、みたいな感じですね。

グランディンは自身のその認知特性を「Thinking in picture」と言っています。

英語を聞いた後に日本語に切り替えて理解しているようなものなので、これは不便です(笑)でもそれに関連して、写真記憶を持っていたり、サヴァン的な力を持っていることもよくあるそうです。

グランディン氏は書籍の中で自身のMRI画像を見せてくれましたが、目から前頭葉に繋がる神経が普通じゃない数と太さでした(笑)
彼女は俯瞰的な視野も持っていて、その場所を歩くだけで正確な図面が書けます。きっと世界的な建築家の多くはこれ持ってるのかも?なんて思ってしまいましたよ。ガウディとか。

グランディンは更に、犬に関して面白いことを言っていました。
彼女は犬にはいろんな犬種がいて、大きいのから小さいのまでいるし色も形も全然違う。犬に共通の要素はあるのだろうか、という疑問を持って、数千種類の犬の写真を見比べたそうです。そして気が付いた!「鼻の形が同じだ!」と(笑)

わたしたちは「ワンワン」と鳴けばみんな犬と思っているし、あまり細かい概念上のルールを気にしたことなんてなくて、気が付いたら経験から概念を学ぶわけですが、自閉症の人はそうやって論理的に理解しようとするんですね。

これは大変だ(笑)でも、その視点がいろいろな発見に繋がったり、世の中にないものを生みだしたりする力になるんでしょうね。

ASDの視覚優位性や感覚世界は本当に面白いです

この前もいっくんを川に連れていったら、岩間の水面に顔を近づけて、ずーーーっと見ている。
わたしの予想ではきっと、水面の揺らぎとか陰影とか光とか、水面に浮かぶ模様が変わっていく様とかを見ているんだろうなと。面白いんだろうなぁーって思って見守っておりました。

いっくんが話せるようになったら、どんなふうに感じているのか、聞いてみたいものです。


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