傾聴の魔法で最強のコミュニケーションスキルを手に入れる【人は聞き方が9割】
人間の脳の性質=「自分語り大好きで、人に全く興味がない」
だからみな、コミュニケーションで苦しんでいます。
それを打開する策があるとすれば、「自分が話すスキル」を身につけることから「誰かの話を聞いてあげる」立場に変わることしかありません。
話すスキルのマウント合戦から一抜けして、楽にコミュニケーションの勝者になる方法がここにあります。
早速本書を、紐解いていきましょう。
今日の書籍
今日ご紹介するのは永松茂久さんの著書、「人は聞き方が9割」です。
本書を一言で表現すると「コスパ最強のコミュニケーションスキル、傾聴力を身に付ける本」です。
コミュニケーションに苦手意識がある人は多いでしょう。
しかもその多くが、わざわざ結果につながりにくいスキルを磨こうとして、苦しんでいます。
コミニケーションスキルを上げたくて、いろいろな本を読んだけど、思うような成果が上げられない。
そんな方に必要なのは、傾聴力です。
そして傾聴力は、ちょっとした心がけで簡単に上達するスキルでもあります。
では、何を心がければ傾聴力がアップするのでしょうか?
第1章 なぜ傾聴力はコミニケーションの要なのか
傾聴力はコミュニケーションスキルの要です。
傾聴力を磨くことで期待できる効果には、こんなものがあります。
会話力が上達する
人間関係がよくなる
人から嫌われなくなる
むしろ人から好かれる
人の感情が読めるようになる
会話の間の沈黙が怖くなくなる
人から評価される
しかも傾聴力アップは、誰もが小さな心がけによって実現可能です。
コミニケーションスキルを上げたいなら、会話力を磨くより先に、傾聴に割く時間と労力のウェイトを上げるべきであると著者は言います。
話すスキルは傾聴より難しい
コミニケーションスキルを上げると言うと、上手に話す力を身につけようと考える人も多いでしょう。
しかし本書によれば、それは効率の悪い方法です。
理由は5つあります。
1 話すスキルを身に付けるのは難しい
2 人間は自分の話を聞いてほしい生き物
3 ITの発達、人間の承認欲求が高まっている
4 人は自分の話を聞いてくれる人を好きになる
5 話を聞いてくれる人は少ないので価値が高い
コミニュケーションスキルは大きく2つに分けられます
1つは聞く力、つまり傾聴力。
2つ目は話す力です。
聞くことはコミュニケーションスキルの基盤ともいえます。
話す力は、聞く力の上に積み上げるスキルです。
本書によると話す力を習得するのは難しく、高度な言語表現のスキルや、膨大な語彙力、そして鋭い観察眼が求められます。
コミニケーションスキルの本を読んだから、話し方教室に通ったからといってすぐに身に付くものではありません。
長い時間をかけてスキルを積み上げながら訓練を続ける必要があります。
また土台となる聞く力が、盤石な体制に整っていなければ、その上に積み上げる話す力は十分に育ちません。
これに対して傾聴力は、聞く側、つまり自分の心の在り方を整えることがポイントです。
高度なテクニックを駆使しなくても、簡単に再現できます。
「自分語りが大好きで聞くのが嫌い」が人間の本質
コミュニケーションにおいて無視できないのが、人間の本能です。
人は誰でも自分の話を聞いてほしいと思っています。
強烈な自己承認欲求に支配されているのです。
しかしお互いに自分の話を聞いてほしいと思っている者同士なので、いつまでたっても、自分の話は聞いてもらえません。
だからこそ自分の話を聞いてくれる人は、価値の高い存在です。
めったに出会うことができないからこそ、希少価値が高く、手放したくない存在です。
ところでなぜ私たち人間は、こんなにも話を聞いてほしいと願うのでしょうか?
