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自分の思考を肯定してくれたような本

佐々涼子著、エンド・オブ・ライフ。

最期を在宅で迎えようとする人とその家族、そして献身的に支える訪問診療所スタッフ。その姿から、終末期のあり方を考えるノンフィクション作品。

僕は、拡大していくことよりも、閉じていくことの方に興味が湧くことが多かった。
20代にしてこれでいいものか、と思うこともあった。
が、この本はそんな思考を肯定してくれたような気がしている。

人は生きてきたように、死んでいくもの

死を目の前にしたとき、死の予測がたてられたとき、人はどんな反応を示すのか。
人は必ず死ぬ。

よく聞く言葉だが、誰もが理解していることでも自分にそれが降りかかってくるという事を真摯に受け止めている人は少ないように思う。
たとえそれが死と接する機会が多い医療に携わる人であったとしても。

この本の中には、最期を迎える人とその家族、それを支える訪問医療のスタッフのいくつかのエピソードが描かれている。
死を前に残りの時間で大切にしたいこと、もっと言えば大切にできることは、それまでに大切にしてきたことでしかないのではないか。
生きてきたうちに大切にしてきたことの中でしか、死んでいくことはできない。

これは決して負の要素ではなく、言い換えれば、

大切にしてきたことに包まれながら最期を迎えることができる
そしてそれは、安心できること

であるように思う。

閉じていくことを考えることは、自分にとって大切にしたいことは何なのかを問い続けることなのだ。


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