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【英語】Dだとか Sで始まる 難解語

 「あ~、朝からややこしい仕事に振り回されて、やる気せえへんわ。ねえねえ、プレゼントって何よ。」「プレゼントって程のもんでもないよ。頂き物なんだけど、オレは使わないから、役立つ人に差し上げるのが一番かと。」「分かった!コンドームね!んなわけないか。まあ、東京ドームでも、福岡ドームでも、何でも嬉しいわ。」・・・私も春恵さんみたいに沖融たる気分で働きたいものだ。常々「忙しすぎる」「会社イヤや」とボヤいている割には、本当に今すぐに会社を辞めたい私とはかなり異なる心境でお過ごしのご様子である。もはや自宅のローンも完済し、自分の入る墓まで購入し終え、家族という家族が皆無で、当面の生活に全く困らないどころか、半ば老後の見通しまで立っている私は、社内における立場上の義務感と惰性だけに寄りかかってサラリーマン生活を続けている。日々の業務が「楽しい」のと「楽しいフリをしている」のとでは大違いだ。人間、収入への執着が無くなれば、週に5日も決まった時間に通勤する意欲を失うのは必然というもの。意欲的とまでは言わずとも、還暦まで勤続する今後の人生にせめて仄かな光を見出すことは出来ないものか。その点では、まあ春恵さんの存在は当時唯一と言っていいほど胸を高鳴らせる要素であった。三重で同居していた義理のご両親が他界し、旦那と京都に帰ったのだろうか、細かい事情は聞かなかったけれど、ジョブリターン制度で職場に戻ってきたのだ。
 「ねえ、折角やから、五時半ダッシュで何処かで飲まへん?そこでプレゼントを渡してよ。」「カップルみたいなこと言うなあ。そんな洒落たレストラン知らないよ。」「何、勘違いしてんのよ。裏寺町の焼肉に行くわよ。私、レバ刺し、思い切り食べたいわ。生理でもないのに、貧血気味てェいうか、フラフラなの。座ってるのもしんどくて、さっきも栄養ドリンク飲んで、女子更衣室のベッドでカーテン仕切って横たわってたのよ。」「え~、ちゃっかりサボってんじゃないか。ややこしい仕事に振り回されてたんじゃないの?それに、あの店、ご存知でしょうが、今どき無煙ロースターなんかとは“無縁”でございやすよ。そのブラウス、買ったばかりじゃないの?色が変わっちゃうほど燻されちゃうよ。」「アラ、彼氏でも言ってくれないような気遣いをありがと。確かに自慢の服やけど、特に“不服”でもございやせん。」
 
 「玲子が口癖みたいに『結婚したい、結婚したい』って。昔の私もそうやったから、気持ち分かるわ~。しかも、此間、礼子が結婚するって社内通信がリリースされたばかりでしょ。『私より4~5歳若いのに、後輩に追い越されまくってる。春恵さんも知ってるでしょ。二人ともレイ子だから、結婚相手アリの礼子は“アリん子”、相手ナシの私は“泣き子”って陰で呼ばれているの。』って愚痴りながら、ホンマにぴいぴい泣くの。それにしても、相手が居てても、小柄ゆうだけで“蟻んこ”って、礼子だけにつくづく“失礼”な話やと思わへん?」「なんだか大喜利みたくなってきたな。“泣き子”のほうも泣き虫だからというだけじゃなくて“彼無き子”と掛けてんだろ?」「オンナは30を過ぎてからよ。後輩に追い越されたんとちゃうの。先を行く選手を余裕で見送るだけやの。アナタは一流なんやから。私、そう言ってやったわ。私がそうやったから。やけど、泣き止まへん。『ちょっとイイ男の人に出会っても、会話の内容は半永久的に“こんにちは”のまんま。私がキリギリスみたいに恋愛をサボっている間に、“蟻んこ”のほうは着々と椿山荘で披露宴の準備を進めていたのね。』って、悲観主義にも程があるわ。」・・・浅草の観音様の香炉を彷彿とさせる煙に包まれて、“レバ刺し”に始まり、“レモンサワー”に喉を鳴らし、“冷麺”で締める。我々はこの3つの「アタマにレが付くメニュー」を、焼肉を堪能するための必須オーダーとして「レレレのセット」と名付けていた。今宵はここに“レイ子さん”が入り込んで、まさに「レレレのレ」と相成った次第である。
