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短編小説マガジン【本の間の、文】

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短編・掌編小説のマガジンです。 本になる前のこの文章とあなたとの間で、素敵な体験を共有できましたらうれしいです。 『小説家の「片づけ帖」』 というメンバーシップ内で毎週1本のエ… もっと読む
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2023年7月の記事一覧

くらげの花_(6つの幻想小説・奇譚_原稿用紙57枚。1万9,318文字)

くらげの花_(6つの幻想小説・奇譚_原稿用紙57枚。1万9,318文字)


■くらげの花

やけに明るい満月の夜だ。アルバイト先のカラオケ店からの帰り、奏(かな)はさらりと晴れた夜の円山町を、ダリアのコサージュのついたサンダルで歩いていた。足元から顔の高さまで、くらげの花がふわふわと風に舞う。くらげの花は、月光を背負って上空を泳ぐイワシの群れに反射して、鳥肌が立つほど美しい。西日や朝日もまばゆくていいが、鮮明な月光ほどくらげの影を確かに描くものはない。

サメが泳いでい

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