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教壇に立ち続ける 86 「入試問題で複数テクスト読解」の実践報告【note限定記事】

負け犬の遠吠えはまだ続く。たとえアンコールは必要なくても。どうも星野です。10月の定期更新日は水・土。今日は連続投稿日、ひとつめのお題は「実践報告」です。いつもおおざっぱなまとめしかしていないので、自分の実践をお伝えしていこうと思います。この記事を読んで、参考になったなーとか、いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。在庫しかありません。全国一律送料無料、即日発送可。

最初にことわっておきますが、私は私立高校の非常勤講師で、ろくすっぽ研修などを受けたことがありません。教師の裁量でわりと融通の利く私学ならではの実践であり、また改善点の多いプロトタイプであることをご承知おきください。

私の授業がやたらめったら速いので、つなぎの単元を入れることになりました。定時の高3と全日の高1は「入試問題を使って読解力を上げる」というテーマで実践をしています。
定時の3年は去年も私が教えていたので、ものごとを批評的に考える素地ができているように感じます。生徒間の能力のばらつきが大きいのも特徴です。やる気をどう喚起していくかが大きな課題になっています。また、答え方や問題の読み方などの基本的な読解テクニックは未定着です。そのための補助的活動として、リフレクションシートによる記述練習も今年度から本格的に導入し、短くまとめる表現力を磨いている途中です。(あまり話すことをしたがらないので、書くことで自己表現できるようになってもらうという方針です)
全日の高1は今ゆるみが見え始めているところで、授業中におしゃべりをしたり、居眠りをしたりと学校生活に慣れてきたがゆえの弊害が目立ちます。いかに集中させるかが私の中での課題です。こちらも読解力を鍛えるのが目標ですが、高3のように受験を目の前にしていないので、危機感は薄めです。それでも興味を持ったことは頑張って学び取ろうとする前向きさがあります。

定時の高3は「理系(科学分野)と文系(歴史学)の共通点を探す」というテーマで、東京大学の入試問題「歴史を哲学する」に挑戦しています。入試問題であることは伏せているので、あまり抵抗感なく受け入れてくれた印象はあります。生徒が自分の頭の中で「話題を命題化する」「情報を繋げる」能力を伸ばしていくこと、そして教科書教材やこの入試問題を組み合わせて読んで「批評する」ことが最終的なゴールです。
まずは通読しながらテーマ・構成・キーワードを探しました。生徒の解答がばらばらにならなかったのは、1学期で扱った京都大学の入試問題の読解で訓練した成果だと信じたい。構成も前単元と似ているね、という話をして、例示の多さに気付けた生徒もいました。内容も前単元に関連しているものであると気づき、リフレクションにそのことを書いた生徒もいました。複数テクストを読解し、関連付ける練習はできているようでした。
次の時間では、辞書の引き方や図書館の利用の仕方、レファレンスサービスについて説明し、実際に辞書でことばを調べる活動を行いました。反省として、レファレンスサービスを扱うなら実習形式にして、実際に図書館を利用させるのがいちばんよかったということが挙げられます。辞書を引くのは慣れていますが、図書館をほとんど利用しない生徒たちなので、ピンと来なかった様子だったことが悔やまれます。(といっても、定時の後者には図書室が無く、全日の図書室も死蔵状態にあるので、どのみち実習形式は無理な実践ではあったのですが、それでもやるなら図書室に連れていくべきだったと思っています)
その後は内容読解に入りながら、要約の活動、あるいは筆者の意見に対して自分の意見を述べていく活動をリフレクションで行い、「読解力養成」と「批評的思考力の涵養」を目指しています。

同じような流れで、経済学に関する話題の入試問題を使った授業を高1にも受けてもらったのですが、今まで堅い文章に触れてこなかったぶんハードルが高かったのかもしれないと反省しています。生徒の学力はそれなりに高く、また意欲もあるのですが、要求するものが大きすぎたところはあります。板書はわかりやすさを重視していますが、どれが重要なのかわかりづらい(全部大事に見える)板書を書きがちなので、そこも改善すべきポイントです。それでもこの評論に興味を持ってくれた生徒もいて、少し救われた気分でした。

この授業実践では、板書の中に空欄を設けて、生徒のレベルに合わせてヒントを出しながらそれを埋める活動もしています。それによって生徒は自分の意見を書くわけですが、そのメリットとして①話題を「じぶんごと」にする、②教材に対する理解が深まる、という2点があると思っています。ただ、「教師(=私)が黒板に書いたことが正解」だと思う傾向が強いので、自分の感じたことや考えたことを大事にしてほしいと伝えるようにしています。

この実践はまだ途中なので、最終的にどうなるかは未知数です。最後に感想も聞いてみるつもりなので、それも踏まえての反省を今後行います。
それでは、また。

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