理由は2つあります。
自分語りが好きな理由1
1つ目は、人間の心理的欲求です。
認められたい、受け入れられたいという思いは、人間の根源的な心理的欲求です。
人間の欲求というと、種の保存や生存本能に基づく三大欲求が注目されがちです。
しかし生存に基づく三大欲求と同じ位強いのが、心理的欲求であることを忘れてはいけません。
物理的には、生存を脅かされる状況になかったとしても、心理的にも安心したい。
物理的かつ、心理的な安心が満たされて初めて、人間の脳は安全な状態であると理解します。
「もうモノは売らない」でも言及されていましたが、人間は感情に強く支配されている生き物です。
ものが溢れた現代では、物理的には満たされています。
しかしお互いに「話を聞いてほしい」「自分を受け入れてほしい」「安心させてほしい」と求めるばかりです。
これではいつまでたっても、感情が満たされません。
傾聴力を身に付ける事は、現代人のほとんどが満たされずに不満を抱えている心理的な安心という欲求を満たす行為です。
自分の話を聞いてもらえることは、自分が受け入れてもらえた安心感につながります。
人間の本能を考えれば、どこを探しても満たされない「安心」を与えてくれる人、つまり自分の話を傾聴してくれる人が、絶対に手放したくない大切な存在になるのは当然です。
自分語りが好きな理由2
理由の2つ目は、人間の脳の機能に由来します。
脳はアウトプットすることで、快感を覚えるようにできているのです。
ところで、人間が生まれて一番最初に体験する感情は何だかわかりますか?
それは排泄の感情です。
人間は誰でも生まれてすぐに大きな声で泣きます。
そして尿や便を排泄します。
人間は皆、生まれた時から排泄することの快感を得ているのです。
人が排泄、つまりアウトプットすることで快感を覚える事は、脳科学の臨床データからもわかっています。
苦しい時や悲しい時に涙を流す。
想いの丈を誰かに聞いてもらう。
学んでインプットした事は誰かに伝えたくなるでしょう。
嬉しいことがあると、いつもより口数が多くなります。
人間にとってアウトプットは快感に直結する行為です。
生まれつき話すのが好きで、話を聞いてもらうことで安心を覚える人間にとって、傾聴してくれる人を求めることもまた切実な本能です。
そしてそんな魔法のコミニケーションスキルである傾聴が、話すスキルよりも、簡単に習得できるのですから、傾聴力を磨かない手はないでしょう。
では、このあと第3章で、傾聴力の伸ばし方について具体的にご紹介します。
ここでは、傾聴力はコストパフォーマンスに優れたコミニケーションスキルであることを覚えておいてください。
第2章 コミニケーションに関する2つの誤解
ここでは、コミニケーションに関する2つの誤解を解いておきましょう。
1つ目は、聞いているつもり。
2つ目は、コミニケーションで大事なのは話し方ではないか?という誤解です。
1 聞いているつもり
「なんで話を聞いてくれないの??」
「いや、さっきから聞いているだろ!?」
話している側は、自分の話が聞いてもらえていないと腹を立て、聞いている側は聞いているのに、責められたとへそを曲げる。
日常的に繰り広げられる光景です。
しかしなぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
聞いているけれど聴いていない
それは「聞いて」いても「傾聴」できていないためです。
「言葉としては聞いている」けれど、「相手の感情を聞いていない」と言い換えられます。
話をする側が聞いてほしいものはなんでしょうか?
発した言葉によって表現したいのは感情です。
自分が発した言葉そのものではありません。
いくら言葉だけ聞いていても、相手の感情をキャッチできていなければ、話した側にとっては聞いてもらったことになりません。
傾聴とは、言葉を聞くことではありません。言葉に込められた相手の感情を受け取る行為です。
相手の感情を受け取ること、つまり傾聴せずにいくら言葉だけ聞いても、心の溝は深まるばかりでしょう。
聞くより話す方が大事?
