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#毎週ショートショートnote

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これまでの物語の中で、たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」企画への参加したものをまとめています。410文字の文字制限付き。
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記事一覧

ツノがある東館|ショートショート

私たちを部屋に案内する女将の頭には、どう見てもツノが生えていた。それも、鬼のように髪の毛…

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告白水平線|ショートショート

「ねぇ、恋って水に溶けると思う?」 僕の質問は、ラムネのビー玉が沈む音にかき消された。瓶…

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半笑いのポッキーゲーム|ショートショート

「見て、これ」 目の前にスマホの画面が突きつけられる。 「近い、近い」 2匹の犬がジャーキ…

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デジタル混入島|ショートショート

「あ、ここも鳥いました!」 バードウォッチャーが目を凝らしているのは、大自然ではなくモニ…

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アナログ巌流島|ショートショート

「右手に見えるのが巌流島です」 僕は座っていた椅子から半ば身を乗り出すようにして、体を捻…

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伝書鳩パーティー|ショートショート

クックルー。鳩がひとつの民家の屋根に集まっている。みんな足にはカラフルな環。伝書鳩である…

心お弁当|ショートショート

その日は、雨が降っていた。 夜も遅く、コンビニ弁当でもと思ったところに、見慣れないお弁当屋さんの灯りが見えた。 傘の雫をバサバサと落とし、お店に入る。大人が3人も入ればぎゅうぎゅうになるような小さなお店だった。 「いらっしゃいませ。今日はどんな御気分で?」 並べられた黒い箱のお弁当を覗き込んで驚いた。 「雨でぐしょ濡れ嫌な気分」 「残業終わってほっとした気分」 「恵みの雨で嬉しい気分」 「ナイターの結果にワクワク気分」 無機質なプラスチックの蓋に覆われていて、肝心の中身は

グリム童話ATM|ショートショート

「だからさぁ、俺の若い頃はね、大変だったのよお」 酔いが回ってきて、ついつい語尾が伸びて…

オノマトペピアノ|ショートショート

先ほどから、ピアノの音が変だ。 調律師め、仕事をサボりやがったな。 いや、何かが違う。 指…

ヘルプ商店街|ショートショート

「ヘルプ、一丁いかがぁですかぁ〜」 店先の店主の大声に、思わず振り返る。 今さら人の助け…

名探偵ボディビルディング|ショートショート

「ふぅ、肩凝ったな」 ふと、先日会社のそばでマッサージ店を見つけたのを思い出した。たしか…

噛ませ犬ごはん|ショートショート

レストランの入り口ドアのベルが鳴った。 「すみません、もう閉店の時間で……」 入り口に立つ…

隊長職変死の椅子|ショートショート

私たちは、特殊部隊「狙撃隊」の隊長だった。私たちは、国家のために危険な任務を遂行してきた…

大増殖天使のキス|ショートショート

「うわ、耳鳴りがする」 「わ、なんか私もー」 「それって天使が近くを通ってる合図じゃなかった?」 コンビニの前で、買ったばかりのお菓子やアイスを食べながらおしゃべりするのが放課後の私たちの日課だった。今日はナツミとリサが二つに割るタイプのアイスを買っていたので、私は棒アイスをかじっていた。 「違うよ、天使と目が合ったら耳鳴りが治るんじゃなかった?」 「私は天使がキスしたら耳鳴りが始まるって聞いたけど」 「じゃあ、天使のキスで耳鳴りが始まって、目が合ったら終わるんじゃない?