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バレエはオリンピックの種目に入れることが出来るか?

 毎日熱心にオリンピックを見ています。開会式が始まる前まで、正直私は全くと言っていいほどオリンピックに関心がありませんでした。まあスケボーが見たいかなあ、強いて言えば。みたいな姿勢。スポーツマンシップの欠片もない態度でした。

 ところがどっこい始まってしまうと何故かはまって一日中ずっと見ています。仕事中もテレビはつけっぱなしにして、気になる競技を確認。それが終われば別のチャンネル。お風呂時間も協議開始時間に合わせて入り、テレビ前にスタンバイ。自分がこんなにも真剣にオリンピックを見るとは思ってもみませんでした。

 そんな中行ったこの前のnoteのクラシックバレエの発表会。終わった後にまたオリンピックを見ながら、

ダンスはスポーツには入れられないのか?

 という疑問がふつっと湧きました。なので今回はそれについて考えたいと思います。

 最近はそれこそKPOPとか、ダンスが体育の授業で行われるようになった影響もあって、ダンス自体メジャーになってきてますよね。それに伴い、ダンスコンテストがテレビで放映されたりなどもするようになりました。もちろんクラシックバレエにもコンクールという形式で順位を争うイベントが存在します。

 一番有名なのがスイス・ローザンヌで行われるPrix de Lausanne、これは一般的にもかなり周知されているコンクールだと思います。そもそもバレエのコンクールってどういう風に順位付けしているのか?と思い、ローザンヌの公式サイトを見てみました。

https://www.prixdelausanne.org/competition/candidates-info/#tab2

 募集要項的なものを見ましたが、採点基準の説明書きはありませんでした。ですが最初にビデオ審査があり、そこに合格すれば実際にローザンヌに行って審査を受けることが出来るので、そもそもビデオ審査の時点で何かしらの審査基準に従って、バレリーナたちは点数を付けられているはずなのです。

 要するにクラシックバレエに点数はつけることは出来る。それなら競技として成立するのではないでしょうか?

 オリンピック冬季に開催されるフィギュアスケートは氷上の芸術とか言われたりしますが、この競技には技術点と構成点というのが存在し、構成点には表現の点数も入ります。もちろんクラシックバレエも同じで、技術が高いというのは目に見えてわかりやすいものです。ずっと回っていられるとか、誰よりも高く飛ぶとか、そういったことはわりと点数化しやすい。

 一方フィギュアの構成点に値するような、バレエそのものの表現力はどのくらい点数を付けられるものでしょうか?バレエといっても様々あり、先ほどから私が連呼している「クラシックバレエ」というのは名の通りクラシックなもので、何百年も踊り継がれているものです。基本的に物語があって、役柄にが各々与えられ、その役を演者が解釈して踊ります。

 コンテンポラリーダンスというのはまたちょっと違って、これもローザンヌで出演者が躍らなければならないバレエのジャンルですが、これはストーリーが全く明確じゃない。見ただけでは役もわからないし、そもそも役名はないことの方が多い。ちょっと奇怪な振り付けや独特の音の取り方がある、近未来的な踊り方です(だからコンテンポラリーといいますが)

 ここまでを振り返ると、クラシックもコンテンポラリーも両方技術的な点数は確実に付けられる。ちょっと不明なのが芸術性に点数をつけられるかということ。この話は大分難しい。AさんとBさんという審査員が同じ演者を見たとして、Aさんは気に入ったがBさんは気に入らない、ということがまかり通る世界がバレエです。踊り方にはそれぞれ個性があり、また流派や国によっても同じ役柄に別の解釈を持つ場合さえある。要は100人100通りの意見を持つことが出来ます。この点数化は難しい。

 技術点のみでバレエを採点するというのはもはやバレエの良さを損なうことに繋がります。技術力に欠けるが何故か心が動いてしまう、見ていて感動してしまう、というダンサーも多い。演技力がものをいう世界でもあります。オリンピックを見ていて、メダルは取れなかったが感動的な試合をしたとか、素晴らしいスポーツマンシップを見ることが出来る選手がいたとか、そのような感覚でしょうか?

 バレエをオリンピックの競技に入れることが出来るかどうかという問いに対する答えは、「入れることができるだろう」というのが私の見解です。ただその点数が実際のダンサーの価値では100%ない。バレエと表現は切っても切り離せないので、「芸術点」にどのような基準で点数を付けるのか、という部分を練れば、競技として成立しないジャンルではないと思います。

 十数年後にでも、バレエじゃないにしてもダンスが競技としてオリンピックに入っていたら面白いですね。そのくらい「踊ること」が世間に周知されていればいいなあ。

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