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マイクロファイナンス、自立支援に必要なこと

昨日、再度早川さんに連れていただきキベラスラムに訪問しました。
この日は仕事を得るためにスキルを学ぶMCC(Magoso Community Center)という施設のオープニングセレモニーでした。
当施設では、スラムで生きる術を失っている人々を優先に髪結、ネイル、洋裁、プログラミングの教育を提供しています。
キベラスラムにて自立を支援する環境が新しく誕生した大いに記念すべき日でした。

この機会にあらためて早川さんにスラムで自立を支援するために必要なことをお聞きしてきました。
個人的に自立支援の一つとしてマイクロファイナンスに注目しているので、早川さんが行なっているマイクロファイナンスとそこからわかる自立支援に必要なことをまとめていきたいと思います。

マイクロファイナンスとは

無担保で少額融資を行う小口金融サービスをマイクロファイナンスと呼びます。
主に経済的余裕がない方向けのサービスであり、
担保にできるものが無いため少額から融資を受けて事業を始め、返済と融資を繰り返すことで事業を大きくしていくといった循環を生み出します。
金融サービスとして収益を上げることで、より多くの方々に継続的に自立できるきっかけを提供できます。

これまではグラミン銀行や世界銀行がマイクロファイナンスの提供元として有名でしたが、ここ数年で徐々に提供企業が増えてきました。

(wikipediaを載せるのはけしからんというご意見もあるかもしれませんが、、初めて知っていただくきっかけとしてわかりやすくまとめられているので参考として掲載します。)

キベラスラムの生活水準

ケニア最大のスラムであるキベラでの生活水準は、世界銀行が極度の貧困層と定義している1日1.9ドル以下に該当します。

マイクロファイナンスはあくまで持続可能なビジネスとして収益を上げる必要があるため、融資額が少なすぎたり人件費がかかりすぎるとどうしても事業を継続できないという課題があります。
そのため極度の貧困層の方々にはまだ十分にマイクロファイナンスを届けられていないのが実情です。
当課題を解決するためには、経済の底上げから寄付や対面でのサポートまでマクロとミクロの両方を進めていく必要があります。

マイクロファイナンスを提供されている五常・アンド・カンパニーさんでは財団を立ち上げ、これまでサービスを提供できなかった貧困層の方々にも金融サービスを届ける取り組みをされています。

ケニアに進出しているマイクロファイナンス事業にTalaというサービスがあります。
こちらもまだスラムにサービスを提供できる状況ではありません。
古い記事ではありますが、事業概要がわかりやすくまとまっているので掲載させていただきます。

早川さんが行うマイクロファイナンス

早川さんは長年マゴソスクールの運営をしながら、自立支援のためにマイクロファイナンスをされてきました。
生活水準が極度の貧困層と定義される場所でどのようにしてマイクロファイナンスを運営されてきたのかお話を伺いました。
まず、仕組みとしては以下のような流れで融資と返済を進めていくそうです。


  1. 20人ほどのグループを作る

  2. それぞれに生い立ち、夢ややりたい仕事を語っていただく

  3. グループ内での知見を共有してやりたい仕事をどうやったらうまくいくか話し合う

  4. 市場リサーチを個々に行ってきてもらい事業計画を立ててもらいプレゼン/フィードバックし合う

  5. グループメンバー各個人に500 Ksh(約560円)を融資するが返済は連帯責任とするためグループ内でメンバー構成の話し合いをする

  6. 融資が決定すると月に50 Kshを返済していただき脱落した方々の分は連帯責任で返済してもらう

  7. 完済すると倍額を融資して返済していただくサイクルを繰り返す


見ていただくとわかる通り、とにかく時間を要して話し合われています。
グラミン銀行の融資でもかつてグループによる連帯責任制を用いていたそうですが、そのシステムは破綻してしまったようです。
以下の記事にも記述されている通り、グループ内での軋轢や個人の意図的なデフォルトなどが原因なようです。

早川さんの場合、密な話し合いに加えて長年マゴソスクールを運営してきた信頼が地域に根付いています。
よって早川さんを裏切りたくないという強い意志のもと、人々は融資を受けにきているようです。

自立支援に必要なこととは

マイクロファイナンスに限らず、自立支援に必要なことは支援する側から根気強く時間をかけて信頼を築くことだと感じました。
簡単にお金だけで解決できたり、効率的に行えるものではないと思います。
実行する方の強い意志や信念、使命感が必要になると感じました。

それぞれ自分が守りたい家族や生活がある中で、どこまで貧困問題に当事者意識を持つことができるのかは難しい課題だと思います。
あの人寄付しないんだ、、といった寄付の押し付け合いのようなことが起きることもよくないと考えています。

各々の生活フェーズが移り変わっていく中で価値観を養っていき、
貧困問題について知るところから始めて、
強い意志や信念を持っている方々を支えたいと思う土台ができて、
可能な範囲でご支援や情報の共有をしていただければ素晴らしいことだと思います。

感想、気づき

今回の早川さんからのお話を通して
救いの手を差し伸べなければ死んでしまいそうな人々を助けて、自立するところまで見守るという早川さんの強い意志を感じました。
また、マゴソの学生さんが自己紹介をする際には夢を発表するようにと早川さんはおっしゃいます。
マゴソファミリーの方々は苦しい経験をたくさんしてきたけれど、そこから夢を持って自立していっています。
それを実現しているマゴソスクールやその運営に携わっている方々が本当に尊いです。

また今回のお話を通して、今後極度の貧困層の方々にマイクロファイナンスを届けるには学校やその地域のコミュニティと連携できると良いのではと思いました。
五条・アンド・カンパニーさんは現地のマイクロファイナンス機関と連携してサービスを届けておられます。
その理由は、現地の機関が地域のマイクロファイナンス事情を良く知っており、地域の住民とすでに繋がりを持っているためだと理解しています。
極度の貧困層の方々はまだマイクロファイナンスに触れられていないため、すでにあるコミュニティと連携できれば融資する側の信頼を少なからず担保できるかもしれないと思いました。
そして企業は資金、人材、テクノロジーを提供できるためより多くの方々に融資を届けることができるようになります。
とはいえ企業体力を考慮するとまだ引き続き寄付や財団による助けが必要となりそうですし、なによりもこれまで培ってきたコミュニティの信頼を裏切ることがないような仕組みや関係作りが非常に重要になると思います。

今回は以上となります。
まだまだ私も勉強不足なので、書いていることが間違っていたりご意見があればコメントや各種SNSにてご連絡いただけますと幸いです。

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