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Knight and Mist六章-7 旅と野宿

「とにかく、スループレイナの王都に来てもらうから!」

アザナルの言葉で目が覚め、ハルカは周囲を見渡した。

イーディスも異論はないらしく、ハルカとイーディスはアザナルとキアラについて王都に赴くこととなった。

その晩は山小屋で休み、翌朝出発。

三日ほどの道のりということだ。

翌日起きると、霜がおりたようでハルカはブルっと震えた。

外は銀世界で、相変わらず足元は最悪だった。昨日溶けた雪が凍っている場所もあり、滑りそうになるのをこらえながらの行程となった。

一日中歩き通してようやく大通りに出ることができた。

よほど辺鄙な場所にとばされたらしい。

「今日はここらで野宿ね」

アザナルの言葉でおのおのが野宿の準備をする。マントを敷き、その上に寝るようだ。

ハルカはマントを持っていなかったので、イーディスから借りる。

「ったく、世話の焼けるやつだな。ほらよ」

イーディスは持っていた干し肉をハルカと分けて食べた。

ハルカは一口噛んで眉根を寄せた。

「なんだぁ!? 文句でもあんのかよ?」

「……かひゃい」

それはコチンコチンに乾燥させたビーフジャーキーのようなもので、とても塩辛い。味などは分からない。とにかく腐らないことを優先させた食べ物だ。現代人の顎では歯が立たない。

「アザナルたちは何をしてるの?」

「火でも起こすんじゃねーか?」

テキパキと動くアザナルたちはちゃっちゃと石ころを集めて簡易的な焚火スペースをつくり、キアラが薪を並べ、アザナルが呪文で火をつけた。

見事な連携プレーだ。この様子から、二人がともに旅をして野宿に慣れているのがわかった。

アザナルは小ぶりの鍋のようなものを取り出すと、

「イーディスとあたしは水汲み、キアラとハルカは山菜やなんかを調達してきて」

それぞれに指示し、一度散開した。

キアラと山菜を探しに森に入ってのこと。

「いやー、気まずくてかなわねえや」

キアラが沈黙に耐えかねるように言った。

「お嬢ちゃん、大丈夫か? さっきからずっと足元を気にしているが」

ハルカはうなずいて、足元を指さした。

「歩き慣れてないブーツなの」

「そりゃ西の平原を歩くのと、北の山岳地帯を歩くんじゃ無理だろ。まあ、もう街道に出たからあとは早いからな」

そう言ってニコッとする。キアラは友好的にいこうとしているらしい。

「アザナルとイーディスは仲良くやってるかな」

ハルカがつぶやくと、キアラは肩をすくめた。

「さすがに《焔の騎士》も魔導士相手に無茶はしないだろ。ここで争っても無意味だしな」

「そうねえ……」

そして争いごともなく、水を汲んできたアザナルと食べられそうなものを持って帰ったキアラとハルカたちは、シチューのようなものを作り食べた。

(なんだかキャンプみたいで楽しいな、誰も喋らないけど)

それからハルカは少し顔でも洗っておこうと水を汲んできた場所を聞いてそちらへ向かった。

するとーーーー

「わわっ!! ご、ごめんなさい!」

「なんだっ!?」

甲冑を脱いで湖で水浴びをしているイーディスがそこにいたのだった。

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