【選んで無職日記79】とうとう来てしまった面倒くさがりの私
2024/10/2
十二時前から始まるピラティスに行くために家を出た。今月からマットピラティスのクラスを通い放題コースに変更したので、元を取るためと健康を維持するために出来るだけ通おうと思い、速攻予約した。
基礎クラスに参加するために準備運動をしていると、他の生徒さんもぞろぞろと集まってきた。私の目の前に座っている先生が、「今日は五人中四人が前のクラスを受けてるので、皆さん足の裏が柔らかくなってますね」と話始める。私を含めて生徒は五人だったので、私以外の四人は一時間別のクラスを受けてからこのクラスに臨んでいるということになる。
そういえばクラシックバレエのオープンクラスを受けていた時も、私が受けるレッスンの一つ前のクラスを受けて、さらに一時間半私と一緒にレッスンを受けていたおばさまがいたことを思い出す。みんな私よりも体力があるのかもしれない。
今日のクラスの先生は以前からスタジオで見かけていて、スタイルがとても良いので気になっていた先生だ。二の腕もお腹も締まっていてアスリート体形で、こうやって身体が絞れたらいいなと思うようなスタイル。
やはりフィットネスやダンスなどの運動を習うとなると、その先生がどういう体つきかを見てしまう。自分が理想とする体形の先生がいれば、その先生に習えば近づけるのではないかと思うからだ。
今日のクラスは結構きつかった。先生のスタイルが良い理由がわかるような運動の仕方だ。
スタジオを出て薬局に行き、漢方を二種類購入すると五千円になった。月頭に痛い出費だが、仕方ない。
書店に行って欲しかった本を数冊買い、そのまま家に戻って車を出して、スーパーに向かうためにショッピングモールに行った。
モールに着くと二時を過ぎていて、お腹が空いていた。車内ではカフェで軽い昼食でいいかと思っていたが、どうしてもお腹が空いてちゃんとしたご飯が食べたかったので、一人フードコートでうどんを食べた。
もしかしたら、フードコートで一人で食事を取ったのは初めてかもしれない。味がよくしみたお肉と温泉卵が美味しくて、無心で麺を啜った。
その後少しだけその場で勉強したら、血糖値が上がったのかぼうっとしてしまった。今日の夜や明日のご飯の献立を考えるのが億劫になり、だるくなる。
私は元々あまり食事に興味がないほうで、ふりかけと韓国のりとか、納豆ご飯とかでも大変満足出来る質だ。興味がないからなのか、料理も好んでやらないタイプだった。それが無職になり時間が出来て、栄養バランスや外食をなるべくしないようにしようと思うとどうしても毎日しっかり献立を考える必要があり、そうなるとこまめにスーパーに行くことになる。スーパーに行くとまあまあの重さのエコバッグを持って帰らなければいけないのも何だかだるかった。
一人で週に何度か、家族のご飯を作るためにスーパーに行き、重い荷物を持って帰り、そこから時間をかけて調理する世の中の妻や夫の皆さんに尊敬の念を抱いた。同時に自分の母はすごい人間だなと思う。仕事をしながら主婦業も完璧にこなして、それに加えて彼女のご飯は美味しい。私は仕事さえしていないしエセ主婦になってまだ二か月しか経っていないのに、献立考えるのめんどくさい、とか言ってもう弱音を吐いている。
ぼんやりとした脳のままスーパーをまわったので、特段新しい料理が出来るような食材ではなく、いつも買うようなものばかりをカゴに入れてしまった。なるべく違うメニューを作りたいと思っても、レパートリーがあまりない。
よく考えたら私は午前中から運動して疲れているし、炭水化物を取って脳が動きづらくなっている。買い物や料理に対してマイナスイメージを持ってしまうのも仕方ない。元々料理が大好きというわけではないのだから、スーパーはもっと気分のいい時に行かなければならない。
家に帰ると私宛に封筒が届いていて、中には離職票が入っていた。ついに私もハローワークに行かなければならないタイミングが来たのだと思うと少し緊張する。私は今までに経験したことがないことにチャレンジする時、緊張してしまうタイプなのだ。
緊張する、と言うと大丈夫だよ、と夫に返される。お金を貰いに行くと思えば気楽に思えるよ、と言う。今までに払ったお金を取り戻しに行くんだと。夫は私の心の安寧を保つことが出来る数少ない人の一人だ。彼が居なかったら、私は一生仕事を辞めていないと思う。
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