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愛しい北海道ANIMALS

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北の大地に暮らす動物たちを23年間にわたり見守り続けてきた結びさんによるフォトエッセイです。そんな結びさんの撮影する動物たちの姿は、おもわず息をのむほど美しかったり、可愛らしかっ… もっと読む
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記事一覧

なぜかひょうきんに見えるエゾリス|愛しい北海道ANIMALS

おひさしぶりです。北海道はまだ寒いよ~と思っていましたが、流氷を観に行った先で春の便り“福寿草”を発見しました。極寒の地にも春は来ているんですね。そんな寒いところに住む、なぜかひょうきんに見えてしまうエゾリスのがんばりをご紹介します。 トップの可愛い子は、まるで「よっ!」と挨拶をしているように見えますが、ポリポリとお腹を掻いているところです。 まだ雪もたくさん残る3月。マイナス二桁まで冷え込んだ早朝にエゾリスの活動は始まっていました。少し離れた所にその姿を発見!近づくと地

可愛くて綺麗な冬鳥、ベニヒワ|愛しい北海道ANIMALS

冬になると色々な生き物がもふもふとして可愛らしく感じます。人気のシマエナガはもちろんのこと、今回は冬に北海道に渡ってくる野鳥、もふもふで綺麗なベニヒワをご紹介します。メスは頭だけ赤く、トップに掲載したオスは頭と胸が赤いのが特徴です。ほっぺも赤くて可愛いですね。 ベニヒワは渡来地が定まっていないのか、毎年出会えるわけではありません。冬に小鳥の群れをみかけるたび、ベニヒワかな?と期待しますが、同じくスズメの仲間のマヒワと間違うこともあります。マヒワは顔や胸が黄色いのが特徴です。

2024年の始まりはもふもふ可愛いエゾモモンガ|愛しい北海道ANIMALS

あっという間に1年が過ぎ、また新たな1年が始まりました。この連載もついに20回目。今年は辰年ですが、辰はまだ撮影したことがないので……(笑)、おなじみの可愛いエゾモモンガです。 これまでエゾモモンガと会うために、どれだけ通ったかわかりません。そのうち撮影できたのは何日あったか……というくらい、むずかしい動物です。そもそも夜行性で真っ暗な中での行動だったり、野生動物にとって人間は警戒すべき相手でもあるので、逃げたり、隠れたり、巣穴を移動することも。そんな行動をとっているはずな

やんちゃだけど見た目は可愛いイタチの仲間たち|愛しい北海道ANIMALS

イタチの仲間と言って、まず思い浮かぶのはオコジョ。漫画にもなっているので知っている方も多いかもしれませんが、北海道には準絶滅危惧種のエゾオコジョがいます。今回は北海道に生息する3種類のイタチの仲間をご紹介します。 夏毛の茶色いエゾオコジョには出会ったことがありましたが、冬毛の白いエゾオコジョに出会えたのは、「会いたい」と願ってから5年後のことでした。ある時、ナキウサギの撮影に行ったら、素早い動きをする白くて小さな生き物を発見。もしかしてエゾオコジョ?と思って夢中でシャッター

がんばれ氷河期の生き残りエゾナキウサギ|愛しい北海道ANIMALS

北海道に生息するエゾナキウサギは氷河期の生き残りとも言われ、可愛く「ピッ!ピッ!」と鳴くのが特徴です。長年会いに行っているので当たり前の存在に感じていましたが現在は準絶滅危惧種に指定されています。 そして今年はさらにエゾナキウサギの貴重さを感じる年になりました。貯食で忙しいはずの時期、生息地に3 度足を運び、ようやく1 度の撮影。「野生動物に絶対はない」と思っている私ですが、鳴き声すら聞こえないこともあり今回はさすがに生態を少々調べました。 昼行性か夜行性か、それもはっき

魅力的な青い鳥たち|愛しい北海道ANIMALS

本当に暑かった今年の夏。北海道は涼しいと思って訪れたのに、あまりの暑さにびっくりした方も多かったのではないでしょうか。それでも季節は進むはずと、秋を探しに出かけ汗だくになってしまった9月。今回は、涼を求めに行った川で思い出した「青い鳥」のお話です。 野鳥が好きな方にとってカワセミは、一度は逢ってみたい鳥ではないでしょうか? 派手な鳴き声で水面すれすれを勢いよく飛ぶ青い姿を見かけたら、それはカワセミかもしれません。都会では身を隠さなくても撮影できると聞いたことがあります。でも

「よちよち歩き」で樹を上るエゾモモンガの赤ちゃん|愛しい北海道ANIMALS

写真を始めた頃は会えると思っていなかった、憧れの動物だったエゾモモンガ。あの可愛い姿を撮影するのはとても大変。やっとの思いで巣穴を見つけても夜行性の動物、警戒すると真っ暗になるまで出てきてくれません。撮影できるまでには本当に多くの時間を要しました。冬は深い雪の中、カメラが使えなくなるほどの寒さに耐えなければならなかったり、赤ちゃん誕生の時期には虫に刺されていてもじっと我慢するしかなかったり……。それだけに、うまく撮影できた時の喜びは本当に大きなものでした。 夜行性のエゾモモ