 「ねえ、椿山荘って何処にあるの?」「江戸川橋だよ。」「へぇ~、ディズニーランドの近くなの。もしかして千葉県?」「ああ、ややこしいけど、あれは江戸川。椿山荘は江戸川橋。江戸川橋の架かっているのは神田川なんだ。椿山荘の対岸には早稲田大学があるよ。」「へぇ~、大隈重信の?総理大臣の?って、角帽被った銅像の写真しか見たことないけど、アレって何処にあるの?フフフ…京都人って基本こんな感じよ。早慶に進学した人以外は、早慶が何処にあるかなんて知らないわ。東京人も同じでしょ。関関同立の場所なんて、こっちに転勤するまで知らんかったどころか、京大が百万遍にあるのすら知らんかったでしょ。私は東大が東京ドームに近いの知ってるよ。ねえ、もう少しヒントないの?」「そういえば、東京ドームにまあまあ近いかな。東大ほどの近さではないけど。椿山荘の隣が肥後細川庭園なんだけど、って、余計にややこしいわな。」「あの細川さんのご先祖?総理大臣の?」「総理大臣って言えば、高速道路挟んで反対側には鳩山会館もあるわ。まあ、そもそも椿山荘自体が山縣有朋の屋敷だったんだけど、ってか、江戸川橋の位置を説明するのって案外難しいなあ。」「山縣有朋も総理大臣やん。何となく政治家好みの街やっていうのは伝わったわ。」「まあ、そのへんは兎も角、椿山荘はホテルとしても結婚式場としても都内ではメジャーかな。」「ねえねえ、私、今度、東京に行くのよ。ウチって京都から離れたくない人ばかりなのは、あなたも知ってるでしょ。両親も、姉二人も、みんな地元同士で結婚したし、転勤もなさそうやから、旅行以外で花のお江戸へ行くって言ったら、関東物流センターへの出張くらいしかチャンスがないのよ。ちょうど金曜日なの。勝手に1泊して、土曜日に行きたい所がいっぱいあるの!お台場とか、汐留とか、赤坂とか、六本木とか!」「みんなテレビ局じゃねえか!どうせなら渋谷にも行けよ。」「あなたの故郷だから?」「そういうお国自慢じゃなくって、NHKだよ。」「あっ、これはこれは失礼。大御所を忘れてたわ。」「お土産に気象予報士カレンダーを買ってきてよ。」「その前に、あなた、私へのプレゼントって何よ。」「あっ、これはこれは失礼。すっかり忘れてたわ。」・・・春恵さんと飲むのは久々だったが、体重が倍増したと思わしき風貌を除き、その中身は全く変わっていなかった。彼女との会話はかつてからこんな調子だった。
 
 「玲子って、DXのプロジェクトメンバーに入るんだって。そりゃ、仕事が順調なオンナは結婚できないわよ。」「プロジェクトX?」「もうNHKの話題は終わったの!」「デラックス?」「そうそう、洛南高校の近くのストリップ劇場、って、それはデラックス東寺やて!」「もちろん冗談だよ。デジタル何とかだろ?」「トランスフォーメーションよ!あなた、それ、どこまで本気で、どこまでボケなの?」「いや、正直なところ、全く関心がない。AIとかで今の面倒な仕事が楽になるなら有難いけど。」「その考えがもう古いのよ。働き方改革だけとちゃうの。ほら、今、月にいくらって定額を支払ったら、好きなクルマを選んで乗れて、面倒な車検とか、保険とか、税金とかが全部セットになってるサブスクあるじゃない。市場の変化に応じてビジネスモデルを変革するのがDXなのよ。音楽とか動画とか、その人の好みの傾向に合わせたストリーミング配信もそうやし、預金残高からQRコード決済までスマホで一元化しちゃう銀行のサービスとかも、みんなDXを進めた結果なの。」「ああ、何となく伝わったわ。だから、オレ、DXに興味を持てないんだわ。