就職氷河期世代の実態を調査・分析する②〜ポスト団塊ジュニア世代(1975年〜1982年度生)〜

前回の記事に引き続き、就職氷河期世代の実態を調査・分析を進めたい。

今回の記事では、ポスト団塊ジュニア世代(1975年〜82年度生)の状況を分析する。
ここで余談。「ポスト団塊」と名付けられたため、この世代の親は団塊が一般的ではないと勘違いされる。
実際は、父親が団塊(47年〜49年度生)であるケースが多い。
一方、団塊ジュニア(71年〜74年度生)に関しては、父親は40年代前半生が多く、母親が団塊のケースが多い。

この世代は就職氷河期の中盤・終盤にあたり、世代人口は151万人~186万人。
どの学年も氷河期の被害を受けている。
生まれ年と学校卒業年度(最終学歴別)の景気を下記の通り。

図1:生まれ年と学校卒業年度(学歴別)の景気

バブル崩壊後、93年から不景気モードとなり、就職状況は94年度卒から悪くなっていく。
75年度生が高校を卒業する頃である。
この頃から、図2の通り高卒就職者数の減少が大学進学率の上昇がセットで進んでいく。
高卒者を多く採用していた製造業や建設業は、工場の海外移転や公共事業の縮小に伴って、採用を減らしていく。
98年度には、大卒就職者数が高卒を上回る。

図2:学歴別就職者数と大学進学率の推移
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0703W_Y1A700C1000000/ 日本経済新聞 2011年7月8日

なお、進学率は上がったものの、1学年の人数が減っているため、進学者数については微増である。(90年度:49万人、94年度:56万人、01年度:60万人)

景気については98年度卒までは、悪い意味で横ばい。しかしながら、正社員数や平均給与のピークは97年なので、現在から振り返るとまだまだ深刻ではない。
97年11月に山一證券や北海道拓殖銀行が経営破綻した辺りから、金融危機に陥った。
景気はさらに悪化して、失われた〇〇年と呼ばれる慢性的な不況に突入した。

就職状況は99年度卒からより一層悪くなる。
05年度卒まで、大卒就職率は55%〜60%の時代。
メーカー、ゼネコン、銀行、保険会社、総合商社を中心に採用人数を絞り込む。
新卒採用自体を見合せたり、採用数を7〜8割削減する大企業も続出した。
(00年度、01年度卒が特に多かった。)

大企業だけでなく、中堅・中小企業も採用見合わせた会社が続出したと考えられる。
就職四季報は、96年度〜99年度まで総合版(大企業中心)とは別に、
中堅・中小版(1500社程が掲載)を発行していたが、00年度より発行しなくなった。(14年度より復刊)
不景気になると、中堅・中小ほど経営の余裕がなくなる傾向にあるため、採用抑制・見合わせを進める。

図3:大学(学部)卒業者数・就職率・就職者数の推移

図3の通り、この世代の大卒就職者数を見ると30万人~33万人。
就職者数自体は、バブル期(30万人~35万人)と殆ど変わらない。
一方で、大学進学率の上昇に伴い卒業者数が増えたため、就職率が悪化している。

先述のとおり、この頃は採用人数を減らした大企業は沢山あるが、
私が就職した頃(売り手市場)よりも人数を採っていた業界もある。

例えば、電機メーカー(東芝・日立・シャープなど)、ITハード(富士通、NEC,IBMなど)、光学(キャノン・リコー、富士ゼロックスなど)
これらの業界はまだ元気が残っていたため、大量採用を実施していた。
理系(特に工学系)に関しては、就職氷河期は無縁であったと考えている。

実は当時、売り手市場だった業界もあった。
消費者金融・パチンコ。
正直、大卒の学歴が必要とは思えない業界へ就職する学生も多かった。
加えて、就職は出来たとはいえ、非正規雇用や条件の悪い企業に就職したケースも多いと聴く。

ただ、大卒者が増えれば、バブル期以前のように、多くが条件の良い企業に入社できるとは限らない。売り手市場だけれども、大学進学率が就職氷河期より高い現在にも当てはまる。

超就職氷河期の原因は、よく言われる景気悪化や中高年の雇用維持だけではない。大卒者が増えすぎたため、彼らを十分に受け入れられなかったことも原因の1つである。

就職には苦労した、ポスト団塊ジュニア世代も中年になる頃には、
男性に関しては、9割が正規社員、2割が大企業に就労している。
(詳しくは、私の記事「間違えだらけの就職氷河期世代への支援〜②被害を被ってるのは誰か〜」に記載)

新卒就職で上手くいかなくても、後から挽回できる。
新卒一括採用を謳っているのは、ほんの一部の大企業だけで、
500社もないでしょう。

そう考えると、就職氷河期と被ってしまっただけでは、
不運とは言えないし、一部の人の不運さが大きくクローズアップされているように思える。


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