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キャリア形成について クランボルツと考える(2)

前回の続きです。いい偶然を引き寄せるためにはどのような要件があるでしょうか。クランボルツはそれを5つのポイントにまとめています。

好奇心・粘り強さ・柔軟性・楽観性・リスクテーク

この中で私が最も重要だと思うのが「好奇心」です。

好奇心とは何か?

好奇=珍しい物事などに強く興味や関心を向けること。
新明解国語辞典 三省堂

卑近な例ですが、就職活動で言えば、キャリアセンターの壁に貼ってある求人票を見て、「どこの会社の求人だろう!?」と興味を持つことです。新聞のテレビ欄を見て「いつもはこの時間、このバラエティ番組みてるけど、このビジネス番組も見てみよう」と録画することもそうだと思います。とにかく就職活動に関することに「好奇心」を持つことが「いい偶然」を引き寄せる第一歩だと思います。

そもそも、どうすれば高いレベルの好奇心をずっと維持することができるでしょうか。人の好奇心には一種の臨界密度があります。好奇心と言うのは要するに質問を沢山持っているということですね。そして、これは前にも述べたことですが、質問というのは、わかっていないから生まれるのではなく、わかっているから生まれるものです。ですから、学ぶことで、「分かっている領域」の境界線が宇宙に向かって少しずつ広がっていくにしたがって、質問の数はどんどん増えていきます。知識豊富で創造性豊かな人ほど好奇心旺盛なのはそのためです。
『外資系コンサルタントの知的生産術』山口周著 光文社新書 

好奇心について、もう少し考えます。上記の様に、高いレベルの好奇心は「質問量」に比例します。「なぜこの会社のここはこうなんだろう?」「他社と比べてなぜここが違うんだろう?」。「なぜ?」「どうして?」と考えること。そしてそれを調べることで、自分が考えてもいなかった、思わぬ業界や企業に巡り合うことだってあると思います。
まずは好奇心です。興味を持ち、疑問を持つ姿勢を大切にして下さい。

さらに、「粘り強さ」と「柔軟性」について考えてみましょう。この2つの概念は矛盾していると思いませんか?これについて、私の考えを書きたいと思います。

ある物事を極めるには粘り強さが必要です。このことは以前のブログで書きました。石の上にも3年。できれば10年以上同じ仕事をやることで、やりがいが分かってくるのではないでしょうか。10000時間の法則と言うのがあります。イギリス人のマルコム・グラドウェルが提唱した哲学で、「特定の分野で世界的な一流になりたいのであればそれには1万時間の練習や実践が必要」ということです。1日9時間働いたとして、10000÷9=(約)1111。1年365日×3年=1095ですから、やはり3年ちょっとは何かを続けない限り、ものごとは身に付かないことになります。

一方で、どうしても仕事が合わない。もしくはもっとほかの物事を身につけたいと思うのであれば、執着せず、新たな場所でチャレンジする柔軟性も必要と言うことです。

私のキャリアもそうでした。学生の時に内定した会社の研修で、どうしても合わないと思い、その会社を辞め、今の会社で13年働いています。

計画通りに進まない物事に取り組むにあたって、主に2つの選択肢があります。(1)忍耐強く、何度も挑戦する。(2)他の事に挑戦する。どちらに進むかはあなた次第です。ある意味、戦うか、飛ぶか、と言うイメージです。正しい選択はありません。どちらの場合でも失敗から学ぶことができます。
『その幸運は偶然ではないんです!』J.Dクランボルツ・A.Sレヴィン ダイヤモンド社

とは言え、できるだけ新卒で入社する会社でミスマッチを起こさない様にしたいものです。どうすればミスマッチを避けることができるかは非常に難しい問題だと思います。なぜなら、会社説明会や面接だけでは、その企業のほんの一部しか理解することが出来ないからです。だからこそ、少しでも企業を深堀することが大切です。OB・OG訪問や、内定先での研修(アルバイト)がそれに当るでしょう。それでも、会社を見極めるのは難しい。やはり決断にはリスクが伴うのです。これについて、クランボルツの共著書を引用したいと思います。

新しいことをやるときには、リスクがあります。結果がどうなるか、前もってはわかりません。もし、どうしても結果を知っておきたいと思うのなら、ひとつだけできることがありますーそれは何もしないことです。何もしなければ、確実に何も起こりません。つまり、リスクを取ることには、大きなメリットがあるということです。とはいっても、あなたが考えていることが聞こえてきます。「それはそうだけど、もし失敗したら?もしやってみて嫌いだったら?」。たしかにそれは起こりうることですが、もし実際にそうなったら、どうでしょう?行動を妨げる大きな障害のひとつは、失敗への恐れですが、失敗はそんなに悪いことでしょうか?たしかに、失敗すれば、お金と時間と労力が無駄になるかもしれません。しかし、どんなときでもあなたは自分自身や周りの世界について何らかの学びを得ているのであり、リスクを取って時々失敗してみることから得られるものは大きいのです。
『その幸運は偶然ではないんです!』J.Dクランボルツ・A.Sレヴィン ダイヤモンド社

まとめます。「いい偶然」がキャリア形成には大切。そのためには「好奇心」を持つこと。そして、仕事に就いたら「粘り強さ」が必要。それに反して仕事を変える「柔軟性」も必要。選択は「リスクテーク」。失敗したら次に生かそうという「楽観性」が大切と言うことです。

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