北海道の海で出逢える「可愛い」から「圧巻」まで|愛しい北海道ANIMALS

はじめは、大好きなシャチです。春から楽しみな知床羅臼のクルーズ。私はレンズ越しに観ることが多く、リアルな大きさを感じにくいのですが、オスは体長6~8m、メスは5~7mと、とても大きいんです。シャチの魅力は白黒のカッコイイ見た目にもありますが、その大きな体でスパイホップ(体を海面から出す行動)、ブリーチング(ジャンプ)、テールスラップ(尾びれを水面に叩きつける)など、いろいろな迫力ある動きをみせてくれること。また数頭の小さな群れ?と思っていると、みるみる増えていき横にずらっと2

魅力的なフクロウの仲間たち|愛しい北海道ANIMALS

トップの写真は、ふわふわでぬいぐるみのような、可愛らしい北海道に生息するエゾフクロウのヒナ。生き物の赤ちゃんはどれも可愛らしいのですが、エゾフクロウのヒナのふわふわした感じ、兄弟でいっしょのときの仕草、まん丸の目、どこをとっても「かわいい~」と言いたくなります。 ただ、こちらの成鳥のエゾフクロウも可愛い顔をしていますが、実はエゾモモンガを狙って静かに待っているところなんです。 私もエゾモモンガを撮ろうと待っていたのですが、いつのまにかすぐ近くにエゾフクロウの丸い頭のシルエ

憧れの“白い動物”たち|愛しい北海道ANIMALS

2023年5月13日。偶然、この日に羅臼の観光船に乗っていたこと。そして出航前に、丘の上からこの神秘的な白いシャチを発見してくれた方がいたことに感謝しかありません。 この日、船に乗ると白いシャチがいるらしいと聞かされ、数年前に数日違いで会えなかったことがある私としては、再び訪れた奇跡に胸が高鳴りました。シャチのいる場所へ着くまで期待と不安でドキドキの時間でした。 憧れだった白いシャチを目にした瞬間のことは、喜びのあまりよく覚えていないんです。ただ、小さな声でやった~と何度

日本は長い国 北海道の桜|愛しい北海道ANIMALS

桜の季節といえば……? よくイメージされるのは卒業式や入学式だと思いますが、道産子の私にとってはゴールデンウィークなんです。今年はニュースでも「観測史上最も早い開花」と耳にすることが多く、北海道でもそれは同じでした。 桜を観たかった私は、1週間早く函館方面へ向かうことにしました。 桜ってやっぱりいいね、と娘と会話しながらゆったり散歩。世界には「三大花木」と呼ばれる樹木があり、どれも咲き方や色がとても豪華ですが、私はやっぱり淡いピンクの桜が好きです。 最近は、多くの外国

ぴかぴかの一年生|愛しい北海道ANIMALS

北海道にも春の気配を感じるころとなりました。ぴかぴかの一年生が大きなランドセルを背負って学校に行く姿をみる季節。動物たちの世界でも、そのとし生まれのぴかぴかの一年生が今、育っているところかもしれません。 今回ご紹介する小さな子たちは『愛しい北のANIMALS 優しい時間』にも登場します。紹介しきれない可愛い赤ちゃんや、ほのぼのとした親子も本では、まだまだ出てきますよ。 親にとっては人間も動物も大切な子どもたち。観察させてもらっている私はその愛らしい姿にとても癒されていまし

雄大な景色と迫力のオオワシ、オジロワシ|愛しい北海道ANIMALS

これも温暖化の影響でしょうか? 雪のあまり降らない場所で多く降ったり、北海道でも気温の低さにびっくりする日もある今日この頃。私は今年、初の-26℃を体験しました。気温が低いと手や顔が痛いと表現されますが、それを通り越して皮膚に危険を感じ、直ぐに車に逃げ込みました。 今回は羅臼の観光船での撮影なので気温はそこまでは下がることもありませんが、どうしても寒い場合は船室があるので安心です。でも、乗船する場合は必ず防寒してくださいね!(※船の情報は各観光会社のサイトをご確認ください)

見た目も仕草も可愛いエゾモモンガ|愛しい北海道ANIMALS

はじめに、23年間の想いがやっと形になりましたので、ご報告させていただきます。長い間、私が癒されてきたANIMALS、皆さまにもそんな癒しを少しでも感じていただきたい、そして素敵な動物の一生懸命な姿を知っていただけたらと本を作りました。題名は『愛しい北のANIMALS 優しい時間』です。 この本にも登場するエゾモモンガ。 冬は寒さを乗り切るため数匹で一緒に暮らすことも多い夜行性のリスの仲間です。撮影するまで随分と探し回り、真っ暗な中でも、とっても寒い中でも何度も待ちました。