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それで良いのか日本のアフターコロナ①

新しい生活様式(ニューノーマル)についてのCMなどを見て「それで良いのかな」と思うことがあります。「会食を避けましょう」「ソーシャルディスタンス」ほんとにそれだけで良いんでしょうか?

イギリスではコロナ以前の「オールドノーマル」に戻りたくないと答えた人が90%で、多くの人が公平な社会のためならもっと税金を払うという考えだそうです。

 ちなみに、「でも日本ってそもそも格差なくない?」「言ってもほんの一部の人でしょ」という意見もなかなか多いので紹介しておくと、日本の片親家庭の相対的貧困率はOECDの中で群を抜いて一番で、54.6%(2017)と、他の先進国とは比べものにならない高さです。そしてこれは子どもの学力にも大きく影響します。(つまり貧困も連鎖し得るということです)
 世帯収入と子どもの学力(正答率)は比例します。小学6年生の2013年の正答率のデーターについて、いくつか平均を書いておきます。
世帯収入が200万未満(国語46%、算数56,4%)
世帯収入が700~800万(国語58,6%、算数70,9%)
世帯収入が1500万以上(国語68,5%、算数78,5%)

こんなにきれいに比例します。世帯収入が変わると、学校以外の教育にかけられるお金だけでなく、親が子どもに絵本を読んであげられる時間、勉強を手伝える時間、お話しできる時間、朝ごはんの内容など、学力に影響する色々な要素が変わってきます。

 よく「頑張ったから勉強が好き。」「頑張ったから良い大学に入れたし、頑張ったから良い仕事につけた」と思ってしまうけれど、本当に「頑張った」だけが要因なんでしょうか?

 この前育児放棄で子どもが亡くなってしまったニュースがありましたが、そういう時のテレビでの報道に社会の責任を問うものってなかなかないですよね。「かわいそう」「子どもを持つべきじゃなかった」と、いつも母親が批判されるだけです。

でも実際、貧困家庭にはものすごいリスクがあって、2006年に虐待で児童が死亡したケースのうち、「生活保護世帯」「市町村民税非課税世帯」「市町村民税非課税世帯(所得割)」を合計した割合は84.2%です。もちろん虐待を擁護するわけではありませんが、社会にも責任があって、「かわいそうに」と他人事で済ませられる話ではない気がしています。

 そして、よく聞く「夜の街」という言葉。これにもすごく排除の意識が込められていると感じます。彼らは遊んでいるんでしょうか?税金を払ってない人が多いから助けなくていいのでしょうか?そういう場所で働く人の中には、本当に税金を払えないくらい困窮している人もいます。

 日本社会は、社会の責任を個人や特定のグループに求めてしまって、本当の原因となっている社会の問題に気が付けないことが多いように思います。貧困は自己責任で、虐待は親だけが悪くて、税金を払えないのは払えない人が悪いのでしょうか。絶対にそうではないと思います。

だからこそ、だれかを責めて終わりではなく、一つひとつの問題の根本的な原因を探って、ただのソーシャルディスタンスで終わらないニューノーマルを考える必要があると思います。

 参考にしたサイトや記事はこちらになります。

国立大学法人お茶の水女子大、(2013)、全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究
読売新聞、「日本のシングルマザーの貧困率が突出して高い理由」、2018/10/17 07:00
認定NPO法人3keys、「データで見る子どもの貧困と虐待」、2016/07/21
今野晴貴、「貧困は本当に児童虐待の原因か?データと事例から探る」、2019/5/18
●朝日新聞、「外出自粛、夜の街困窮『自宅の家賃払えるか心配』JR郡山駅前の繁華街/福島県」、2020年04月17日
●「コロナ禍も生きるため営業続ける性風俗店で働く人 千葉・栄町/千葉県」、2020年05月24日、朝日新聞朝刊

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