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オシドリの巣立ちに、ハラハラドキドキ……!|愛しい北海道ANIMALS

この連載愛しい北海道ANIMALSは、北の大地に暮らす動物たちを24年間にわたり見守り続けてきた結びさんによるフォトエッセイです。そんな結びさんの撮影する動物たちの姿は、おもわず息をのむほど美しかったり、可愛らしかったり、ときに猛々しかったりします。

今回は偶然に出会ったオシドリの巣立ちをご紹介します。初めての経験でしたが、可愛いヒナに出逢う時は自然の厳しさを知る瞬間でもあります。この2羽のひなはカラスの攻撃を逃がれ、無事に川までたどり着けました。

最初はオシドリのメスがカラスに向かって怒っているとしか思っていなかった私。一度立ち去りましたが数時間後、気になって戻ると樹の根元にメスとヒナが1羽いたんです。そしてそこには、待ち構えるように2羽のカラスも。母さんオシドリは初めヒナを1羽だけ連れて歩き出しましたが様子が変です。すると、もう1羽が出てきて無事に合流し3羽で歩き出しました。母さんはいつでもヒナを隠せるよう体勢を低く羽を広げながら、早足で背丈の高い草の中へ。しばらくその場から動こうとしませんでした。

この時は巣から出たばかりだと知りませんでした。羽を広げる母さんオシドリと、カラスが狙っているのに虫に興味を持っちゃうヒナ (この2羽は無事に巣立ったヒナです ※動画より切り出し)
背丈の高い草に隠れています。ヒナがいるのが見えますか?

その後、カラスの待つ樹の下に、さらに2羽のヒナが出てきてしまいました。本来、自然界のことに手を出すべきではないのですが、以前オシドリのヒナが巣立ったそばからカラスに全部連れ去られたという話を聞いたことがあり、じっとしていられませんでした。

後から巣立った1羽をカラスに連れ去られる前に捕まえ、母さんの元に戻そうとしましたが、すでに親子は隠れていた草むらからは移動していました。しばらく探しましたが、油断したすきにせっかく捕まえていたヒナをカラスに連れ去られてしまい、母さんにもヒナにも申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

今回は偶然の出逢いでしたが、人間がそばにいることで、巣の場所を知られてしまうリスクもあります。そのことをよく頭に入れ、動物の撮影はいっそう気をつけなくてはと思いました。

カモの子育てはメスだけと書かれている資料もありますが、母さんマガモがヒナを私に託して(?)、オスを連れて戻って来たことがあります。オシドリのオスも、川で合流して子育てを手伝っているのかもしれない。父さんオシドリに「次はあなたが守ってね」と伝えたい、そんな出来事でした。

一緒にいることが多かったオシドリのオスとメス

ここからはおまけ。花と野鳥とニホンミツバチです。

赤い色が目立つベニマシコ
この子も多分子育て中
なぜかひょうきんに感じてしまうオオジシギ
道路を横断中に慌てて撮ると親子でした
ハマナスとナワシロイチゴの蜜集めに忙しいニホンミツバチ

この日の野鳥は、ほとんどが子育て真っ最中だったらしいのですが、可愛いヒナは後ろ姿のオオジシギだけです。子供の頃から鳴き真似をしたり親しみのあるオオジシギでしたが、ヒナを見るのは初めて。ただ道路を横断する一瞬のことなので後ろ姿しか撮影できず残念でしたけど。

これからも親子に出逢う機会はあるでしょう。そして自然界の厳しさを目撃してしまうことも。彼らは一生懸命に生きています。少しでもそんな彼らのお邪魔にならないような撮影をしていきたいと思います。

最後に私曰く、やっぱりカラスは最強。そんな彼らも子育て中だったかも。

文・写真=結び

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全68種のかわいくて素敵な動物が勢ぞろい
北海道の野生動物をとらえた写真集

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愛しい北のANIMALS 優しい時間』結び 著

人気のシマエナガや「エゾのつく」リス、モモンガ、シマリス、ナキウサギ、珍しいオコジョなど、北の大地でしか出会えない野生動物たちに、迫力のシャチ、フクロウの仲間まで多数収録。親子や赤ちゃんの愛らしい様子など、北の大地の素敵な動物たちの小さな物語やびっくりが隠れています。本の中には、白いエゾリスやエゾオコジョも出てきます。
撮影時の動物とのエピソードを描いたイラスト付きで、親子で楽しめる写真集になっています。23年間にわたり北の大地を撮影してきた北海道在住のフォトエッセイストが手掛けた、ほっこりと雄大さを兼ね備えた一冊です。

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