マガジンのカバー画像

本条寺京太郎 即興詩集 2020シーズン

365
毎日1つ即興詩を書いている本条寺京太郎氏の2020年4月14日〜2021年4月13日までの365日すべての詩を集めた2020年シーズン詩集。本条寺氏が日々感じた心模様や音楽、絵画… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

『悲しみよ こんにちは』

フランソワーズ・サガンの処女作 『悲しみよ こんにちは』を 高校生の頃に初めて読んだとき…

12

ひとりぼっちの散歩

家にいるときは健康のために 近所を1時間ほど散歩する。 綺麗な家の玄関や庭の植木鉢に 咲…

7

水のない人

「あの人って水が足りないのかな」 「そうね、いつも乾いている感じがする」 「言葉に潤いが…

18

「去年マリエンバードで」

恵比寿ガーデンシネマに 映画を見に行った。 「去年マリエンバードで」。 男女の恋愛を描い…

4

不思議な島、かなさんど〜

沖縄に伊是名という離島がある。 農民から琉球王朝の国王となった 尚円王が生まれ育った美し…

8

ノーベルディナー

最近知った驚いたことがある。 高校ラグビー部の後輩の叔父 大隅良典栄誉教授がノーベル賞を…

4

ぼくのリモンチェッロ

檸檬で使ったお酒、リモンチェッロ。 檸檬が名産のシチリアで味わった。 甘くて酸っぱくって少し苦みがあって 檸檬の香りが口のなか一杯に広がる。 リモンチェットは果汁で作られていない。 檸檬の皮だけでリキュールにするのだ。 日本に戻ってからのある日、長崎の友人が 無農薬の檸檬を何個か送ってくれた。 無農薬だから皮を捨てるのはもったいない。 そうだ、リモンチェッロを作ろうと思い立つ。 暑い場所に置いておくと火がつくという スピリタスというウォッカを買ってくる。 檸檬の皮を剥き、

エスパドリーユを履いて

蒸し暑く暑くなってきた。 そうなるとスタイルは自然に ショートパンツを履くことになる。 今…

5

頭がいい人は

頭がいい人は 人情が薄い やさしさに欠ける 感謝できない 謝ることを知らない 頭がいい人は …

5

初蝉は春蝉

鮮緑の山にやってきた。 6月に入ったばかりなのに もう蝉が鳴いている。 それも明け方から暫く…

8

鯛の中の鯛

桜色の真鯛が好きだ。 透き通った刺身の歯ごたえ、 ふわりと甘辛い煮付け、 香ばしい尾頭付き…

6

温泉お座敷ラグビー

もう4年前になる。 高校ラグビー部の OB会長Dと後輩のKと 岩手県二戸を旅した。 うに弁…

6

何にも頼らずに生きる

すっぱりと彼は会社を辞めた。 きっと理不尽なことを 押しつけられたからに違いない。 しかし…

10

梅雨入りは緑雨

天気予報で宣言された 梅雨入りの日に雨は 夕方に少し降っただけで 翌日は一滴も降らなかった 梅雨の晴れ間は6月でも さつき晴れなどと呼ぶ 嬉しいやら戸惑うやら 白い太陽を仰ぎ見る とうとう目覚めたときから 雨がしとしとと降っている 屋根にあたる音は少し高く 土に落ちる音はくぐもっている 池の鯉は水の波紋を愉しみ 雨蛙は湿った苔の上で喜び 梅の葉や小さな実は静かに濡れ 紫陽花が赤紫の花を輝かす 薄暗き朝 障子あければ 緑雨  京太郎