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『宅建士』について考えてみた

ボクは退職後に宅地建物取引士(以下、宅建士)の資格取得に向けて勉強を始め、資格取得に必要とされる勉強時間をこなしそれなりに自信を持って試験に臨みましたが、残念ながら合格を勝ち取ることができませんでした。

そんなボクですが、どうして宅建士の資格取得を志したのか、不動産賃貸業として物件の売買を通じて感じた宅建士の魅力や求める宅建士像について書きたいと思います。  
 

宅建士の独占業務

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、宅建士は不動産取引法務の専門家として、不動産取引が購入者等の利益保護や宅地建物の円滑な流通に資するように対応しなければなりません。

購入者を保護する責任がある一方で、以下の引用にある3つの取引事務は宅建士の独占業務としてある意味(宅建士は)保護されています
不動産取引はたいへん多く(R2 約150万件)、士業として実務がこなせれば、食っていける事ができる国家資格の一つだと言われています。

宅地建物取引士の業務とは
不動産業の業務には、専門知識を備えた宅地建物取引士にしか扱えない「独占業務」があります。以下に挙げた3つの独占業務は、たとえ不動産会社の社長であっても、宅地建物取引士の資格を持っていない限り行うことはできません。

重要事項の説明
物件の借主・買主に対して、契約締結の前に重要事項の説明を行います。重要事項とは、例えば電気・ガス・水道などのインフラ設備や売買代金のローン条件など、借主・買主側が事前に知っておくべき情報になります。

重要事項説明書への記名・押印
重要事項は口頭での説明だけではなく、必ず文書に記載して相手方に交付・説明を行わなければなりません。この文書を重要事項説明書面といい、記載事項の内容を説明したうえで記名押印します。

契約内容記載書面への記名・押印
この契約書は37条書面ともいい、記名押印したうえで交付します。

出典:公益社団法人 全日本不動産協会

宅建士の仕事は独占業務だけ?

では、宅建士なら独占業務だけをこなせれば良いのかというとそうではありません。ボクにはデキる宅建士像があります。
有資格者でもないのに何を偉そうにと思われるかもしれませんが、不動産賃貸業としてそれなりの数の売買契約を経験し、多くの宅建士を見てきたおっさんの意見として聞いていただければと思います。

ボクが考えるデキる宅建士は、

  • 営業力

  • 調整力

  • 創造力

が備わっていることが必要だと考えます。

宅建士か否かに関わらず求められる営業力

当然の話しですが、取扱い案件がなければどんなに有能な宅建士でも、その資格を活かすことはできません。
よほど名の通った大きな不動産会社を除けば、案件は待っているだけではそうそう舞い込んでくるわけではありません。

案件を獲得するには、自分の足で稼ぐ(個人や不動産屋への訪問営業)、チラシやHPによる反響などが連想されますが、年間を通じて安定して案件を獲得するためには『宅建士自身に獲得する力』が求められると思います。

獲得するには「ぜひあの人に任せたい」と言われる宅建士になることが必要で、それは信頼と実績を一つ一つ丁寧に積み上げていくことでしか得られないのではないかと思います。

宅建士に求められる調整するチカラ

信頼と実績を積み上げるには何が必要でしょうか。

幾度となく収益不動産の取引きを経験するなかで感じるのは、誠実かつ正直であることは当然として、重要なのは『調整する力』ではないかと思います。

不動産の取引きには多くのプレーヤーが参加します。
売り手と買い手だけでなく、銀行の融資担当者、建築士やリフォーム業者、司法書士、場合によっては弁護士や行政の担当者ともやり取りが必要になります。

一つとして同じものは無いのが不動産取引きなので、案件によってプレーヤーもその都度変わってくるのです。

言い換えると、宅建士は取引きを通じてそれぞれの窓口や専門家を取りまとめるコーディネーターの役割が求められるし、実はこれこそが宅建士の腕の見せ所であり醍醐味ではないかなと思います。

誰に何をどのタイミングで調整するか、うまく調整することでお客様だけでなく多くのプレーヤーに対する信頼と実績が積みあがっていくのだと思います。
 

宅建士はコーディネーターからクリエイターへ

宅建士はコーディネーターとしての役割が腕の見せ所だと言いましたが、宅建士としてより輝くためには、コーディネーターとしての力に加えてクリエイターとして、すなわち『不動産を創造するチカラ』が求められていると思います。ただしこれは不動産賃貸業(不動産投資家)としての少々限定的な見方で、新築物件ではなく既存物件をどう活かすかを指します
新築の場合は通常、敷地をどう活かすかとか建物を創造するのは施主さんであり、それをサポートし実現するのは建築士や大工さんになるからです😅

ボクはこれまで不動産賃貸業の立場で既存の収益不動産を買ってきました。最終的には自分で買い付けの判断をするのですが、その判断材料はあらゆるケースを想定しなければなりません。そんなとき、仲介を担当してくれる宅建士さんから、
「この物件は〇〇〇のリスクがありますが、×××すればそのリスクは低減できそうです」とか、
「この物件は□□□して△△△すると化けると思いますがどうですか?」といった、ボクには考え付かないような視点でアドバイスや活用の可能性を示唆してくれることで検討の幅が確実に広がります。

もちろん、聞き手が提案をすべて鵜呑みにするだけでは主体性が無いばかりか後のトラブルに繋がりかねません。自身が責任を持って最終判断しなければならないことは言うまでもありません。
 
宅建士としての経験を積み、不動産取引き法務だけでなく建物に対する知識を深めて不動産を活用していくためのチカラを備えていくことが求められていると思います。
 
 

宅建士を目指すか否か

昨年、資格取得に失敗したボクですが、年に一度しか行われない10月の宅建試験に今年臨むか否か今はまだ迷っています。
周りからは「もう一度トライすべき」といった激励をたくさんいただくのですがスイッチがなかなか入りません。

その理由はいくつかあるのですが、

  • 自分なりに勉強をやり切った感があり心が折れた

  • 合格してもボクの理想像に近い宅建士になれるか不安

  • 自身に宅建士の資格は本当に必要かがわからない

それぞれについては改めて書きたいと思いますが、宅建士を目指すかどうかについては、もう少し(3月末頃まで)考えてみたいと思います。

今回は宅建士について考えてみましたが、あくまでもボクの主観であることを改めて申し添えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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