コミニケーションに関する誤解の2つ目は、傾聴力よりも話すスキルを重視してしまうことです。
話すスキルはアウトプットを伴うため目立ちます。
コミュニケーションスキルをあげたいと思った時、華やかで目立つ話すスキルに飛びつきたくなるのは、無理もないでしょう。
しかしコミニケーションの主導権は話をさせる側、つまり傾聴する側にあります。
なぜでしょうか。
傾聴する側は、会話領域における支配者です。
人間の本能を理解して相手を心地よくさせながら、自分に良い印象を持たせることができます。
話す側は、傾聴する側の手のひらの上で気分よく踊っているに過ぎません。
コミニケーションにおいて本当に主導権を握っているのは、相手が話をしやすいステージを作る傾聴者です。
ところが実際はほとんどの人が、コミニケーションにおけるベーシックスキルである傾聴ができていません。
自分が話したい
自分の話を聞いて欲しい
本能に揺さぶられるだけの方が簡単です。
そのためほとんどの人が本能のままに、聞くことよりも話すことを重視します。
だからこそベーシックスキルである傾聴力を鍛えれば、強力な武器になるのです。
ベーシックスキルが身に付いていない人が多いからこそ、簡単にアドバンテージを取ることができます。
傾聴力は簡単な心がけで、あっという間に再現できるスキルです。
簡単に磨くことができるうえに、磨けば強力な武器になる。
そんな傾聴力を磨かなければ損でしょう。
第2章では、言葉を聞くのではなく感情を聞く傾聴が大切であること。
そしてコミュニケーションで主導権を握るために傾聴力が有効であることを覚えておいてください。
第3章 誰でも習得できる!「魔法の傾聴」の極意
簡単に身に付けられるのにコミニケーション上手になり、人から好かれて会話の主導権を握ることができる。
そんな魔法のような傾聴力の極意。
それは、相手の心理的な安全基地になることです。
野球で例えるなら、ピッチャーではなくキャッチャーになってください。
優れたキャッチャーは投げかけられたボール、つまり言葉に対して、良い音を鳴らして受け取ります。
さらに、上手に他の塁にボールを投げてゲームを展開させます。
傾聴で目指したいのは、この頼れるキャッチャーのスタンスです。
相手を受け入れて、心理的な安心感を与えること。
相手に、自分は攻撃されることがないんだと認識させて、不安を取り除くこと。
これが、傾聴によって相手に伝えているメッセージです。
そんな魔法の傾聴を実現するための大前提は、自分のメンタルを受け入れ体制に整えることです。
話すスキルを磨くためには、新しいテクニックを習得しなければなりません。
これに対して傾聴力は、自分のメンタルの状態を整えれば自然とできるようになります。
だからこそ、誰でも短期間のうちに傾聴力をアップさせることが可能です。
傾聴の作法
では傾聴力を上げるために、具体的にはどのように自分のメンタルを整えれば良いのでしょうか。
ポイントは3つあります。
ポイント1 全肯定のスタンスに徹する
ポイント2 五感で聞く
ポイント3 全身で傾聴を表現する
詳しくご説明しましょう。
傾聴で大切なのは、一旦相手の感情を受け取ること。
相手を攻撃しないこと。
さらに相手が安全な状態にあり、自分には相手を攻撃する意思はないことを全身で表現して相手に伝えることです。
これだけでは少しわかりにくいので、無意識のうちにやってしまいがちな傾聴のNG行動を例にご説明します。
まず傾聴における代表的なNG行動は次の通りです。
真顔で聞く
無言で聞く
腕組みする
ジャッジする
自分が話す
正解を出そうとする
真剣に話題に取り組もうとするあまり厳しい表情になってしまったり、真顔になってしまったりすることがよくあるでしょう。
また無意識の癖で、腕組みしながら話を聞いていませんか?
しかしこれらはどれも、相手にネガティブな印象を持たせます。
ネガティブな雰囲気では、相手はのびのび話できません。
自分の話を聞いてもらえないだろう
自分は信用されていない
自分に対して、否定的な感情を持たれている
これは聞き手が相手に対してネガティブな感情を持っていなくても同様です。
受け入れられないことに慣れている話し手は、常に身構えています。
人は誰も、拒否されたり否定されたりしたくありません。
少しでも攻撃される可能性を感じれば身構えて心を開かなくなります。
相手の話をジャッジするのもNGです。
自分の思いの丈を打ち明ける事は、誰にとっても勇気の要ることです
勇気を出して打ち明けたのにジャッジされたり批判されたりする。
これでは物理的に攻撃していなくても、心理的には攻撃されたのと同じ状態です。
心理的に攻撃された相手は心を閉ざし、二度と心を通わせる機会は巡ってこないでしょう。
相手の為を思って間違いを訂正したり、正解を出そうとするのもNGです。
正解を求めて議論しているのであればともかく、コミニケーションとしての会話の中では正解を求める必要はありません。
そもそも、世の中に絶対的な正解はありません。
その人が身を置く立場や、価値観、環境が違えば、正解は変化します。
唯一絶対の正解はありません。
にもかかわらず、自分の価値観に基づく正解を、相手に押し付けて相手の価値観を否定すれば、相手は心理的に攻撃されたと感じるでしょう。
これでは、関係性が深まるわけもありません。
では、傾聴において、どんな行動をとるのが正解なのでしょうか?
