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営業が経験からの学習を最大化するために必要なこと

こんにちは、homie株式会社の不動産営業DXおじさんこときのしたです。

改めて、我々が掲げる不動産営業DXの目的は、顧客接点での競争優位性の確立です。商品力で大きく差がつけられなくなっている中で、今後市場で勝っていくためには、顧客接点(=営業)で差をつけていく必要があります。

繰り返しになりますが、我々は、営業力を”顧客を深く理解する力”×”顧客の心を動かす力”と定義し、営業力を磨くためには”接客の場数””成功体験”が必要だと考えています。

しかし、接客の場数を積めば確実に成長するのか?と言われるとそうではありません。今回は、接客機会からの学びを最大化するために、”経験学習”という観点からお話したいと思います。

「経験からの学習」を読んで目から鱗どころか魚

上述の通り、接客の場数が同じであったとしても、”成長する人”と”成長しない人”が存在します。その違いについて考えていた時に出会ったのが、経験学習という言葉であり、「経験からの学習(松尾睦,同文館出版,2006)」でした。

この本、学術書なのですが、めちゃくちゃ面白かったです。

人が学ぶにはやはり経験が重要なんだ!”、”経験にも質があるのか!”、”経験から学べる人には特長があるのか!”など、”目から鱗”どころか”魚”でした。

本書は、組織と顧客の境界連結者の中でも、顧客と接触する”カスタマーコンタクトエンプロイー”である”営業”について、不動産営業と自動車営業への定量・定性両面での調査結果などを踏まえて考察されています。

15年前に出版された書籍ですが、以下の内容は現在でも当てはまりますし、Sales to Consultingという我々のビジョンにも通ずるものがあります。

カスタマー・コンタクト・エンプロイーが重要である背景は、製品による差別化がしにくくなっているという現状がある。製品・サービスに違いを出せなくなり、価格競争に陥ってしまうことをコモディティ化と呼ぶが、これを打開する一つの方法がコンサルテーションである(楠木,2006)

松尾睦,経験からの学習,同文館出版,2006,12ページ

他にも、職場が生きる人が育つ「経験学習入門」(ダイヤモンド社,2011年11月)仕事のアンラーニング(同文館出版,2021年6月)も一気に拝読しました(今回の記事はその3冊から学んだことを中心に書いています)。

人は経験から学ぶ。言われてみれば当たり前のお話なのですが、アインシュタインも100年前に言っているそうです(以下画像参照)。

アインシュタイン

経験から学ぶには何が必要なのか?

松尾先生は、経験から学ぶ力について以下のように述べています。

適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる

松尾睦,職場が生きる人が育つ「経験学習」入門,ダイヤモンド社,2011年11月,P.20

そして、私なりに経験からの学びを最大化するためのポイントをまとめると以下の3つになります。

  1. 良質な経験に出会えるか?良質な経験を積んでいるか?

  2. 経験から学ぶ素養(能力・目標志向・信念)があるか?

  3. 学びを促進する組織に属しているか?

つまり、良質な経験(チャレンジ・ストレッチ)に出会った時に、そこから学べるかどうかは、個人(想い)と所属する組織(つながり)に依存するということだと解釈しました。そして、学びを深くするには、”振り返る(内省・挑戦的内省・リフレクション)”ことと、”楽しむ(エンジョイメント)”ことが重要だという解釈です。

良質な経験とは、自分が少し背伸びをしないと解決できないようなストレッチの効いた仕事です。住宅・不動産営業で言えば、以下の図の”赤枠”のお客様がそれに近いと思います。

欲しいと言われたもの(商品・物件)をお客様にそのまま提供することではなく、フワッとしているお客様をいかに自社での成約に導けるかが本当の営業力ですし、優秀な営業ほど、このお客様群への対応が上手です。

自分ができる範囲の仕事だけをしていても、成長は望めません。自分がやったことのない仕事や、少し苦手意識のある仕事、1人では解決できないような仕事に対して、”挑戦できるか(&出会えるか)どうか”が最初の一歩です。

