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「あいうえお」の本をつくる。

いつか、どこかのタイミングで「あいうえお」の本を作りたい。

言葉が生きているような、そして子どもがクスッと(あるいはゲラゲラと)笑ってくれるような本を。

そんな思いを抱いたのは、五味太郎さんの『ことばのあいうえお』という本に出会ったから。

2歳の次男が、絵本を読みながら楽しそうに笑っている。五味太郎さんの味のあるイラストとともに、「あっ!」「いたいっ!」「うまいうまい」「えいっ!」「おやっ?」などの短い言葉が並ぶ。いまほど喋ることができない頃から「ふふふふふ」と一緒に声を発したりしていた。

たぶん、次男はいつか忘れてしまうだろう。僕と一緒に『ことばのあいうえお』を読んだことを。僕だって、こうして書き残してはいるけれど、ぼんやりとしか思い出せなくなるに違いない。

でも、赤ちゃんから子どもへと移行するタイミングで、間違いなく『ことばのあいうえお』は、次男の、言葉への興味を促してくれた。

五味太郎さんは、「あとがき」で次のように書いている。

この本の「あ」の項の「あ」は、いわゆる一般的な「あ」ではないかもしれません。息をのむ「はっ」に近い「あ」かもしれませんし、「ああ、どうしよう……」の「あ」かもしれません。でも、文字で書くなら「あ」なのです。それがやがて「あつい!」の「あ」や「あそぼう!」の「あ」になり、「ありさん」「あしたのあさ」の「あ」になり、やがて「あなたを あいします」の「あ」になるのでしょうか。

(五味太郎(1979)『ことばのあいうえお』岩崎書店、P47より引用)

なんて素敵な文章だろうか。言葉への愛を感じる、言葉。

「あ」は母音であり、言葉を形づくる音のひとつにすぎない。だけど「あ」から始まる言葉、「あ」に関する言葉・表現は、無限にあるのだ。

この絵本では、47の表現が記されているけれど、これらが出発点となって子どもの言葉を巡る冒険は始まっていく。

「あとがき」は、次のような言葉で締められている。

もちろん、彼らも含めて、この本を作るにあたっては、それこそいろいろな方にお世話になりました。心から感謝の意を表したいと思います。「あ」は「ありがとう」の「あ」でもあります。

(五味太郎(1979)『ことばのあいうえお』岩崎書店、P47より引用)

いつか、こんな素敵な「あいうえお」を編集できるようになりたい。

その日まで、自分なりに言葉に関する研鑽を積んでいくのだ。

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