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戦いの「におい」を消すために。(映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観て)

勘(といって差し支えないだろうか)の良い人なら、タイトルでピンと来ただろう。

あなたの体に染み付いている戦いの『におい』が、追跡者を引きつけるんじゃないんでしょうか?

機動戦士ガンダム、第15話「ククルス・ドアンの島」で、主人公のアムロ・レイが放った一言だ。

ジオン軍の脱走兵であるククルス・ドアンは、とある無人島で、擬似家族とともに自給自足の生活を送っている。だが、たびたびジオン軍の追跡があり、そのたびに隠していたジムで撃退を図る。しかしそれでは戦いの連鎖から逃れることができない。丸腰になるリスクもありながら、アムロは彼のジムを海に投げ捨ててしまった。(その後にドアンが言った「あのお兄ちゃんのやったことは、とてもいいことなんだよ」というセリフも有名である)

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テレビアニメのファーストガンダムで人気だった話が、2022年に「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」として映画化された。いちファンとして、純粋にガンダムの世界観を楽しむことができた。(UCやNTを彷彿とさせる映像の美しさに感激もしたり)

冒頭に、この映画はアニメ版を翻案したものという注意書きが入る。第15話「ククルス・ドアンの島」は、OPやEDを除けば20分程度の短いエピソードだ。それが2時間弱になるということで、かなり膨らませた内容になったのは予想できていたが、「え、これをこんな風に変えちゃったの?」という驚きが大きかった。

アムロは傷つきやすい少年だが、映画ではなかなかの好青年だった。まっすぐに「島の人たちのためになりたい」という思い。「君は島のみんなのために味方を殺すことができるか」といったドアンの台詞は、実に寒気のするような悪夢的な伏線で。連邦軍、ジオン軍、ドアンたち島の住民。三者三様の思惑の中で、彼らが矛盾といかに対峙するかという期待もあったけれど、良くも悪くも、安心感のあるレベルで落ち着いた作品だったなあと思う。

戦争を避けるために、自らまず武器を捨てる。

その勇気はなかなか出せるものではない。偶然だとは思うけれど、こういった国際的に緊迫感のある時代に、ちょっとした希望を感じるメッセージでもあるのではないか。

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回想シーンは一部に留められているが、ガンダムを観たことのない人も楽しめる作品かなと思う。

ただ全くの初見だと「?」のことも多いので、Amazon Prime Videoで配信されている、アニメ版の「機動戦士ガンダム」を3話くらい観てから、鑑賞してもらえるとより頭に入ってくるのではないかと。

冒頭にあげたアニメ版のセリフが、映画ではどうなっているかにもぜひ注目してください。

(Amazon Prime Videoで観ました)

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