コルトーのショパン

アルフレッド・コルトーの
ショパンをいろいろ聴いている。
カザルス三重奏団での
彼のピアノは聴いていたが、
単独の演奏は初めてかもしれない。

第二次世界大戦中にコルトーが
ナチスの前で弾いたことが、
戦後同胞たちから責められ、
コンサートの機会を失ったそうだ。
コルトーはさぞかし孤独だったろう。

孤独の面影をヨーロッパ行きの
船が一緒になった抽象画家、
野見山暁二が文章に残している。
それを読んでどんな演奏だったか、
知りたくなってしまったのだ。

エチュードもリズムが滑らかでなく
ごつごつとした弾き方が印象的。
ミスタッチもあるような
個性的なテンポルバートだけど
音が記憶に刻み込まれてしまう。

リパッティやハスキルを教えた
コルトーの指導は語彙に富んでいて
詩人の朗読のようだったという。
ならばコルトーがショパンを書いた
本も読まなければならない。

でも今は詩人のようなコルトーが弾く
ショパンを十二分に味わいたい。
録音が古くて雑音もあるけど、
聴衆に大きな感動を与えたという
ライブ版があったら聴いてみたい。