見出し画像

妹へ。

父が出張に行くと、両親のベッドは、母だけのベッドになる。小学生の妹はよく、自分の枕を持って、空いている母の隣へ眠りに行っていた。

妹は中学に入るくらいまで、家族の中で天使と呼ばれ、可愛がられていた。何かと神経質で手がかかると言われた私と比べ、妹は小さい頃からあまり手がかからず、母の癒しだった。
けれども、あまり学校生活や友達の話をしない子どもだった。

中学に入るとそれは顕著になり、私たち家族は、彼女にとって大きな出来事は聞くことがあっても、学校生活について詳しく知ることはなかった。

高校に入っても変わらず、母がママ友から、学校生活や先生の話を聞くことも多々あった。
親によく話をするタイプの母や姉と、自分は違うんだ、ということを態度で表現しているようだった。

大学に入ってからは、隠れて、私たちの想像にも及ばないことをしていた。
あなたを人として見ることなく、女や金としか見ない世界があることを伝え、自分を大切にして欲しいことを伝えると、心を閉ざしてしまった。

悩みや、考えていることは全て友達に話し、大学に行かない日は、昼過ぎまで寝ており、起きてもほとんど自分の部屋にこもっている。
実家にいることがストレスのようで、本当は家を出たいが、金銭的に難しいため叶わず、普段から不機嫌なことが多い。

私は妹に気づいてくれたらいいな、と思う。
家族がいて、家があることが当たり前ではないこと。
自分の行動で、簡単に家族を危険に晒してしまえること。
家族は味方だから、あなたを否定することはないこと。
あなたのその体は、お父さんとお母さんが大切に守ってきたものであること。
自分を大切にすることが、周りの人を大切にすることでもあること。

何年も気づかないかもしれない。
はっきりと気づくのは、後悔する時かもしれない。
そうなってほしくない。

あなたから、もう少し言葉を聞けたら、と願っている。
あなたを否定することは生涯ないのだから。

あなたと対等に話がしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?