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終戦の日に、戦争をテーマにした記事を書きました。

白状すると、最近まで、戦争に対する関心をシャットダウンしていた。

小学校の頃、まだ戦争は身近なものだった。1995年は、戦後50年のタイミングだった。戦争経験を持つ祖父も生きていて、ときどき戦場での話を聞かせてくれた。いわく、いつ死んでもおかしくなかったらしい。沖縄のひめゆりの塔を訪ねて衝撃を受けたし、小学生向けの戦争作品として『はだしのゲン』『火垂るの墓』などもあった。戦争の記憶が刻まれ、「反省」を活かして未来へと向かおうとする社会だった。

だが、当然のことながら、戦争に関する話題は「重い」。想像上だとしても「痛み」を避けて通ることはできない。だから少しずつ、戦争に関する情報を受け付けられない身体になっていたのかもしれない。

そのことを自覚するようになったのは、昨今のロシアによるウクライナ侵攻、米中対立などの報道にふれる中だった。「あれ、おれって戦争のこと何も知らないんじゃないか」という強烈な危機感だ。

なぜ戦争が始まるのか、
どんな動機があるのか、
抑止力とは何か、
戦争を終わらせるにはどんなプロセスが必要なのか、

ほとんど何も知らない。そういった状態だったしても「戦争はダメだ」と言い続けてOKだとは思う。だが、知らないことに対して危機感を抱いたのであれば、それは「学びたい」という意思に連結する。まずは報道を検分しながら、少しずつ関連書籍も読むようになった。

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タイミング良く(という言葉は不適切かもしれないが)、地元・栃木県にゆかりのある荒井退造をフィーチャーした映画「島守の塔」が公開となった。

太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた戦争映画だ。

沖縄戦は、20万人の犠牲が生じた戦いだ。民間人の犠牲は甚大で、実に四人にひとりが亡くなるという悲惨を招いている。

荒井は、警察部長として沖縄に赴任した。最終的に消息不明となってしまったが、「一億総玉砕」の価値観に抗うように、最後の最後まで沖縄県民の命を救おうとした人物だ。

彼の姿を見て、現代に生きる自分が何かしら呼応しないといけないのでは?という思いにも駆られた。何か自分にできることはないだろうか。

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そう考えていた矢先、友人の編集者・曽我彩さんが「戦争」をテーマにした書籍を編集したと耳にした。本の名前は『人はなぜ戦争を選ぶのか』。ペロポネソス戦争下におけるアテネの為政者の演説を収めた本だが、読んだ後で「2,500年前とて、いまとほとんど変わらないロジックで人を動かそうとしているのでは?」と驚いてしまった。

7月終わりに「話を聞かせてほしい」と取材をお願いした。

せっかくなので、映画「島守の塔」も鑑賞いただき、編集者の視点で映画についての感想も述べてもらっている。

本や映画の話に触れつつ、どんなことを意識しながら編集に臨んだのか話を聞くことができた。「これからの平和」を考える上で、素晴らしい機会となり、曽我さんには感謝しかない。

記事はこちらに収められている。終戦の日になんとか間に合わせたいと思い、曽我さんにも無理をいって確認してもらった。

日は変わってしまうが、ぜひ77年前の出来事に思いを馳せながら、読んでほしい。「戦争のことを考えるのは苦手だ」という方も、本や映画などから、戦争についての「実感」を獲得してもらえたらと思う。

ウクライナ、場所は違うけれど「いま」起きている戦争として。
沖縄戦、時代は違うけれど「同じ日本」で起きた戦争として。

何かを学び、考えること。今日がその一歩になるかもしれない。

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