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読書が趣味って怖くて言えない

「趣味は読書です」って言えないんです。なんか気恥ずかしくて、「本を読むのが好きです」って言ってます。何が違うのかしら。

「趣味は読書」というには、なにか資格がいるような気がしちゃう。村上春樹は全作読んでますとか。自分でも自意識過剰だなあと思います。

文字通りただ好きなだけなので、波があります。1冊も読まない月もあったし、読書感想文は母が書いてました。読んだ本の内容も、8割忘れてます。

ということで、私は立派な読書家ではないのだけど。それでもぽつぽつと思い出しながら書いてみます。

前置きが長くなっちゃった。

ここからは、お風呂でほぼ毎日本を読んでいる私が、お湯が冷めるまで熱中し、追いだきボタンを押した本を紹介します。

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11 『きらきらひかる』 江國香織

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アルコール中毒の女性が、男の恋人もちのゲイの男性と結婚する話。この小説ですごく心に残ったのが、妻である女性と、夫の恋人である男性(不倫相手?)がお互いの幸せを気遣いまくるところ。三角関係を保って、夫を取り合わない。

人間関係って、線じゃなくて面なんだなって思った。この世で2人きり、なんて線の関係は、脆い。点が3つ以上つなげれば面になって、その分面倒だし傷つくんだけど、面だからこそきらきらひかる。

けどやっぱり私は2人きりの線の関係が落ち着くな。好きな人とは2人がいい。面をたくさん持てる人ってすごい。

12 『アフターデジタル』藤井保文・尾原和啓

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圧倒的なものを見る時のワクワク感って、どうして人間に備わっているんだろう。天才エピソードとか、才能発掘のオーディション番組とか見るの大好き。それと近い感覚でこの本が好きです。

書かれている内容は、中国を中心とした世界のオンライン化。便利だからオンラインにしよう、ではなく、全てをオンラインに乗せるのが基本で、オフラインはひとつのチャネルでしかないって思想。

アフターデジタル世界のビジネスのあり方をとても丁寧に説明してくれているのだけど、私は要所要所に出てくる、筆者が中国で打ちのめされてくるエピソードの部分が好き。

13 『春琴抄』 谷崎潤一郎

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乾いた印象をもたれがちな純文学作品に、まさかこんなに心を揺さぶる恋愛小説があったなんて。春琴抄を読んだのは高校2年生のとき。学校の誰と誰が付き合ってるだとかよりも、この小説の方が事件だった。

美しく高慢でサディスティックな盲目の三味線奏者春琴と、その弟子佐助の物語。その性格ゆえに人の恨みを買った春琴は、顔に熱湯をかけられ醜い姿になってしまう。佐助は、春琴の心を守るため、ある方法で"美しい春琴しか知らない佐助"になり、生涯春琴に仕える。

どれだけ深く長く相手のことを想えば、こういう愛が生まれるんだろう。古い本なのでいろいろな装丁で販売されているけれど、この新潮文庫の赤い表紙が一番好き。

14 『チョコレート・アンダーグラウンド』 アレックス・シアラー

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この本は物質として好き。表紙、ページ、文字、全てがチョコレート色で作られている。
健全健康党によってチョコレートを禁止されたイギリスのお話。小学生でも読めるけど、私は18歳で読んだ気がする。

健康は大事なんだけど、人間って健康であるために生きているわけじゃないよな。虫歯ができてもチョコレート食べたいし、肌荒れしてもコーヒー飲みたいし、むくんでも日本酒飲みたい。

チョコレートを禁止された世界で2人の少年が革命を起こすのだけど、テーマがチョコレートだと、政治と革命の話がこうも愛しやすくなるのか……。

15 『蛭子能収のゆるゆる人生相談』 蛭子能収

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物心つく前、蛭子さんとはご近所さんで、ミーハーな母が「蛭子さんですよね?」と話かけたら、そうですよと言って私の頭を撫でてくれたらしい。このエピソードを聞いたのは小学校の時。kindleストアで本を探していたらこの表紙が目に入り、そういえばと思い出して読み出しました。

ゆるゆるどころか、相談文読んだ?と思えるくらい回答が自由。重たい人生相談に「そんなことより競艇です」と答えてた。

人って悩みごとを相談するときに、重く受け止めてほしい時と軽く受け止めてほしい時の両方がある気がする。

前回書いた『イン・ザ・プール』とこの本は完全に後者だ。物事を軽〜く受け止めて自分の道を行ける人っていいな。いつも重く受け止めちゃうので、たまにこういう本を読んで調節しています。(『イン・ザ・プール』について書いたとき、なぜかたまらなく必要なときがあると言ったけど、こういうことか。)

「読んで終わり」の方が好き

「読んで終わりにしない読書術!」的な記事や本をたまに見かけます。たしかに本の内容ってためになるので、頭に留めて置けたらすごく賢くなれそう。

だけど、私は「読んで終わり」が好きです。

読書感想文とか、読書ノートとか、後に控えているものがあるとページ一枚がすごく重く感じる。

読み終わったとき、もしかしたらnoteに感想文を書きたくなっちゃうかも。
でも同じくらいの確率で、内容いっこも覚えてないかも。

読んだ後のことなんてわからないから、最初から読んだら捨てちゃうくらいの気持ちでいた方が、純粋に本を楽しめるんじゃないかな。

これもある意味読書感想文だけど、思い出しながら好き勝手言っているだけなので、良い塩梅に軽いです。

何冊書けるかなぁ。
16から20の5冊が浮かんできたら、また書きます。

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