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コーヒー何それ記 ~ 焙煎編② 水抜きの謎の章 ~

ご覧いただきありがとうございます
しじみとれです

焙煎編第二回、今回から焙煎の核心部を垣間見ます

焙煎に必要な条件とは?そしてどうやって豆に熱を与えるか?
そして
焙煎において一番重要といわれることがある「水抜き」という段階…
この段階では一体何が起きているのか、そしてなぜ重要と言われているのか?
これらについて書籍と焙煎士さんからのお話をもとに解説していきます!

今回は少し長めになると思うので気になる部分を目次から参照してください!

焙煎編①の焙煎の流れで解説していくのでご覧いただければさらに理解ができると思います!もし見てなければ下にある第一回をぜひご覧ください!

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焙煎が進む条件とは

では、焙煎の工程を1づつ分解しその時なにが起きているのかを見ていきましょう!

まず焙煎が進む条件は

  1. 一定以上の温度

  2. 水分が十分に減ること

が前提になります
この「水分が減る」というのがコーヒーの焙煎の「きも」なのです。この後解説します
温度も200℃以上に達しますが、ここまで熱を加える豆系はコーヒー豆だけだそうです

焙煎に必要なエネルギー

豆の温度を上昇させるエネルギーは言わずもが熱になります
焙煎では主に3つの熱源を使用します

  1. 伝熱導 ・・・ 外部からの加熱 例:フライパンや炎

  2. 対流 ・・・ 気体や液体を介して伝熱する 例:熱風

  3. 輻射 ・・・ 電磁波で伝熱 例:熱せられた物体から、遠赤外線

これらを使用して豆に温度を伝えます。また伝え方の違いで直火式、半熱風、熱風と焙煎機を種類別できます。焙煎機については次回以降見ていきます

水抜き工程

それでは焙煎の工程に入っていきます
まず水抜きと呼ばれる工程です。蒸し、ゴム状態、Drying phesesともいう方もいます。豆に温度を与えると、圧力鍋のような環境でない限り豆の内部の水分が蒸発していきます
この工程は非常に重要な工程と言えます。焙煎士の方いわく

豆全体の水分量を均し、豆の足並みを揃える

カフェバッハ 田口護

焙煎における余剰水分を除去、フレーバーの前駆体成分の転化をより積極的にするための動作

Roast Design Coffee 三神亮

とおっしゃっています

豆には12%ほどの水分があり、これを最終的に2~3%まで減らすことになるのですが、この「水抜き」の工程には豆の内部に大きな変化が起きているのです

それは・・・「加水分解」です

水抜き:加水分解

加水分解とは物質に水分が加わることで化学変化することを言います。
コーヒー豆では「焙焦反応」の1つです
焙焦反応については次回以降解説します

コーヒー焙煎の温度と含水量 コーヒーの科学より一部加筆して抜粋

この加水分解中、コーヒーの豆は「ゴム状態」となっています
豆の水分が多いほど低温でゴム化します
ゴム化とは、豆の細胞壁で囲まれた「小部屋」の内部が水分で煮立ち、様々な物質(油、カフェイン、クロロゲン酸、タンパク質、糖質)が1つにドロドロになっている状態です

水抜き:加水分解中の化学反応

加水分解中に豆にどのような変化が起きているか見ていきましょう

まず、この化学変化で発生する物質のほとんどは「不明物質」と言われており、何がどうなっているのかはすべてわかっていません
ですが、この反応でコーヒーの「酸味」と「香り」の物質が生成が行われているのです

過去に「酸味の話」「苦味の話」でも紹介した物質たちが出ます。物質の解説は以下のnoteを参照してください

クロロゲン酸 → 加水分解で減少 → カフェー酸(強い渋み)、キナ酸(シャープな酸味)が増加
 ↘Acidityの増加 + クロロゲン酸ラクトン類が減少 = 苦味が弱まる

メイラード反応の中間体の加水分解 → アルデヒドの増加 = 蒸れた匂い
 ↘加水分解が長すぎると「渋酸っぱく、蒸れた匂い」」

タンパク質、多糖類 → 加水分解 → アミノ酸、単糖類
 ↘反応性が富むので、反応が進みやすく「香味」が強まる

糖と結合している「配糖体」 → 加水分解 → 精油が遊離
 ↘「香り」が強まる(質感も変化する?)

このように物質が変化します。加水分解のし過ぎも良くないですが、これによって「酸味」が際立つようになっていると思われます

どういう温度・水分帯をどれぐらいの時間をかけて通過するか「豆のたどる焙煎の道筋」もおいしさに大きく影響する

旦部幸博

豆の「個性」と水抜き

ここまで水抜き過程で何が起きていたかを見てきました。これだけ見るとこの水抜きの時間をうまく調整できれば自分が表現したい「焙煎豆」を作りさ出せるように感じさせます

ですが、品種や輸送の状況によって豆の水分量は上下します。ここがある意味「豆の個性」といわれる部分ではないかと思っています
無論それ以外にもサイズだったり形状だったりとありますが、この部分を上手にとらえることができれば
「個性」を引き立てつつ自分が飲みたい、提供したい「最上のコーヒー豆」が作り出せる
と思います

ですが、ベストの位置の焙煎を出すためには焙煎の温度や時間、焙煎度、その日の天気、湿度、気温、窯の温度を細かく検証し「作り出せるようにする」というのが焙煎の難しいところであり、楽しいところのように感じます

水抜きの終わりの確認法

水抜きの終わりに豆の変化としては、ゴム状態からガラス状態に変化します

見た目の変化は豆の色が金色に近い黄色の色になったり(三神氏はgold Colorと表現しています)、匂いや豆のしわが減ったり、大きくなったりとなります

このような反応が見られたら水抜きが終わっており次の工程に入っていくのですが・・・
だいぶ長くなったので次回に回します!!

まとめ

ということで水抜きを見てきました!水抜きの工程は焙煎を始めると最初の関門といわれるほど難しいそうです。芯残りが起きたり、どこまでが水抜き工程かわからず焙煎を進めすぎてしまうなどが起きるとか

ですがこの工程こそがコーヒーがコーヒーたる部分であり、味、テクスチャーが形成されるのです

次回は1ハゼからの工程を解説していきます

参考文献

旦部幸博 「コーヒーの科学」2016 講談社
田口護 旦部幸博 「コーヒー おいしさの方程式」2014 NHK出版
三神亮 「Coffee Fanatic三神のスペシャルコーヒー攻略本」2022 文芸社

終わりに

2回目の焙煎編、前回より少し入り込んだ内容になりました。いかがでしたでしょうか
焙煎中は様々な化学反応が起きていてそれがコーヒーの味にどう影響を与えているか、そして温度やかくはんのコントロールで変わっていくことが面白いところですね

今回の記事いかがでしたでしょうか?
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しじみとれでした

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