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「殺しのリハーサル」&「みかんの部屋」

13日金曜日と14日土曜日の二日連続で、ミステリー舞台を観劇した。

13日の「殺しのリハーサル」(劇団ピュアマリー)は新宿全労済ホールにて山口馬木也さん主演の舞台であり、ちょうど昨日放映された「黒井戸殺し」でアドバイザーとしてクレジットされていた「コロンボ」研究家、町田暁雄さんと御一緒した。

「コロンボ」の脚本家としても有名なレビンソン&リンクの傑作であり、ミステリファンならテレビドラマなどでも有名な作品だが、何度見ても、脚本の妙にため息が出る。もちろん、何を書いてもネタバレになるので、内容には触れないが、もし未見であれば、絶対に見逃してはいけない作品だと言っておく。

終演後は町田さんと呑みながら、作品について色々と話した。町田さんは細かい所に非常に目が行く方であり、そんな話を伺いながら本当に楽しい時を過ごす事ができた。

そして翌14日の「みかんの部屋」(劇団フーダニット)は船堀タワーホールにての舞台で、昨年ご交誼を賜った松坂健先生のお招きで、やはりミステリ仲間の友人ふたりと観に行った。

13日はレビンソン&リンクなら、こちらの作者はロベール・トマ。「罠」や「8人の女たち」で有名なミステリ劇作家で、フランスのヒッチコックと綽名されている。特に「罠」はミステリファンならもう伝説のような作品と言っても過言でないだろう。

そんなトマの作品なので、面白くないはずがなく、6つのオムニバス短編では、次々に驚かされて、唸らされた。こちらもネタバレはできないが、あまり著名でない作品だけに見られた感激は逆に大きかった。

日曜日の今、なお、その感激と充足感は変わらないが、こと、作家としては、何ともいえぬ感触を持っている。すなわち、あんなすごい物を見せられると、己のことがあまりにも情けなく思えて、黙るしかないのである。もちろん演劇史上に残るような作品であり、それに比して自分を語ることこそ、無謀であるのは当然であるが、それでも何ともへこんでしまう。

しかし反面、あそこまですごい物を見せられると、へこむだけでなく、同時に、書こうと思わせてくれる力も貰えた気がする。何とも矛楯するようだが、本物の名作とはそういうものかもしれないと思っている。

残念ながら、両作品とも日曜日で楽日を迎えたので、次を待つしかないが、それまで、すこしでも面白い物を、近づける物を書いていくしかない。

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