そして、その経験から学習できるかどうかは、個人の素養にかかっています。ポイントは、”目標志向””仕事の信念”です。仕事に向き合うスタンスとも言える部分だと思います。

目標志向は、”業績志向(他社からの承認を重視)”と”学習志向(学び・成長を重視)に分かれ、仕事の信念は、”目標達成志向(売上に対する意識)”と”顧客志向(お客様に対する意識)に分かれます。

もちろん、全てにおいてバランスが大事ではありますが、”学習志向”と”顧客志向の信念”が掛け合わさると、成長スピードが加速します。

この内容を読んだ時に、私が過去に担当してきた組織でやっていたことが、これに近いと感じました。私が組織としてやっていたことは2つです。

  1. 隔週の1on1で各メンバーの成長の方向性について深く会話を行い、短期・中長期での学習目標を設定すること

  2. 組織が大事にすることとして、”知る(お客様のことを深く知る)”攻める(徹底的な価値提供を仕掛ける)”創る(既存のものでなければ創り出す)を基本行動(指針)として設定すること

「知る→攻める→創る」の基本行動を意識すると、お客様の要望を叶えるために、自分ができる範囲を超える領域の情報を取りに行ったり、いろんな人を巻き込みながら価値提供のレベルを上げる必要が出てきます。

いま振り返ると、学習目標の設定によって学習志向が促進され、組織として顧客志向の信念を求め続けていた上に、売上目標を達成するための戦略を明示していたからこそ、メンバー1人1人が経験から学習してくれていたのだと思います。だからこそ、社内でも相対的に見てメンバーの成長スピードが早かったのだと解釈できます。

この辺り、学習を促進する組織風土については、過去何件か書いてきたことにも繋がりますし、また次回以降で書いてみます。

また、先日のTOP営業インタビューでも、”お客様”に対する意識と、”売上”に対する意識という2つが共通の資質が見て取れました。

目標(成約数)達成のために、何件のお客様を成約に導く必要があるのか。そして、目の前のお客様を成約に導くために、何をどのように伝えるべきなのか?その時に必要な情報は何か?を必死に考え続けた結果、TOP営業と呼ばれる状態にまで成長したということなのだと思います。

そして、たくさん成約に導いてきた裏側にある”失敗”が彼らを成長させてきています。これは、別の本でも述べられていることと繋がります。

住宅・不動産業界の営業に求められる経験とは?

”営業力強化”のためには、1人1人の営業が経験から学ぶことが大事になります。そして、これまでも繰り返し伝えてきた通り、住宅・不動産営業が最も積むべき経験は、”接客”です。

さらには、良質な経験を積む必要があります。私は、住宅・不動産営業にとって難易度の比較的高いお客様は、下図の赤枠にある、”HOTLEADによって会えることになったお客様”だと考えています。

弊社のコンシェルジュが交渉して、粘ってアポになったお客様は、検討深度が浅く、他社・他物件と迷っているお客様も多いです。

しかし、我々がアポイントを取得したお客様に対して「薄いお客様のアポはいらない」「決まらないお客様はいらない。」という残念な声も聞こえてきます。

もちろん、なかなか成約に結びつけることが難しいお客様もいます。しかし、そんなお客様とも向き合い、どうやったら振り向いてもらえるか試行錯誤すること、これが営業力だと思うのです。

事実、その会社での営業成績が良い営業担当者ほど、アポ取得に対しての感謝の言葉や、「成約したよ!」という報告をいただく頻度が高いです。

お客様と向き合い、どうにかできないかと試行錯誤し、自分が持っていない情報を貪欲に取りに行く。結果、新しい知識やスキルが身につき、次のお客様に対しての武器が増える。そして、また新しいお客様に向き合い、試行錯誤する。この繰り返しが、営業力強化に向けて必要なことなのです。

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