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劣勢に立たされたとき、一か八かの一発逆転ホームランを狙ってはいけない。(ジム・コリンズ『ビジョナリーカンパニー3〜衰退の五段階〜』を読んで)

ビジネス書としてロングセラーになっているビジョナリーカンパニーのシリーズ。1、2がとりわけ人気だが、僕は、ときどき3を読んで自らを戒めている。

衰退の五段階は、

1. 成功から生まれる傲慢
2. 規律なき拡大路線
3. リスクと問題の否認
4. 一発逆転策の追及
5. 屈服と凡庸な企業への転落か消滅

というフェーズに分かれている。

すごく俗な言い方をすると、

売上や利益が出てオラオラになり → 成功体験にあぐらをかいて何でも手をつけ出すが → 嫌な情報もチラチラ聞こえるが都合の良い情報だけを収集するようになって → 結構業績がヤバい状態なので一発逆転の策を狙い → やはり失敗して会社が潰れる

という感じ。

会社だけでなく、行政や個人のキャリアにも同じことが言えるかもしれない。僕はそもそも1や2のフェーズを体験できるほどの成功体験を経ていないが、周囲を見渡すと、そういった人も散見されるのは事実だ。

*

『ビジョナリーカンパニー3〜衰退の五段階〜』が優れた本であるのは、終盤の一節である。

ゼロックス、ニューコア、IBM、テキサス・インスツルメンツ、ピットニー・ボウズ、ノードストローム、ディズニー、ボーイング、HP、メルク。これらの企業に共通している点は何か。どの会社も過去のどこかの時点で少なくとも一度は深刻な後退に陥り、回復している点である。(中略)だがどの場合にも衰退の動きを打ち破る指導者があらわれ、屈服を拒否し、絶望的だと思える状況で単に生き残るだけでなく、いずれ勝利するとの考えを掲げている。(中略)これらの指導者は衰退を機会として利用している。
(ジム・コリンズ『ビジョナリーカンパニー3〜衰退の五段階〜』P194より引用、太字は私)

誤解を招かないように補足するが、どの会社も意味もなくこだわり続けて、サンクコストを支払い続けているというわけではない。どこかの国のリーダーのように、「これをやったら支持率が上向く」といって大逆転を狙うということでもない。

自分たちのコアや価値観を正確に理解し(というか、指導者そのものが価値観を体現する存在だったりしていた)、それを愚直に続けてきたということだ。

彼らの生き様は、相当にタフだ。

大変なとき、逆境に立たされたときにこの本を読み、強く自戒した上で、やるべきことをやり遂げる決意を持つ。そんな勇気を与えてくれる一冊だ。

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