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【馬との会話】静かでいること

静かでいるということは、「心はあるけど無言でいる」ということ。

タロウさんとルーカスが葉山ハーモニーガーデンに来た最初の約1ヶ月。
こちらの思いや指示が全く伝わらず、思い通りになることがなく、本当に辛い、自己嫌悪の日々を過ごしました。

子どもと会話をするとき、私の多々ある欠点の中でも、最大の欠点は、「話を最後まで聞かない。」
途中からいつの間にか「子どもの話を聞く」から「子供に話をする」に替わっています。

子どもがガマンしているときはいいのですが、子どもが我慢できずに、私の話をさえぎってくると、イラつきます。(そもそも私の方から先に子どもをイライラさせているのにです。)

でも、いつでも「心」にあるのは「子供に何か助言をしてあげたい。」とか「子どものために」というのがいつわらざる気持ちです。

タロウさんとルーカスとのやりとりでもよくありました。
飼いをつける(給餌)、蹄の裏の手入れ、雨の日の馬房掃除、ブラッシング、乗馬・・・。
この2頭のためと思っていろいろと働いているつもりですが、
それが全く伝わらず。

前掻き(まえがき)する、馬房の扉を蹴る、露骨に尻を向ける、逃げる、噛みつく、白目をむく・・・。
ありとあらゆる動作で不満と拒絶をぶちまけてきます。
時間だけがすぎて、仕事が進まないし、いつもイライラしていました。

あるとき、そんな状況に疲れ、ふかぁぁく、
あきらめのため息を吐いたことがありました。

すると!バタバタしていたウマたちが静かになるのです。
とても不思議でした。

ヒトの呼吸がウマの心理に与える影響について、このときはまだ理解不足でしてたが、とりあえずヒトが深呼吸するとウマは落ち着く。
これは経験から学びました。

息を吸うとき私は静か…
息を吐くとき私は微笑む…

禅僧ティクナットハン師の詩です。

話が長くなりすみません。

ある日、葉山ハーモニーガーデン「馬の学校」の生徒さんたち(小学生)に、「いつも深呼吸、静かな呼吸って言ってるけど、”深呼吸”って、何か他の言い方ないかなぁ。」と、半分独り言のような宿題を出しましたら、何日か経って、出ました! 小6男子から!

「心呼吸」「信呼吸」

これ、いいね! そうだね。その通りだね。!

「心」はあるけど、敢えて言葉にせずに、「心で呼吸する」
「結果を求める」のではなく、「信じて呼吸する」

喋りながら呼吸することはちょっと難しいけど、
「心」を維持しながら静かに呼吸することはできる。

馬に指示が通らないことの一番の原因は、おそらく、
人が「しゃべり過ぎている」ことと、「馬を見ずに一人で空回りしている」こと。それは言葉ではなく、思考と動作で。
要は頭も体もワチャワチャとせわしなく、無意味な動作が多いこと。

すなわち、
馬の立場から見れば、馬が一生懸命、ボディランゲージで伝えているのに、人の側に意味のない動作、無駄な動作が多い。
馬にしてみれば、話を聞いてもらっているのではなく、わけのわからない人の話を聞かされている状態。
人の立場から見れば、心が先走ってしまい、動作に一貫性がないから、心と体が一致したボディランゲージになっておらず、馬を混乱させる。

こんな時、小6男子が言った「心呼吸」と「信呼吸」。
「心」はあるけど言葉(馬語)にしない、つまり、動かない。
あるのは「呼吸」だけ。
結果を「求める」のではなく、それを「信じて」、言葉(馬語)にしない。つまり、動かない。あるのは呼吸だけ。

「心」はあるけど喋らない(無言)、すなわち「動かない」ひと時。
ただともに「在る」ひと時を、静かに呼吸しながら過ごしてみる。

取り敢えず動かない(馬語で喋らない)。呼吸のみ。
1分でも、3分でも5分でも。

すると、馬が寄ってくる…。今度は私が、ほんの少しボディランゲージで動いただけで… 伝わる! 伝わっている! 分かるわかる!タロウとルーカスが言っていることが!
やっぱりウマだって、最後まで話を聞いて欲しいんだ。

よく考えてみれば、当たり前のことですよね。

馬に訊いてみよう!目次はこちら。

ウマとの会話-2


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