傾聴のポイント
まず表情は朗らかであることが肝心です。
終始無意味な笑顔では相手が不信感を抱きますが、柔和な表情で話を聞けるように、日ごろから鏡を見て訓練しておくと良いでしょう。
眉間にしわを寄せたり、口を曲げたり、無意識の癖がある人も注意してください。
自分では、意図しないネガティブな感情があるかのように、相手に認識させる可能性があります。
傾聴は、体の正面が相手に向くようなポジショニングでおこなってください。
体の前面が相手に向くようなポジションを取ると、「あなたを受け入れる準備がありますよ」というメッセージになります。
そして適宜、相槌を打ってください。
相槌は言葉と仕草の両方で打つことが大切です。
「そうなんですね」
「それで、どうされたんですか?」
「大変でしたね」
「その後はいかがですか?」
うなずきながら言葉で相槌を挟み、相手にさらに話してもらうように促しましょう。
この時、自分が話をとってはいけません。
「そうなんですね。」
「実は私にもそんな経験があるんですよ!」
相手がまだ話したい状況であるにも関わらず、待ってましたとばかりに自分の話をしないでください。
もし相手の話ばかり引き出しすぎて
「自分の情報を収集されているのではないか?」
「こんなに自分ばかり話していいのだろうか」
と相手が不安を感じるようであれば、箸休め程度に、自分の話を挟みましょう。
しかし自分の話を主な話題にしてはいけません。
ほどほどに自分の話をしたら、相手の話に軌道修正してください。
相手の話を聞きながら相手が安心して話していることを確認しつつ、調整することが大切です。
ただいくら全肯定のスタンスで話を聞こうと決心していても、相手の話に首を傾げたくなるタイミングもあるでしょう。
そんな時も、一旦受け取ってください。
スタンスはSNSの「いいね」です。
いいなと思わなくても「いいね」してください。
もしどうしても自分の意見が違うと主張したければ
「そういう考え方もあるんですね。」
ただ私はこんな風に考えるんですが、どう思われますか?」
と相手に質問を投げかけるのがおすすめです。
相手を否定せずに自分の意見を伝え、再び相手に話させることができます。
傾聴者は会話の影の支配者
会話は勝ち負けのないゲームです。
ゲームなので正解もありません。
共にゲームに参加することで交流を深め、良い人間関係につなげること。
それが会話というゲームの唯一最大の目的です。
ただ問題はゲームに参加するプレイヤーのほとんどが、話し手というスタンスを望むことです。
野球で言えば、全員がピッチャーになりたがっています。
しかしこれでは、ゲームが成立しません。
その結果、コミニケーションというゲームがあちこちで破綻し、ゲームを成立させるためのスキルを多くの人が求めています。
ただ本当に必要なのは全員がピッチャーのままゲームを成立させる方法を探すことではありません。
誰かがキャッチャーになって、参加者全員を順番にピッチャーにさせてあげることができれば、コミニケーションというゲームはスムーズに進みます。
このキャッチャー役を買って出ることが、傾聴することです。
自分が主役になりたいという思いをグッとこらえて傾聴する。
これだけで人から好かれ、人間関係がうまくいき、ビジネスが加速するとしたら、取り入れないのはあまりにももったいない。
傾聴ができるようになれば、自分の能力をアピールしなくても、皆に認められる人になることも可能です。
さいごに
本書には、傾聴のスキルを加速させる具体的な方法が多数紹介されています。
本書を手に取り、魔法の傾聴力をマスターしてみませんか。
コミュ二ケーションスキルは、スモールビジネスのものやフリーランスにとどまらず、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルです。
たとえ1人で起業して事業を進めていても、誰とも関わらずにビジネスはできません。
コミュニケーションスキルで苦しむのはもう終わりにして、次のステージに進んでください。
ぜひ本書を携えて、ご自身の傾聴力アップに役立ててください。
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