バブル崩壊後の就職氷河期はいつから始まったのか?

バブル崩壊後の就職難の時期は、就職氷河期と言われる。
ただ、バブル崩壊のあたりに生まれた私にとって、就職難がいつ頃から深刻になったか分からない。
バブルが終わって、いきなり就職難となったのか(リーマンショック後の就職難のように)、
それとも徐々に就職難となったのか。

実際に、いつから就職氷河期が始まったかを調査・分析してみた。

参考にした資料は、文科省の「学校基本調査」で報告された大学卒業者の就職率。
そして、当時の就職四季報に掲載された大企業の採用人数。就活に関するアドバイス本。(国会図書館で閲覧)

下記図1において、バブル期から不況期までの大卒就職率をとりまとめた。
この数字を参考にして、各年度における就職のしづらさから、就職氷河期の始まりを明らかにしたい。

図1:大学(学部)卒業年度ごとの就職率

バブル経済は、1986年12月に始まり1991年2月に終了したと言われている。
バブルによる採用拡大の恩恵を受けたのは、88年卒〜92年卒である。
就職率最高の91年卒に関しては、男子の50%が上場企業に就職できた。(参照:就職の基礎知識95年版)

93年卒はバブルから通常モードへの移行期。
94年卒は通常モードから氷河期への移行期。
95年卒から98年卒まで本格的な氷河期。
99年卒から05年卒までは就職率60%を
切る超氷河期。

参考までに、氷河期より後の就職率をまとめた。
06卒から09卒までのリーマンショック前の景気回復期は63%~70%。
10卒から13卒までのリーマン不況期は60%〜67%。
14卒から20卒までのアベノミクス期は70%~78%。直近の23卒は75.9%。

話を戻して、就職率や大企業の採用人数を見ると、就職氷河期は、95年卒から始まると私は考えている。

氷河期世代は70年生(現役大卒で93年卒)〜82年生(05年卒)と言われることが多い。

ただし、93年卒に関しては、
バブルの恩恵をギリギリ受けられたと考えられる。ピークの91年卒・92年卒程ではないけれど。
電機・ITハード・化学・食品・都銀・保険・石油元売・ゼネコン・総合商社・新聞・テレビ局の採用人数は、どの大企業も、売り手市場だった私の就活期よりも多かった。(参照:就職四季報94年版)
実際、大卒男子は31%が上場企業に就職できている。(参照:就職の基礎知識95年版)

また、94年卒に関しては、氷河期に片足を突っ込んだ時期であった。もちろんバブルの恩恵は既に受けられなかった。
企業によっては、採用激減・凍結しているところもある。自動車、都銀、JALなど。
あと、大卒女子の採用を大幅に減らした企業が多い。女子の就職事情が良くなかった。

それでもまだ、大卒男子は25%が上場企業に就職できている。なお、バブル初期の88年卒と同じ水準である。(参照:就職の基礎知識95年版)
データを見る限りは、まだ就職難とはいえない。

95年卒から本格的な氷河期ですね。
ついに、電機メーカーが採用人数を大削減し始めた。(特に、ソニー・パナソニック)
採用激減・凍結の企業は94卒よりも増えている。
各企業の総合職の採用人数は、93卒と比べて平均すると半減している。
唯一の救いがNTTが採用人数をバブル期並に増やしたことですね。デジタル化の時代を見据えたのでしょう。

今回の記事のテーマは、就職氷河期の始まりであるため、96卒以降の各年度の就職状況については割愛する。

調査・分析の結果、就職氷河期は95年卒から始まった。大卒者については、95年卒=1972年度生まれからが氷河期世代ですね。

バブル崩壊(91年2月)直後から就職難がやってきたわけではない。
現に、95年卒が就活していた時期は、94年6月〜10月。
就職難は崩壊から3年遅れてやってきた。
この頃の景況感は分からないが、崩壊から2・3年は景気が悪くなった実感が少なかったのだろう。
ジュリアナ東京がオープンしたのは91年5月。
平均年収のピークは90年代中盤。

そう考えると、バブル崩壊という事実は、
失われた30年のキッカケに過ぎないと考えさせられる。
一般の人々には不況の実感は薄かったけど、
このタイミングで、国や産業界が十分に軌道修正していれば、不況は悪化&長期化せず、就職氷河期の被害も最小限に済んだかもしれない。


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