まず自動車が欲しくない。運転免許すら嫌々とった。音楽も中高生の頃に聴いてたCDがあれば十分。動画配信も要らない。テレビにNHKが映れば十分。買い物も大抵は現金払い。まあ、交通系ICカードを電子マネーに使うことはあるけど、あれとて現金チャージなわけだしな。DXでオレの人生が幸せになるイメージっていうのがさっぱり湧かないのよ。すでに、偽情報を垂れ流すAI技術者と、それを見破るAI技術者が戦ってるんだろ?そんなことに振り回されて、高い開発費やら人件費を使うくらいなら、AIを使わないっていう選択肢も“アリん子”だと思うよ。オレなんか、未だにスマホですら要らないって感じてるもん。会社が必要だって言うから仕方なく持ってるだけ。SNSとかもそうだろ?会社も商品宣伝でSNSの活用に『積極的になれ』って言ってみたり、炎上しないよう発信は『慎重になれ』って言ってみたり、そんなに取扱いに苦慮するんだったら、一度勇気を出してSNSを止めてみたらって思う。当社は食品メーカーですよ。食事が美味しくて、酒が進んで、友達や女性と楽しく過ごすことができれば、他には何も求めない。こういうオレみたいな生き方も“アリん子”じゃないの?」「でも、会社員を続ける以上、全く興味を持てないことでも、業務命令として次々と新しい取り組みに巻き込まれてしまう。コレ、あなたがサラリーマン生活を辞めたい理由の1つね。」「いや~、さすが、ご賢察のとおりであります、ハイ。」
 
 「“アリん子”のほうの礼子も凄いわよ。彼女、もともと環境対策の職務経験があるでしょ。今度、SDGsのプロジェクトメンバーに入るんだって。そりゃ、結婚するオンナも仕事が順調よ。・・・何よ、最初っから明らかに『興味“無き子”です』みたいな顔して。」「バレました?いやいや、さすがにSDGsはDXと違って一度は目を通したよ。17個のゴールと169のターゲットも全部読んでみたけど、その目標も考え方も立派だし、書いてあること自体は何1つとして反対も反論も“無き子”だよ。だけどさあ、あのSDGsを標榜している連中とか、その周囲にべったり貼り付いている小判鮫みたいな輩とか、如何にも理念と矛盾した怪しい権力やカネのニオイがしない?まあ、五輪も、万博も、国際的な取り組みには全てこういうニオイが付き物なんだろうけど。あの人達ってさ、本気で開発途上国を貧困や飢餓から救いたいのかな?本気で世界中全ての人に健康と福祉と教育を提供したいのかな?口先だけじゃないの?先進国の自分達がすでに味わい尽くしている贅沢のごくごく一部だけでもいいから、それを捨てるくらいの覚悟や本気度を示してるわけではないでしょ。まあ、こんなオレでも、SDGsの理念には賛同できるわけだし、自分にも実行可能なことはやろうと思ってるよ。けど、会社のプロジェクトメンバーに入ってまで何かをやる気にはなれないな。いや、何ヶ月か前の話だけどね、電力会社のセールスが売り込みに来たんだ。いや、オレも総務の端くれだからね、そういう対応もあるわけ。で、『現在の電気代より少しだけ上乗せ料金をお支払い頂ければ、“この事業所はカーボンニュートラルの電力を使用しています”と対外的に宣言することが可能になります!』って自信満々に言うのよ。『そんなこと言っても、火力以外の発電所から直接ウチだけのために送電線を引っ張るわけじゃないですよね?』って、オレは訊いたの。そりゃ当然だわな。『いや、電力自体は今まで通りの電線で何も変わらないものを供給します。』って答えが返ってくる。『それは、つまり免罪符をカネで買うってことでしょ?お金に色が付いていないって話と同じ理屈じゃないの?』って、オレが再び訊ねた途端、表情が曇って『仕組みが異なるのです。お客様から頂いた上乗せ料金で、当社は環境保全のためにですねえ…』『いや、だから、お金にも電力にも色は付いていないって言ったばかりでしょ。