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こどもミクシィ(仮)(2005年07月15日)

2005年07月15日 記

 SNSに関する本を続けて読んでいたら、こども向けのSNSがあってもいいんじゃないかと思いついた。「こどもミクシィ」である。基本的にSNSは18歳未満の参加は認められていない。ミクシィも同様。「大人の社交場」という由縁であるが、たしかに子供が簡単に入ってきてはいろいろ面倒なことが多そうではある。未成年者のプライバシーの確保をどうするかとか、犯罪に巻き込まれる可能性もある。であるならば、逆に子供しか参加できないSNSがあってもいいではないか。大人はいっさい立ち入り禁止。もちろん招待制。子供たちが自分の友達を招待してネットワークを広げていく。

 問題は、どのようにして参加者がほんとうに子供であるか(あるいは悪意のある大人ではないか)を見分けるかである。それと保護者の同意をどのようなかたちで得るか。「こどもミクシィ(仮)」の場合、参加に関しての保護者の同意は必須となるだろう。でも逆にこうした問題がクリアされれば、けっこう面白い試みになると思う。すでにベネッセなんかではやっていそうだけど、どうなのかな? ないようだったら、ベネッセと組むと面白そうだ。保護者の同意書は、毎月の赤ペン先生の提出時に同封してもらえばいい。なんといっても小中学生の膨大な顧客情報を持っているわけだから、SNSなんてあっという間に作れると思う。

 僕のイメージする「こどもミクシィ」は、「本」をキーワードにしたものだ。大人版(という言い方も変だが)ミクシィのように生活全体を一気に取り込むのは難しいだろうと考える。なぜなら、やはりある程度、大人のファシリテーターが必要だと考えるからである。生活全般を管理するとなると膨大な人数のファシリテーターが必要となるから、あまり現実的ではないだろう。「本」というカテゴリーに絞り込めば、「日本文学」「世界文学」「ノンフィクション」「絵本」といったおおまかなカテゴリにファシリテーターを一人ずつつければ済む。その下に子供たちが自由にコミュを作っていくというイメージだ。コミュでの混乱などは大人が時に介入して、交通整理をする。

 理想を言えば、ファシリテーターは大学の先生とか、現役作家といった人がいい。大人の専門知識を子供達に伝える場所でもあって欲しいと思うからである。また、大人が薦める本なんかのコーナーがあってもいい。「中学の時にはこれを読んでおくといいよ」とか。「こんな絵本を小学生の時に読んだらすごく面白かった」とか。SNSに大人は参加できないが、こども達はそうした記事を自由に読むことができる。あるいは「今日の宿題で徳川家康について調べなきゃいけないんだけど、どんな本を読んだらいいの?」といった質問に、大人が答えてあげるとか。大人とこどもとの橋渡し的な役割をファシリテーターに担ってもらえれば、こうしたことは可能ではないか。問題は収益モデルであるが、ほとんどのSNSが収益を上げていないわけだから、はじめにそれを言ってしまうとつまらない。まずはNPOとかで始めてみるというのも手か。相変わらずの妄想ぶりであるが、「こどもブック・ミクシィ(仮)」――誰か作ってみませんか?

2024年03月27日 付記

 LINEが登場したことで、子どもたちもSNSを通じたコミュニケーションを強いられるようになった。僕はそれが良いことだとは思わないけど、時代の流れなのでどうしようもない。子どものコミュニティに大人が介入するというのは、二十年前よりももっと難しくなってきている気がする。とはいえ、ある種の専門性をもったSNS――「こどもブック・ミクシィ(仮)」のようなものであれば、出来てもよいように思うのだけれど。

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