スノウの現実逃避

雪の日がでえきれえなんだ。昔っから。
あれは五歳のときだった。

僕は白い白い雪をみて興奮してひとり外にでた。まだ朝だったから、庭の雪はまっさらで、足跡もなにもなく、綺麗だった。
あまりにきれいだったから壊してやりたくなって、雪をぐしゃーて掴んだんだ。
そしたら僕はびっくり仰天した。
そのとき初めて、雪の結晶が見えてしまったんだ。あの形がはっきりと。
雪はほんとうにああいうへんな形のものが
集まっているんだと思うとぞっとした。

僕は沢山の雪の集まりがただの白い景色であると知っていたはずなのに、この結晶をみてしまってからはもう雪を触ることすらできなくなってしまった。ましてや食うことなんか。
かき氷だって食えねえ始末さ。
おれは潔癖症みたいだ。

この前スノーマンという絵本を初めてみて驚いた。男の子があの結晶の塊に眼鏡だの、ズボンだの、オレンジだのをくっつけたいきものと平気ではなしたり、ましてや一緒に空を飛ぶんだ。考えられないよ。
僕はもしもそんないきものがいたら、ストーブをもってきて、溶かしてしまうとおもう。
ひどいかもしれないけど、本当にだめみたいなんだ。

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