ウチの使用電力がカーボンニュートラルだっていう証明はどうやってするの?私には不思議でならないんですけど』って、普段はこんな口の利き方しないんだけど、ついつい問い詰めちゃってね。この人、仕舞いには『当社の画期的なシステムは、ガス会社には絶対に出来ません。ガスは如何なるガスであっても化石燃料から作られますので、カーボンニュートラルを宣言することが不可能なのです。』って、論点を勝手にガスへ摩り替えやがった。オレが昔から環境問題に馴染めない理由はこれなのよ。環境に携わっている人種から『私たちは世のため人のために貢献しています』みたいな態度が滲み出ていて、何か偉そうで鼻に付くし、一方で『具体的にどのように貢献しているのか?』という質問に対しては腑に落ちない説明しかしないもんだから、却ってこの問題の重要性に心からは納得できなくなってしまうって、ただそれだけのこと。世の中の殆どの会社――少なくともオレの知っている日本の会社――って、何かやらないと社会的な批判を浴びちゃうから、周りの会社もやってるから、或いは自分を良く見せるため慈善活動的にSDGsに取り組んでいるだけでしょ。『そうじゃない!途上国を幸せにするためだ!地球を守るためだ!』って強い信念を持って理論立てて説明する人、オレ、今まで一度も出会ったことないよ。『つくる責任 つかう責任』とか折角いいこと言ってるのにさあ、いざ自分が消費者となれば、環境に配慮した商品でも高けりゃ買わないし、結局安い物を買うでしょ。それが奴隷的な労働によって生産された物かもしれなくても、いちいち調べないでしょ。食品ロスを削減しようとか言ってても、賞味期限ギリギリの商品はなるべく避けるでしょ。」「今夜のあなたはどうしたの?凄く正しいことを言ってるけど、何処かに頭をぶつけちゃったの?」「正しいかどうかは判らないけど、こういう率直な疑問や感想を誰一人として発言できない雰囲気が気持ち悪いとは思っています、ハイ。やっぱ、オレ、脳に異変が起きてるのかなあ。こんなに長々と真面目な事を喋っちゃたの、久しぶりだよ。」「こうして私もあなたの話にずっと頷いているから、脳ドックを受けたほうがいいかも。でもね、正直、私もSDGsってやつには不便しか感じてへんの。最近はコンビニで弁当買っても、割り箸がみんな竹でしょ。丸いからコロコロ転がっちゃうのよねえ。竹って四角くカットできないのかしら。どうせ“お付き合いレベル”の取り組みしか出来ないくせして派手にSDGsをアピールすんやったら、そういう地道な企業努力も一緒にしてほしいのよね。あれって『陸の豊かさも守ろう』ってやつなのかな?せやったら、割り箸の原料を間伐材に限定しちゃえば済む話なんとちゃうの?木を竹に変えたところでお箸の生産に使うエネルギーは同じわけやし、途上国は外貨を稼ぎたいから森林減少にも歯止めが利かないでしょうし。」「オイオイ、どうしたんだ?脳ドック、予約しようか?」「その必要は“無き子”です。それにレジ袋の有料化!あれだけは腹立つわ~。いや、不便でも効果が“アリん子”なら受け入れるわよ。あれこそ『海の豊かさを守ろう』ってやつがきっかけやったはずよね、たしか。でも、レジ袋って、プラごみのうち2%の割合しか“無き子”って聞いたこと“アリん子”よ。少なくとも海洋汚染には直接関係してるわけや“無き子”なんやって。だって、しこたまテレビで流れてた映像って、私、ウミガメの鼻にストローが刺さっている印象しか残ってへんもん。せやし、レジ袋よりストローを有料化したほうがええんかったんとちゃう?しかも、エコバッグの材料にもプラスチックが入ってるから、さほどエコでも“無き子”らしいよ。しかも『禁止』やのうて『有料化』てェ、あなたが言う通り『覚悟や本気度』を示してるわけや“無き子”よね。