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亜久里
2021年12月18日 23:24
残りの道のりはスムーズだった。郊外の市民病院へ向かう車通りの少ない国道を、快適な時速35キロで滑り、正面口のロータリーに軽を横づけた。「コート着なくて、寒くない?」「大丈夫大丈夫。中は暖房が効きまくりなんだもの」「そうだけど、帰りもあるでしょ。ほら、持っていきなって」 助手席のシートに放ってあった春用のジャンパーを母に手渡す。四月の半ば、心底冷える気温は少なくなったけれど、はやり朝晩は羽