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サンフランシスコ・ベイエリアでもシニアエンジニアは不足しています

ただの補足ですけど、中堅エンジニア(シニアエンジニア)が不足しているのは日本だけではなくアメリカもそうです。これはやはり、どこの会社も戦力になるエンジニアの確保には苦労しているということです。

僕が日本にいた頃と今は状況が違うかも知れませんが、僕は日本では偉いのは企業で労働者は下に見られている印象がありました。退職するのはだめな社員、クビになるのはスティグマ(個人に非常な不名誉や屈辱を引き起こす刻印)で、会社には入れていただくもの、みたいな感じがありました。もちろん複数内定取れて選べる立場の人もいるのですが、そういう人も面接を受けるときは平身低頭だったと思います。「俺が面接を受けるんじゃない、俺が企業を面接しているんだ」みたいな人はあまりいないんじゃないでしょうか。

・30代中盤まで
・3社以下経験
という採用フィルターについては個人的に
「昔厳守する企業ありましたね」
「懐かしいですね」
と秒で切って捨てるレベルになってる。

結婚相談所で男性会員が女性会員につける条件みたいなことを言っていた時代もあるのですね。あったのは知っています。転職は罪、若いことが大事みたいな会社。あまりいいたとえではないと思うけど「床上手の若い処女」を求めていたような時代もありました。そんな人滅多にいるわけないのにね。

ジュニアエンジニアは新卒か、第二新卒くらいのエンジニアです。僕の見たところジュニアエンジニアは玉石混交で、入社後即戦力になるような人もいる一方で「(給与が高いから)ソフトウェアエンジニアになりたいんです!」というだけの全然だめな人も相当いる感じです。つまり選考が大変だということです。

私と同様、この著者は、プログラミングの仕事への応募者200人中199人はコードがまったく書けないということで苦労している。繰り返すが、彼らはどんなコードも書けないのだ。

まともな人は200人に1人というのは大げさな気もしますが、概ねこういう業界なのは間違いありません。

少し前に大学生と喧嘩していたのですが、彼は「履歴書の技能欄にVSCodeとか書いとけって大学で言われましたよ!」と言うのです。僕は経験上、技能にテキストエディタを書いている人はやばいと思うのです。プログラミング言語とかフレームワークをたくさん並べている人もあんまりいい印象はないけど、テキストエディタとかOSとかは本当に嫌な予感しかしない。

これも諸説ありますがアメリカの履歴書は1枚に収めるように書きます。経験のすごく多い人は数ページに渡ってもいいのですが、ジュニアとかシニアくらいなら1ページがいいのではないでしょうか。

そうすると人によって異なる問題が出てきます。経験の少ない人は「1ページも書くことがないよ」となります。そうすると空白を埋めるために技能欄にVSCodeとかSublime Textと書きます。プログラミング言語の欄に名前を聞いたことのある言語をずらずら書きます。フレームワークなどもそうです。

できる人は「1ページじゃ収まらないよ」という逆の悩みを抱えています。仕方がないから文章を圧縮して短い文で自分の能力をアピールします。そういう人が特技欄にVSCodeと書くでしょうか。できる人の履歴書は簡潔な表現から能力を漂わせます。

履歴書に関しては読み手がエンジニアかリクルーターかによっても変わると思います。リクルーターは「iOSの開発経験5年以上」とかそういう点に着目しがちです。これはリクルーターは多くの場合はエンジニアではなく、エンジニアの能力を見極めることができないからです。

ですからリクルーター相手の履歴書は「言語:Objective-C, Swift, Kotlin, Java, Dart, Flutter(言語じゃないけど)」のようにキーワードを散りばめることが大事になるかも知れません。一方でエンジニアは、たぶんSwiftできるやつならKotlinだってできるだろうと考える人も多いのではないでしょうか。最初の数ヶ月は「Kotlinでオプショナル剥がすのどうやるんだっけ?」とぐぐることもあるでしょうが、すぐに慣れます。

ジュニアエンジニアでもプログラミングが好きで中学生の頃からガッツリやってきたような人もいますし、専門学校で3ヶ月ほど叩き込まれたけど、それ以前は1行もコード書いたことのないような人もいます。ある会社で前者のようなジュニアをうまいこと見つけ出すことができれば、シニアにそれほど拘らなくてもジュニアだけで十分採用できると思います。

どうやって見つけるか?一つのヒントはプログラミングコンテストだと思います。コンテストの常連は学生でもコードを書く能力の高い人は相当いる一方で、普通の採用網には引っかかってこないこともあります。

今は違うかも知れないけど、昔は大学3年生の夏休みにインターンを入れるために3年生の5, 6月はリクスー着て説明会やら企業巡り。終わると製薬とか外資の秋冬採用、年明け2, 3月には日系企業、4年生4月からは一般企業の採用〜みたいに採用時期がありました。これを見逃してしまうと枠が埋まってしまうので入社が難しいという問題がありました。

昔はこういう就活戦士みたいな人を企業側が「優秀な学生」とみなして積極的に採用していたと思います(そうでなければ多額の予算を使ってそういうイベントを開かない)。確かに情報感度が高く、得た情報に基づいて積極的に動ける点では優秀な人と言えるのかも知れませんが、その一方で失うものも相当あったはずです。例えば交換留学のチャンスがあったのに就活時期に重なるから見送ったとか、就活ばっかりで授業サボって代返頼んだとか。企業は人の集まりで、その人を採用する際の基準に就活戦士を選んだ結果が、失われた30年、日本が国際的に競争力を失った一因ではないかとすら思います。

プログラミングがすごくできる学生の中には浮世離れしていて、気づくと4年の6月みたいなことになっていて、仕方ないからGoogleでも行くかという変な現象が起きます。ネットで就活偏差値とか見ている就活生には奇妙に映ることでしょう。こういう学生をうまく採用できればジュニアだけでも十分な質と量を確保できると思います。

追記:検索したら就活偏差値2021みたいなのが出てきて、20年進歩していない感じがしました。そもそもテレビ局の適性とGoogleの適性が同じわけがないのに「偏差値」という1次元的な軸を当てはめることがナンセンスで「東大理1目指していたけど、〇〇大学医学部も合格圏内だなー、どっちにしようか」という高校生から進歩がないと思います。しかも「自慢し放題」とか「勝ち組」とか「人生勝ち逃げ」みたいなゾーンが設けられていて、今の時代は大企業に入ったらそれで人生アガリではないのに、これを書いた人は価値観40年アップデートしていないおっさんかと思いましたよ。でも若い人は人生経験が少ないので上の世代の意見に影響されておっさん化しやすいのも確かです。若い人はおっさんの価値観を無批判に受け入れないようにしましょう。

ジュニアでも即戦力の人材を見つけるには、たとえばAtCoderとかでプログラミングコンテストを開催することです。1回あたり100万円〜200万円くらいかかりますが、何でもリク◯ートとかでも一人あたりの採用コストは100万円くらいになるらしいので、悪くない話だと思います。

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