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Photo by
hidemaro2005
ショート: 美しき愛しい姉
橋りょうや日陰のカーブ又は勾配に置いてある
塩化カルシウムを回収しておいた。
衣装ケースに半分塩カルを敷き、次は詰める。
本当なら、ホルマリンが良かった。
しかし、大量注文すると足がついてしまう。
美しい姉と長く一緒に居る方法は、
これしか思いつない。
姉のことは血の繋がりがあるとは言え、
心から愛していた。とても、とても。
姉を欲する私は、現代では正しい部類になる。
私がマイノリティだとしても。
暫くは、衣装ケースに姉を塩カル漬けした。
姉の顔を見るのは憚られたが、愛しさは募り、
ケースの蓋を開く。
私の想像では、
水中で髪を躍らせる胎児みたいな姉の姿。
塩カルを掻き分け、姉を見ると、
半分ろうそくのように白濁と水脹れした肉塊、
そして
茶色く溶けた何かが、白骨にこびり付いている。
塩カルは、塩化ナトリウムの代わりにならず、
姉が溶けている。
「梨香子!警察の方がお呼びよ!」
再びケースの蓋を閉めると、
私はリビングへ降りて行った。