何もかも、根本的に自己満足の領域を脱してへんゆうか、脱する必要まではホンマに“無き子”なんか、持続可能な社会を作るために『コレ』だけは我慢しようっていう『コレ』の中身が情けないほど中途半端でしょ。こないに中途半端な意気込みやったら、いっそのこと、やらんほうがまだマシや。そんなふうに考えたら、何だかバカバカしくなっちゃって――。レジ袋って大サイズでも5円でしょ。365日毎日買ったとしても…え~っと…1,825円か。私、店員さんに訊かれる前から必ず『袋、下さい』って言うてる。これが現実よ。オフィスのゴミの分別すら適当な社員が、そのアホ面ぶら下げて、どんなSDGsを実現しようってのよ。」「オーオー、口が悪くなってきた。いつもの春恵さんが戻ってきたね。これで脳ドックの心配もねえや。ところで、え~と、“アリん子”のほうがDXで、“無き子”のほうがSDGsのメンバーだったっけ?」「ちゃうちゃう、逆よ。」「もう分かんなくなってきちゃった。でも、1つハッキリ分かるのは、SDGsで途上国の人々とオレが共に幸せになるイメージっていうのがさっぱり湧かないってことだな。」「でも、会社員を続ける以上、全く興味を持てないことでも、業務命令として次々と新しい取り組みに巻き込まれてしまう。コレ、あなたがサラリーマン生活を辞めたい理由の1つね。」「いや~、さすが、ご賢察のとおりであります、ハイ。」
 
 「そうそう、此間、プロジェクトチームの素案ってやつを礼子に見せてもらったんやけど、その冒頭に『サステナブルな社会を目指し、クリエイティブかつイノベーティブなビジョンを掲げ、エネルギーのサイクルをアップデートすることで、カーボンニュートラルなコミュニティを実現します』って書いてあって、もうこれだけで挫折しちゃった。頼むから日本語で伝えてよ!いや、外国人の従業員に伝えるんやったら、そりゃ英語版に訳すでしょ。ウチって、コンプライアンスの教育資料も、災害対策のマニュアルも、英語版だけやのうて仏語版も中国語版も作成したくらいでしょ。やけど、原文の日本語がこんな無茶苦茶な文章やったら、翻訳ソフトも使われへんやん。日本人ですらチンプンカンプンやのに、外国人は一層チンプンカンプンやと思うよ。こういう悪い癖からまず直したほうがいいわね。会議にしても資料にしても、カタカナ英語で誤魔化しちゃう。私たちって、こんなしょうもない仕事をするために、ず~っと学校で英語を勉強してきたわけとちゃうやん!肝心な日本語がダメで、ここまで目標が抽象的やと、もうギャグとしか思えへん。で、『私たち現場の社員は、いったい何をすればええの?』って会社に訊いてみたら、結局『電力会社から免罪符を購入して下さい』ってオチにならへんことを神に祈るばかりやわ。」・・・店を出ても“春恵さん節”が止まらない。些か酔っているようだったが、ご指摘は逐一ご尤もだった。
 二人は満たされた腹を擦りながら河原町の地下ホームへ向かい、阪急を待っていた。その間、私は彼女にもう1つ問題提起をしてみた。「なあ、オレって、こんなにDXにもSDGsにも関心の低い社員のまんまでだよ、周りを見渡したらDXにもSDGsにもそれなりに関心の高そうな社員がいてだよ、後輩たちも含めてさあ、本当に周囲の社員に追い越されまくってるのは、玲子さんじゃなくて、オレのほうじゃねえか?」「あなた、私の話、聞いてたの?追い越されたんとちゃうの。先を行く選手を余裕で見送るだけやの。アナタは一流なんやから。ところで、醤油差し、ありがと。あまりにも綺麗なガラス細工やし、私、最初は花瓶やと勘違いしてた。今度はこんな綺麗な醬油差しのある高級店やのうてかまへんから、お腹いっぱいお寿司を食べたいわね!」・・・つづく

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