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不登校と学校の落とし穴

私は家庭教師として不登校のサポートを10年やってきました。

今回書きたいのは子どもが不登校になったときに知ってほしい、学校の対応にある1つの落とし穴です。

最初にくれぐれも断っておきたいのは、
この記事によって学校や先生を批判したいわけではないということ。
そして地域や学校、先生によって例外があるということも私は十分に承知しているということ。

これらをご理解頂いた上で読んで頂きたいと思います。

学校は登校させることが目的

自分の子どもが不登校になってしまったら、まず学校と連絡を取り合うことになりますよね。

なぜ行かないのか?
学校での様子は?
家庭での様子は?

情報を共有しながら、今後の対策を考えていくことになるでしょう。

送迎をしたら行けるかも?
別室登校なら?
プリントだけ取りに来る?
校門の前でハイタッチして帰る?

ここまで提案していただいてもうまくいかないと疲れてしまいますよね。
また、毎日校門前でハイタッチして帰る日々で今後はどうなるのか?週一回別室に通っていて勉強はどうなるのか?うまくいっている、前進しているのに不安になってしまいます。

ここで考えてほしいのは、目的はどこにあるのか、ということです。願いと言い換えてもいいかもしれません。

お母さんの願いってなんですか?

例えば…子どもが自立し、健やかに育つこと。その中でできれば学校には普通に行って欲しい。

とします。

ところで、最近は不登校支援で学校に無理に行かなくてもよいという言葉をよく聞くようになりました。
「無理に学校に行く必要はない。フリースクールや、インターネットを使った学習などなど、多様な選択肢がある。」
このあたりは専門の方がネットでもたくさん紹介してくれていますからぜひ調べてみて下さい。

さて、こういった考え方はこれからもっと広がりをみせていくと思うのですが、現状、学校の先生は違います。基本的に学校の先生は「学校に来なくてもいい」とは言えないのです。不登校になった時点で、子どもの成長や教育が目的ではなく学校に来てもらうことが目的になってしまいます。

学校の先生が悪いわけではありません。しかし残念ながら、学校に来てくれないことには教育が施せないので、いかに学校に来てもらうかということなるのです。学校の先生は教育学や教育心理学などの専門家であっても、不登校支援に対しては専門的な対応をしてくれるとは限りません。ましてや教室運営をしながら家庭での教育やどのように登校させるかまで手が回りません。まずとにかく来てもらうこと。校門まででもいい、週一回の午前中だけ、別室でもいい、その後のことはそのとき考えましょう。ちょっと乱暴な言い方ですがそういう対応になってしまうのも仕方ないのです。

それ、本当に子どものためになっているでしょうか?

もちろんそれで不登校を乗り越えた子はそれでいいでしょう。現実をみるのは厳しいですが、それで状況が改善された例は限りなく少ないと思います。学校の先生もわかっていると思いますが他に方策がない、ということがほとんどだと思います。

過去に私がサポートした不登校の小学5年生は、毎週2回午前中だけ別室に通い、みんなと同じ教室で給食を食べたあとお昼休みにお母さんが会社を抜けて学校から連れて帰るということを半年続けていました。逆に言えば半年経っても教室で授業を受けることも、他の曜日に学校に行くこともありませんでした。そこでお母さんやお父さんと話し合い、週2回の登校をやめ、しっかり方針を決めてサポートしました。すると3ヶ月後にはときどき休みながらではありますが、朝から下校時刻まで教室で過ごせるようになり、学年の変わり目で普通に通えるようになりました。
問題解決のために溜めなければならないエネルギーを、下手に登校することで小出しにしてしまっていたんですね。実際、半日登校をした日は次の日までぐったりしていることが多かったようです。知らないうちに、週2回の半日登校のストレスと戦うために親子とも全力を使っていたのです。

もちろん学校との連携は大切なことです。しかし早い段階で家族や学校ではない専門家に相談をすることが大事だと思います。今はSNSで検索すればある程度どういう機関か、組織か、人物かわかると思いますから相談して下さい。
学校と保護者だけでなんとかしようとすると限界があり、視野も狭くなってしまいます。

学校に行かせるのは目的ではなく手段で、学校はそれを提案してくれませんよというお話でした。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。



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