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【文房・文化閲讀空間】老家屋に息吹を吹き込んだ読書空間|『増補版 台北・歴史建築探訪』より(6)

台湾在住作家である片倉佳史氏が、台北市内に残る日本統治時代の建築物を20年ほどかけて取材・撮影してきた渾身作『台北・歴史建築探訪』。このほど発刊される増補版では、初版の171件に加えてコロナ禍でリノベーションしたレストランやカフェなど40件が追加されています。この連載では、『増補版 台北・歴史建築探訪』より一部を転載し、ご紹介致します。

 老家屋を利用した読書空間。日本統治時代の高級官舎が文芸空間として整備されており、好評を博している。これは台北市が推進している「老房子文化運動」の一環で、市民により多く、より自然な形で文化的生活を享受してもらうことを目的としている。

館内には数多くの書籍が並ぶ。蔵書は4000冊を超えるという。日本統治時代の古地図

 さいわいちょうは昭和時代に入った頃から整備が始まり、戦後も高級官吏が多く住んでいた。この建物も日本統治時代末期に建てられたものと推測される。和洋折衷様式で、広い庭には樹木が生い茂っている。

北向きの部屋では庭の緑を眺めながら読書が楽しめる。

 現在は読書を愉しむ公共空間となっている。図書室であると同時に、文化講座やイベント、講演なども随時行なわれている。館内にはソファーや椅子が随所に置かれ、くつろぎの空間が演出されている。こういった場所に身を置くだけでも、台湾の「今」が感じられる。

玄関を入って右手に洋室の応接間、左手に和室があったという。
建物外観。戦後は長らく政府関係者の住居となっていた。
建物全体が静寂に包まれており、居心地のいい空間となっている。
ソファーも用意され、読書が楽しめる。
女中用の部屋もあった。

──書籍『台北・歴史建築探訪』は、台湾在住の筆者が20年かけて取材・撮影してきた渾身の作。今回発刊される増補版では、初版の171件に加え、コロナ禍でリノベーションしたレストランやカフェなど、実際に訪れたくなる約40件を新たに追加しています。カラーの美しい建築写真をご覧になり、日本人と台湾人がともに暮らした半世紀を振り返れば、きっとまた台湾を旅したくなるはずです。ぜひお楽しみください。

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片倉 佳史 (かたくら・よしふみ)
1969年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。武蔵野大学客員教授。台湾を学ぶ会(臺灣研究倶楽部)代表。台湾に残る日本統治時代の遺構を探し歩き、記録。講演活動も行なっている。妻である真理氏との共著『台湾探見 ちょっぴりディープに台湾体験』『台湾旅人地図帳』も好評。
●ウェブサイト「台湾特捜百貨店

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