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天気のこと。季節のこと。

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その瞬間にだけある色、音、匂い。 うつろう風景。
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2023年3月の記事一覧

何もないところ。

何もないところ。

足元を見ると、つくしがにょきにょき、スギナに囲まれ揺れていた。
昔は春になると、どこの空き地にも採りつくせないほどのつくしが伸びていたっけ。

食べられる野草摘みというのは、味にかかわらず、宝探しのようだった。
ビニール袋いっぱいのつくしを抱えて家路につく。
すべてのはかまを取り終える頃、爪先は黒く染まり、つくしの山はずいぶんこじんまりして見えた。
母の手によって、さらにぺしゃっとほんのひと握りの

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春の手触り。

春の手触り。

ここ数日、堰をきったように草花が手を伸ばしはじめた。
実家の庭先にあるカシワバアジサイも、この季節になるとささやかな愉しみをくれる。

今日立ち寄ってみると、しなる枝先に例のモフっとした新芽が現れていた。
触りたい衝動に駆られ、ついつい毎年こっそり指先でなぞってしまう。
犬猫のああいった毛量感とはまた違う、なんともひかえめな毛並み。
新芽の若々しい黄緑に、霜が降りたようなやわらかい色彩。

色鮮や

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雨が好きなとき。

雨が好きなとき。

春の雨はゆっくり落ちる。
なんとなく、そんな気がする。

ときどき、まばらに、大きな雨粒のぽと、という音が混じる。

それで今なぜか、中学生の頃、部屋から見ていた雨の庭を思い出した。
着ていたのは母のお下がりのワンピース。
グリーンのタータンチェックで、ペコペコとしたサッカー生地。
袖には細いフリルが付いていた。
半袖だったから6月か7月かもしれない。
とても、心地いい雨の日だったことを覚えている

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