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【ココロコラム】言いたいことが言えない~【他者配慮性】が強すぎる人へ

今回はココロコラム『言いたいことが言えない~【他者配慮性】が強すぎる人へ』全2回シリーズをお届けします。

1回目分までは無料で読めます。続きが気になった方はご購入お願いいたします。

言いたいことが言えない~【他者配慮性】が強すぎる人へ(1)

人間の集団には大きく二つのタイプがいる


人間の集団には、大きく分けると二つの構成メンバーがいます。一つの群は、一見ずうずうしいまでに自分の意見を押し通し、集団内で常に目立とう、誇示しようとするタイプです。集団を引っ張っていく強い牽引(けんいん)力を持っていますが、突出しすぎて浮くこともあります。

もう一つの群は、どうも言いたいことが言えず、集団内で目立とうとせず、結果として集団内の地味なポジションにおかれたり、損な役回りばかり引き受けているタイプです。あれこれ不満もあるけれど、黙って自分の胸のうちにしまっておき、淡々と日常を処理していく、人間関係の調整役に徹する、昔ながらの日本人タイプです。どちらかというと、後者のほうが数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

言いたいことが言えず、溜め込むのは精神医学的に好ましくない

実は、言いたいことを溜め込み、自分ひとりで処理しようとするのは、精神医学的にあまり好ましいことではありません。どんな精神疾患でも、必ずと言っていいほど「言いたいことが言えない(言えなかった)」というのが、背景に潜んでいます。

そして、それを指摘しても、いったん心が落ち込んでしまうと、なかなか言いたいことを言えるようになるのは難しくなってしまいます。わかってはいるけれど、いざ人前に出たり、集団の中に入ってしまうと、主張を切り出せないということになりがちです。うつ病や適応障害を長引かせる原因の一つが、自己主張ができないことにあります。

自己主張をしないと結果的に損をする

過度な自己主張は集団で嫌われるもとにもなりかねませんが、かなりの人が、嫌われるのを恐れすぎて、なるべく自己主張しないように警戒しすぎているきらいがあります。

例えば、仕事の昼食の店を決めるとしましょう。「なんでもいい」と言っている人がけっこういると思います。皆さんもその一人かもしれません。自分からどの店がいいとは言わない。すると誰かが「今日はあの店にしよう」といえば、その意見が通ることになりがちです。

昼食ぐらいならいいのですが、問題はこの構図が仕事や人間関係にもそのまま現れてしまいがちなことです。ふだんから昼食などささいなことで意見を主張しなれていると、「この仕事はこう進めたほうがいいと思います」と、仕事などの重大な意見も、通りやすくなります。

その結果、集団はいつも少数の意見を言う人と、それにいくばくかの不満を抱えながらも従う人に分かれていきます。そして、前者はますます意見を言いやすくなりますし、後者の人たちはますます意見を主張する場が乏(とぼ)しくなっていってしまいます。その結果、いつのまにかストレスがたまっていってしまいます。

これは恋人や夫婦でも同じことが言えます。日常の何気ないことを主張しなれている側が、イニシアチブを握ることが多いものです。すると、何かもめたときに、イニシアチブを握っているほうの発言力が強く、結果的に言い分を通すことが多くなります。

つまり、嫌われたくないと思うあまりに、自分の意見を控えめにしていると、嫌われないメリットはあるにしても、それ以上に大事な場面で自分の思いが反映されないため、結果的に損をします。そして、このような損をしている人が実に多いのです。

主張すべきことは主張していくように変えていこう

専門用語で言えば【他者配慮性】が強すぎ、うつ的感情が生じやすくなってしまいます。もう少し図々しく世渡りをしていいと思います。言いたいことが言えないとか、お人好しとか、目立つのが嫌いだと思っている人は、一度自分を振り返り、主張すべきことは主張するように、少し自分を変えていく必要があります。

では具体的にどうしていけばいいのか?それは次回に考えていくことにしましょう。

(精神科医・西村鋭介)

ココロコラム『言いたいことが言えない~【他者配慮性】が強すぎる人へ』は全2回シリーズです。1回目を無料でお届けしました。続きが気になった方はご購入をお願いします!

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